トーク * Break! NEO専門店!! 連載10回
 
BCBG MAX AZRIA
 
安東 純氏
ビーシービージーマックスアズリア ジャパン(株) 代表取締役 
聞き手/ 営業開発室 SCC2部 部長 松本 大地
 
"ヨーロッパのファッションセンス"と"ニューヨークのアクティブな精神"を融合。
素材やカッティングを重視したシンプルなコレクションは、
ファッションセンスを身につけた女性に満足を与える


 
 ビバリーヒルズ在住のフランス人デザイナー、マックス・アズリアが展開する「BCBG MAX AZRIA」は、ヨーロッパのセンスとアメリカのアクティビティを融合し、ニューヨークコレクションでも常に注目を浴びている。"良いスタイル・良い着こなし"をデザインコンセプトにする「BCBG」は、すべてのデザイン・色・生地の組合せが自由にでき、無限のコーディネートを提案。わずか6年で全米の小売業に根をおろし、ブルーミングデールズやメーシーズ、サックス・フィフス・アベニューなどの高級百貨店のほとんどの店に進出。日本でも年春にジャパン社が設立され、本格的な展開がスタートしている。
 
 
「GoodStyle」と「GoodAttitude」の
2つの"良い"がBCBGの精神(フィロソフィー)

 
―安東社長とは鈴屋さんの同窓ということで非常に長いお付き合いをさせていただいていますが、まず「BCBG」の日本での展開の経緯からお聞かせ下さい。
 
安東氏 安東 私が1996年の春に「BCBG」の評判話を聞いて、ロサンゼルスに行きマックス・アズリアと会いました。そして鈴屋さんとの独占販売契約を締結しまして、早速その年の秋には鈴屋さんで「BCBG」の店をまず店舗展開をすることになりました。
 
しかしながら、翌97年春に鈴屋さんの財務上の事情で新規事業への投資が困難となりました。はじめての交渉の過程から、オーナーのマックス・アズリアとは気が合うなと感じていたのですが、この非常事態でも彼から「だったら君がやってくれないか」というお話をいただいて、3月にビーシービージーマックスアズリアジャパン(株)を設立。鈴屋さんで展開していた店舗と社員などを引き継ぐ形でスタートさせていただきました。
 
―「BCBG」は「BonChic,BonGenre」の略で、「趣味の良い人」という意味ですよね。
 
安東 フランス語のスラングで、これを英語に訳すと「GoodStyle,GoodAttitude」となります。「GoodStyle」というのは非常にスタイリッシュ、格好が良い、お洒落だというような意味で、それだけでしたらごく普通ですが、「BCBG」の一番の特徴というのは、その後に続く「GoodAttitude」なのです。
 
これは、良い生活態度、心根が非常に良い、そういう意味です。ですから、印象が単に格好がいいというだけではなく、人間として好ましいという、二つの意味で「良い人」というところが「BCBG」のフィロソフィーなのです。
 
 
(左)●東京都中央区銀座2丁目、銀座柳通りに面したビルの1、2階に展開する銀座本店
(右)●銀座本店のエントランス。本店は全国への「BCBG」の情報発信拠点としても機能

 
 
1人の女性のすべての着用シーンに
対応できるコレクションを提案を

 
―「BCBG」というブランドは、がちがちのフォーマルドレスではないけれども、お洒落着というか、非日常の特別な洋服というイメージがしますが。
 
安東 「BCBG」と聞いて非日常的なお洋服をイメージされるお客さまもいらっしゃいますし、逆に日常に着るカジュアルな洋服というイメージを描いている方もいらっしゃいますが、カジュアルな洋服から日常のエレガントな洋服、さらに非日常の洋服まで、1人の女性がすべてのステージにおいて着替えることができるような提案となっています。
 
―スタイルとアティテュードが貫かれているということですね。そういう意味で、日本と欧米の市場というのは、どのように違うのでしょうか。
 
安東 市場が違うというよりも、文化が違うということだと思います。マックス・アズリアと、よくその話をするのですが、日本には伝統的な着物の文化がある。着物には、浴衣のようなカジュアルなものから留袖のようなフォーマルなものまであるわけで、同じような着こなし方を欧米ではドレスでしている。ドレスというのは洋服の中のひとつのアイテムですが、日本では文化に根ざしているドレスというのは、残念ながらこれまであまりなかった。でも、日本では着物文化というのが綿々として残っているわけですから、その着物の文化的な役割を私どものドレスが担うことができるというように考えれば非常に大きなマーケットがあるわけです。
 
―最近はパーティや観劇、ソーシャルダンスブームなど、さまざまなドレスシーンの着用機会が増えてきているようですね。
 
安東 つい2年くらい前までは、ドレスといえば、ほとんどがブライダルゲスト需要でしたが、最近では、花嫁自身のお色直し用とか、パーティ、ソーシャルダンスの発表会でご自身がお召しになるものとか、そういったオケージョンに着用するドレスとして、お買い求めになるお客さまが非常に多くなっています。これからもそのニーズというのは、どんどん広がっていくと思います。
 
