■トーク * Break! NEO専門店!!
生活の木 重永 忠氏/(株)生活の木 代表取締役社長 聞き手/ NEO専門店研究会主宰 松本 大地 心の豊かさを満たす ハーブのある生活を提案 1970年代半ば、まだ日本では知られていなかったハーブをライフスタイルとともに紹介した「生活の木」。以降、日本におけるハーブのある生活「ハーバルライフ」の先駆者として、また前身の洋食器販売事業からの自前主義も継承して、ハーブに関わる事業を総合的に展開する。そして、顧客との双方向のコミュニケーションで市場を創造し、情報価値を付加した商品の提供でマーケットの裾野を広げてきた。日本のハーブ文化を築き上げた同社の成功要因と今後の展開をおうかがいした。 洋食器の販売から ハーブ・アロマテラピーへ
重永 当社は私の父が個人創業したものです。それ以前には祖父が興した写真館をいまの原宿表参道店の場所で経営していました。かつて代々木公園に「ワシントンハイツ」という米軍のマンションがあり、祖父はその居住者を相手に商いをしていました。父は大学に通いながら写真館を手伝っていましたが、その傍らで写真館と同じ顧客を相手に洋食器の販売をはじめ、1955年に「陶光」という会社を創業しました。これが「生活の木」の前身です。 陶光では単に仕入れたものを売るのではなく、洋食器を自らデザインし製造を行ないました。食器だけでなく、食生活をより豊かに演出するテーブルウエアをトータルにラインナップし、ライフスタイルの提案とともに販売する──これが陶光の事業コンセプトです。直営ショップの一角にはティールームを設け、試作の食器をお客さまに使っていただき、その感想をフィードバックして製作に活かしていました。
重永 1970年代半ば、父は外食産業の人たちと一緒にアメリカ西海岸へ視察旅行に赴きました。ちょうど洋食器販売を中心とする事業の将来性に疑問を抱きはじめ、次の展開を模索していたときです。そこでヒッピーたちがハーブティーを楽しんでいるのを目にしました。当時の日本にはまだハーブ文化は知られていませんので、その姿にたいへん驚くとともに、日本にもいずれは自然の恵みを活用した健康志向の気運が高まるという予兆を感じたそうです。さっそくアメリカからポプリを持ち帰り、ハーブの調査研究を行ないました。そしてハーブのある生活「ハーバルライフ」を提案、ハーブ商品のテスト販売を経て、79年に通信販売とポプリ会員の募集を開始しました。 販売開始の翌年である80年にポプリブームが起きました。 きっかけは、ポプリづくりをする女の子を主人公にした作品が少女漫画雑誌『なかよし』に掲載されたことです。当社でアルバイトをしていた女子大生の投稿作品でした。その掲載に合わせて、読者が考えたオリジナルポプリのコンテストを行なうと、20万以上の応募が届くほどの反響を呼びました。ポプリに興味を示した当時の小中学生の女の子たちは、大人に成長したいまでも当社のメインターゲットです。 それからはハーブ商品の充実を図り、食器の売上げがピークになった82年に「陶器からハーブへ」をテーマとする企業再構築10ヵ年計画をスタートしました。
「コンシューマ・イン」の発想で 顧客とコミュニケーション
重永 食器専門店であった原宿表参道店の一角でテスト販売をはじめたのが店舗販売の端緒です。本格的な店舗展開は90年代に入ってからで、バブルが崩壊して物質的な豊かさでなく心の豊かさを求める時代になっていった時期と一致しています。現在ではパートナーショップを含め全国に40店舗を展開しています。
重永 原材料の吟味調達から商品開発、製造、卸、小売り、「ハーバルライフ」を広めるためのカルチャー教室を手がけているほか、ハーブ園や別会社がスリランカで経営するリゾートホテルで「ハーバルライフ」の体験の場を用意しています。
重永 消費者と一緒にマーケットをつくっていく「コンシューマ・イン」の発想です。一人ひとり価値観の異なるお客さまのさまざまなリクエストにすべて耳を傾けます。たとえライバル会社の商品についての問合せでも、オピニオンリーダーであるならば回答する義務があると考えています。一方、お客さまにはわれわれのアロマテラピーを広める活動に参画していただくようにする。このような双方向のやり取りで価値を創造していきます。 もうひとつはアウトソーシングをしないことです。先代、先々代からの“自前主義”を貫いています。商品開発からプロモーション、販売まで、一貫して自分たちで考え、自分たちで発案し、自分たちで実践します。すべて自前でやらなければ本物は生まれません。
重永 効能効果や商品の使い方について、お客さまから教えられることはたくさんあります。商品の特質はお客さまが一番よく知っていて、また想定していなかった使い方でより効果を引き出したりもされる。われわれはお客さまが実践で体得したノウハウでいいものがあれば、ほかのお客さまにも広めていきます。よいことも悪いことも、情報をディスクローズしていくことが重要です。 また、お得意先や当社の協力者および社員が一堂に集まり、勉強をしながら交流する「ビジネスセミナー交流会」を主宰しています。私どもはお客さまと一緒に市場開拓していく方針ですから、お得意さまとのふれあいを営業担当者だけに委ねるのではなく、関係者を含めた会社全体で実践していこうと考え、このような場をセッティングしました。
自分に合ったオリジナル商品を ハンドメイドで製作
重永 ハーブに対する受け止め方が一人ひとり違い、相乗効果としての成果も異なるわけですから、先ほども申し上げましたように、お客さまと双方向でのコミュニケーションが必要になってきます。そのときに私たちとお客さまをつなぐツールとなるのが「コト」です。「生活の木」のなかでカルチャー教室を開き、ハーブの楽しみ方、使い方などを情報提供しています。また、アロマテラピーなどのデモンストレーションを行ないます。こうして知識を得て、使い方を体得したうえで実際に商品を購入していただく。ショップはモノを売るための場ですが、われわれは「コト」という情報価値を付加してお客さまに商品を届けたいと考えています。 ゆとりに対する考え方が変わってきていますが、お金をかけなくても、生き方次第でゆとりは得られるものだと気づかせてさしあげたい。潜在的な部分を顕在化してさしあげる、それが私たちの仕事です。
重永 来春、六本木ヒルズにオープンする店舗は「ライフウエアショップ」という新しいコンセプトで展開します。ライフスタイルではなく、ライフウエア=生き方を共鳴させあい、価値観を共有しようというショップです。自然の恵みを使って自分に合う化粧品や石鹸をハンドメイドでつくっていただきます。店舗では自作のための素材を徹底的に揃え、お客さまは自由に自分の選択価値でセレクトできます。製作過程を実演したり、お客さまが製作体験できるコーナーも設けます。 また、同じく来春には原宿表参道店の建替え工事に着手します。私どもの事業のすべてと次なる新しい分野をここで提供できるようにします。オープンは来秋以降です。
重永 私が生まれ育ち、本社もあるこの原宿表参道の街を愛しています。その活性化に少しでもお役に立ちたいと思い、商店街の活性化を図る目的で立ち上がった「原宿表参道欅会」の幹事を務めています。欅会は単に商業を活性化し集客を高めるのではなく、環境問題にも積極的に取り組んで、訪れた人が快適に過ごせる街を目指しています。
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