| ■トーク * 新世代百貨店 21世紀の提言
連載第12回
社長就任、社員へ新たな檄
百貨店には外商活動などもありますが、本業は小売業です。まずは店頭の売上を上げることが重要で、そのためには営業力を徹底的に強くすることが必要です。営業力を強化するには、体・足を大いに動かし売上アップを実現する「フットワーク」。頭を使って、差益額・差益率を稼いでいく「ヘッドワーク」。そして、和を広め全社員の力を結集する「ネットワーク」―この"3つのワーク"を徹底する、そう思ってお話しました。 また、社員の皆さんには「あなたのお客様は誰ですか」。そのことをハッキリ認識することが必要です。店頭で働いている最前線の人にとっては、来店されるお客様が大切な方ですし、店頭を支援する役割の後方部門や営業本部のスタッフの人達にとっては"お客様"と現場で働いている人たち"の両方が大切です。
さらには、基本的なことですが百貨店営業に欠かせないことは、街をよく見て、取引先には積極的に出向き、つねに、世の中の変化を勉強し研究しておくことです。
市川 決して無理して売上をつくっているわけではありません。確かに94か月の間には、達成が難しそうな月もありました。その時は、新聞折込みチラシを増刷したり、売上向上への販促を掛けたりし、クリアしてきました。そんな折り"売上をつくる"ということは、非常にコストがかかるということを改めて実感しました。 ですから、コストをかけすぎてまで売上を伸ばす考えはありません。通常営業の流れの中で売上を伸ばす態勢を整える。売出し計画を一つひとつ精査する。お客様のことを第一に考えて、何をすべきかを考えていく。そのことが大切で、こうしたルーティーンが当たり前にできるようになってはじめて達成できるようになったと見ています。
市川 「漢プリ」という、既存顧客が注文する際に、再度相手先等を書き込まなくて良い簡略化システムを導入したことは好評でした。
スーパーブランド戦略でなく、
市川 会議等で時折"方言"が飛び出たりします(笑)。しかし、まったく問題はありません。京急百貨店は寄せ集めの"混成部隊"というより精鋭の"多国籍軍"です。むしろ、それぞれの出身企業のスキルを持って一堂に会していますので逆にプラス面のほうが多くなっていると思います。
市川 中元戦では閉店効果がプラスとしてありました。一方、サテライト店舗の三越上大岡店は、一足速く2年前の 12月に撤退しましたが、特に大きな影響とはなりませんでした。 やはり、老舗「三越」という百貨店ブランドはステイタスが高く、閉店後それまでのお客様は、日本橋の三越や横浜高島屋に移られたようです。京急百貨店としては、"手の届く高級感"を打ち出すことで、既存顧客の深耕に取り組んでいきたい。
市川 スーパーブランドがないということは、ある意味で京急百貨店の「独自性」だと考えています。ただ、スーパーブランドがないことは、お客様の期待感に添えていない部分がないとは言えないので、お客様の声を聞き、世の中の流れを見ながら、しっかりとお応えしていきたい。 例えば、この9月には革小物の「COACH」が入ります。インショップ(50坪)で、フルラインで出ます。これも「手の届く高級感」と位置づけています。
市川 ありがとうございます。地域住民のお客様が望んでいることをローコストで運営し提供していくこと、それが、京急百貨店の基本的な考え方です。 駅立地なので地下1階の食品売場は非常に強く、スーパーのように短時間で買い物できるようになっています。また1階は「マツモトキヨシ」や生活雑貨を配して駅利用客のコンビニエンスにも対応している。8、9階には、家電のカテゴリーキラー「ヨドバシカメラ」も導入しています。 さらに、6・7階にはクリニックプラザを展開するなど、京急百貨店は「多面体的商業施設」となっています。
来期、開店 周年へ向け計画多発4テーマ「プロジェクト」立ち上げる