 
―それでもやはり、出店は大都市に限られてしまいますか。
 
安東 現在、銀座を本店に東京・横浜・大阪・神戸・福岡に店舗展開しています。お客さまのニーズそのものは全国なんですけれども、お店として人が集まって来るという観点から言うと、ある程度のマーケットの大きさがないと、むずかしいのは事実です。やはり、パーティの需要があるなど非日常着を着て行く機会が多いとか、そういう意味では、どうしても大都会への出店が多くなってしまいます。
 
ファッション雑誌などに「BCBG」の服が載ると、必ず全国からお電話がかかってきますが、近くに店がないときには、必ず銀座の店を紹介します。そうするとその方たちも年に何回かは東京にお越しになられますので、必ずご来店いただけます。
 
―アウトレットモールにも出店されていますよね。
 
安東 アウトレットモールは現在、5か所で展開しています。アウトレットモールに出店する理由は二つありまして、アウトレットモールというのは、モール自体のコンセプトそのものが日本の小売業の中では非常に新しい。新しくて既成のしがらみとかがないものであったことから、私たちが入る余地が大いにある。それからもう一つ、日本ではアウトレットの歴史が浅いため、オープンすると必ず周辺地域の人たちに来ていただける。それで、いままで「BCBG」を見たこともなかった人にファンになっていただく入口として捉えているわけです。
 
 
(左)●1階は日常着として提案するスポーツウエアを販売
(右)●2階では非日常のオケージョンにおける"お洒落着"となるドレスラインを展開
 
 
 
最も大切なことはマックス・アズリアの
コンセプト、イマジネーションを理解すること

 
―「BCBG」の店頭での接客をみると、着こなし方や素材の説明、小物とのコーディネートなどBCBGが持つ服文化をしっかり伝える説明をされています。どういう販売教育をされているのでしょうか。
 
安東 大切なのはマックス・アズリアのコンセプトやイマジネーションを理解することです。入ってくる商品群というのは、必ずデザイナーのコンセプトとイマジネーションがあるわけです。ですから社員に対してはまず、デリバリーごとにコンセプトとイマジネーションの説明を行ないます。
 
それも、ものすごく時間をかけて、コンセプト、イマジネーション、次にプロダクト・ノゥレッジと呼んでいますが、商品の具体的な説明。デザインポイントは何であるか、素材は何だとか、そういうこと含めて、社員全員に伝えていています。
 
製品としての洋服ではなく、デザイナー、マックス・アズリアの世界なんですね。それがないと、単に物と物の比較になってしまいますから、買っていただくお客さまというのは、そういう背景にあるものをわかっていただいて、それが付加価値になると思います。
 
 
―このビジネスに対する安東社長の夢というのは。
 
安東 たくさんあるのですが、まず「BCBG」というのは、いまはアメリカ中心のブランドですが、マックス・アズリアはアジアとヨーロッパを含めて同じらいのマーケットを持っていると考えています。そうするとアジアにおける日本の位置づけが非常に重要になってきます。
 
「BCBG」には一切、日本でのライセンス生産や日本プロダクションというのはありません。デザイン要素だけ持ってきて。日本でパターンを作って、日本、あるいは中国で生産しているというビジネスがよくありますが、それはやらない。なぜやらないかというと、「BCBG」のコンセプト、イマジネーションが、明らかに違う方向になってしまう。似て非なるものになってしまうわけですね。世界中どこで買っても「BCBG」は同じものである。これは変えるつもりはありません。
 
―BCBGの哲学がよく理解できました。本日はありがとうございました。
 

 
関連サイト : BCBG Max Azria 
 
 
対談後記 
matsumoto.jpg  横並びの施設や店舗が増え、同質化ゆえの過剰競争が続いている現在、あらためて専門店のあり方自体が問われている。単なる物売りの素人販売員がいる売場では商品知識も乏しく、顧客のワードローブやスタイルに深みを注すことは難しい。一定の客層に独自の商品や売り方をフォーカスし、奥行きを深めていくのが本来の専門店。BCBGは、マニュアルによるマス・セールスではなく、マックス・アズリアの哲学の下に、自分たちの言葉で顧客との服文化を育て上げている。今後は我国でも欧米社会のように、女性の社交シーンの機会は益々広がりをみせるはず。これからも、専門店の本質を忘れずに歩み続けるディストネーション・ストアとしての服文化を期待していきたい。 
P.S.安東社長の日焼けはプロ並の趣味のテニスから。3か国語(日、英、仏)万能のグローバルな経営者です。

 
(株)丹青社 営業開発室SCC2部 部長 松本大地
 

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