|
■トーク * インタビュー 秋葉原のもつエネルギーを失わないためには 「プロセス」から発想する街づくりが必要 (株)リナックスカフェ 代表取締役社長 秋葉原まちづくり総合プロデューサー 平川 克美氏
私にはいくつかの“肩書き”があって、そのひとつがこのリナックスカフェの社長としての立場。ここは、ご承知のように、千代田区や大学、民間企業などが参画する産・官・学の協力プロジェクトです。リナックスというオープンソースをプラットフォームにして、大手企業からベンチャー企業、NPO、さらには個人までが自由に出入りし情報交換や技術交流を通じて、新しいビジネス価値を創造していこうという試みです。これまでのビジネスモデルというのは、いかにゴールまでを最短距離・時間で突っ走るかという効率の追求ばかりでした。しかしながら、ゴールからではなくプロセスから発想すると、ビジネスの風景は随分と違ってみえてくるものです。そのことは、これまで私が多くのベンチャー企業家と付き合ってきて痛切に感じたことでもあります。彼らからはありきたりの発想、どこかで聞いたような計画しか出てこないのです。 そのことは街づくりについてもいえます。この文脈を書き換えていかないと、本当に面白いものは生まれないと私は考えています。 秋葉原というのは面白い街で、夜間人口が非常に少ないことからわかるように、みんな外から来る人たちです。いわゆる“オタク”といわれている消費者がいて、それを当て込んだ電器屋さんやリテーラー、大手企業がいる。最近では少しアブノーマルなショップがいろいろと出てきて、それを目当てにやってくる人たちもいます。リナックスカフェの前の通りなども、いつのまにかガレージにジャンクを広げて売るようなストリートマーチャントが出てきて、それが店舗化していくということで、この3年くらいで急に人通りが増えました。もともと秋葉原は闇市からスタートしていますから、無秩序的に人が集まって街がつくられてきたところがあります。 こういうプロセスはすごくダイナミックです。そのエネルギーの源泉をきちんと押さえておかないとだめです。それらを排除してしまい、きれいなビルを建てて近代的な街にしたところで何も生まれないし、少しも面白くないわけです。 リナックスカフェでやろうとしていることもまさにそれで、ビジネス価値を創造するためのプロセスを共有しようとしているわけです。単にベンチャー企業をテイクオフさせることではない。オープンソースというテーマをめぐって、サプライヤーとユーザー、大手企業とベンチャーが自由にアライアンスできる“カフェ”なのです。 つまり、ハコではなく、まずコンテンツありきなのです。ですから、私は街づくりの総合プロデューサーといわれていますが、私の頭の中には街づくりということはあまりなくて、産業振興と街づくりは一体だと思っています。 秋葉原はコンテンツを集積させるのにすごく面白い場所だと思っているのですが、ITをテーマにしていくと、秋葉原にとどまらない、いろいろなロケーションとネットワークがつくれます。コンピュータでつながると、たとえばナノテクノロジーの集積地である八王子と、リテールの街である秋葉原がアライアンスを組める。いままでは別々に存在していたものがビジネスのプラットフォームを共有できるようになるわけです。そういうことを、いま、実現しようと取り組んでいますし、デジタルミュージアムのようなものを立ち上げたいとも考えています。 つまり、街づくりにおいても、効率ではなく、つくっていくプロセスにもう一度注目しましょう、そのプロセスを楽しみましょうということです。これは一種の運動ですから、いろいろな人が参加する、できる仕組みでないといけない。街づくりは本来、そこに住んでいる人たちがやるべきことですから、デベロッパーが、開発して、そこに企業を誘致してくるというやり方は見直されるべきで、新しいモデルをつくらないと面白いものは生まれません。プロセスから発想するということが大事で、結果として成功か失敗かだけを問うべきではないと私は思います。プロセスそのものがゴールなのですから。
このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2002 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |
||||||