市川 現在、社内にプロジェクトチームを立ち上げ取り組んでいます。リモデルへの投資、10周年の商品政策、要員計画、そして建物の見直し―この4つをテーマに動き出しています。 まず、リモデルについては、すでに食品売場の什器の見直しに着手していますが、 周年に向けて、"団塊ジュニア対応"を強化するため3階婦人雑貨フロアと5階子どもフロアを中心に改装を実施していきたい。 商品政策では、御取引先の協力のもと、 周年記念商品の開発を進めていくほか、「ISO14001」を取得していますので、環境に優しい商品約400アイテムも販売していますが、これも充実させていきたい。
市川 クールビズ効果は、結構ありましたね。ネクタイ売上は対前年比約90%で終わりましたが、その分はシャツとジャケットの売上で落ち込みをカバーできました。結局、多くの男性が、スーツとネクタイ以外に仕事に着用していける服を持ってなかったためです。環境問題では、温暖化意識を広く植え付けた点で間接効果はあったと思います。
市川 当社の生え抜きは4期生まで、現在30〜35歳になっています。彼等が売場を取り仕切っており、「小さな政府」で、即断即決で売場の人たちを引っ張っていってもらいたい。パート社員の方々は、人生の大先輩で、その人たちに戦力になって働いてもらうためには、知識を正しく伝えていくことが重要です。そのための勉強をつねにしてくことが必要です。「可能な限り店頭に張り付いて、顧客の視点ですべて判断し、動いてくれ」と言ってあります。
市川 契約社員やパート社員からの正社員への登用はありますが、新卒採用を控えてきました。ローコスト運営の観点から総売上に対する人件費比率は6%台に抑えていく方針ですので、契約社員やパート社員の方々に引き続き頑張っていただく。その分、正社員一人ひとりの責任は重くなりますが、そのためにもモチベーションが上る環境を整えていきたい。
"店はお客様のためにある"この理念を
市川 当社は、平場の自主編集売場は他社に比べ多いほうです。3階婦人雑貨フロアの服飾雑貨売場は単なるブランドの塊ではありませんし、同じく4階婦人服フロアのジーンズ売場やセーター売場、それから「カラーセレクト」のコーナーも平場構成です。 MDは、社員が運営しています。6階紳士服フロアもスーツ売場や紳士カジュアルの売場は自主編集による平場展開です。独自性や差別化のため、平場を多くし、"京急百貨店らしさ"を出しています。
市川 食品は合格点。衣料品、雑貨、身の回り品の売上をもっと上げていくことが課題です。現在、衣料品の売上構成比は21%と少ない。地域に密着しながら、いかにシェアを上げていくかです。 現在、ご婦人のお客様は50歳代の方が圧倒的に多い。今後のことを考えると、手薄になっている30歳代のお客様の取り込みを強化しなければならない。この世代は、結婚していれば生活費や教育費に追われていますが、独身の方も多く目の肥えた"団塊ジュニア世代"で、百貨店で高級ブランドを求める層でもあるわけです。すべての商品政策のなかで、 歳代顧客層の商品を今後、拡充していきたい。 また、京急百貨店は「3世代ファミリー」を志向していますので、お子様を軸にしたファミリー企画にも力を入れていきます。お子様が行きたくなる店舗づくりにも引き続き取り組んでいきます。
市川 昨年3月から販売部門の呼称を「ハートフルサービス部」に変更したほどです。食料品はいま「ハートフルサービスT部」で、これには一人ひとりが、お客様のために動く販売員になるという意味が込められており、意識改革に効果があると見ています。
市川 今期は、前年比105%の450億円は確実に届く売上と見込んでいます。有利子負債がゼロとなり、あとは累損を消していくだけで、新たな投資ができる環境を整えていきたいと考えています。店舗の見直しを常にしていかなければ売上は伸びません。 ショッピングセンターも攻撃的に仕掛けているところはやはり強い。京急百貨店も、売上と経費のバランスを見ながらリモデルしていきたいと考えています。
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