トーク * Break! NEO専門店!! 連載8回
 
THE KISS 
 
李 成在氏(株)東京トレーディング 代表取締役社長 
聞き手/ 営業開発室 SCC2部 部長 松本 大地
 
カップルにターゲットを絞り、
デザイン、品質、価格のバランスのとれた商品づくりで
若者層から高い支持を集めるシルバーアクセサリーブランド


 
シンプルでスタイリッシュなデザインが特徴のシルバーアクセサリーブランド「THE KISS」。同ブランドは、李社長のアパレル業界での経験をもとに「宝飾品ではなくファッションアイテムとしてのシルバーのペアアクセサリー」を提案し、若いカップルから高い支持を集めている。「日々、素敵なカップル向けに『二人の宝物』の企画、開発を行ない、少しでも『二人の幸せ』のお手伝いが出来ればと考えております」というTHE KISSのショップには、ペアリングやペアネックレスなどのペアアイテムが常時1000種類以上、品揃えされ、ショップを訪れる8割以上をカップル客が占める。
 
ベルギー人の宝石職人との偶然の出会いがジュエリーへの道に導く

 
―まず、創業の経緯からお伺いします。
 
 (株)東京トレーディングという会社を創立したのは、私が27歳の時です。学生のころから漠然とですが、起業を考えていました。仲の良かった3人でいろいろ事業計画を練ったり、議論などをしていました。3人とも20代でそれぞれ社長になりましたね。
 
―会社を設立する前はアパレル関係のお仕事をされていたそうですね。
 
 5年間ほど会社に勤めていました。いくつかの業務を担当しましたが、一番長かったのはアパレル関連で、主に生産管理や輸出入業務を行ない海外駐在も経験しました。その時にルドーというベルギー人の友人ができました。ルドー氏はダイアモンドの研磨職人で、彼は自分の仕事にすごく誇りを持っており、彼の熱い想いを聞いているうちに私もダイアモンドに対する魅力を感じるようになりました。
 
―ルドー氏との出合いが起業のきっかけで、ジュエリーとの出会いだったのですね。
 
 そうです。それまでは、ジュエリーにはまったく興味はありませんでした。彼との偶然の出会いが、私の人生を大きく変えたわけです。それから独学で専門書を読んだりショップ廻りをしたりして、自分なりに勉強を重ね、「よし、これを事業にしてみよう」と決断して会社をつくったのは、ルドー氏との出会いから2年後のことです。
 
―ジュエリーにもいろいろあるなか、なぜシルバーだったのですか。
 
李氏  まず、参入障壁が低かったというか比較的小さな資本でビジネス展開できるということでした。たとえば、ダイアモンドですと物によりますが1個、何十万〜何百万円もしますけど、シルバーなら素材はそれほど高額ではありません。それから、アパレルの仕事をしてきた自分にとってシルバーは、貴金属ではなくファッションの切り口で考えることができるという感覚がありました。また、当時のシルバーの地位は今より低かったと思いますが、なぜかシルバーは必ずいけるという確信みたいなものもありました。
 いくつかの貴金属を実際に目で見て商品を作ってみたりもしたのですが、その中で私はシルバーの色味や輝きに一番、愛着を感じました。
 
―もともとは、シルバーアクセサリーのメーカー卸でスタートしたので、東京トレーディングなのですね。
 
 そうです。創業時は、まさしく社名のとおり、海外で製造したシルバーアクセサリーを輸入して、卸していました。しかしながら、何の基盤もない状況でスタートしたものですから、思ったほど数字が伸びません。それで、どうせやるなら自社のブランドを立ち上げて、企画から製造、さらには販売までを自社で行なっていこうという方向に転換したのです。当初は100%輸入品でスタートしたわけですが、いまでは輸入品はほとんど扱っておりません。
 
 
(左)●東京・台場のメディアージュ3階に入る「お台場メディアージュ店」。お台場という立地からか、「THE KISS」の店舗のなかでもカップルでの来店が特に多い
(右)●メインターゲットは10〜20歳代。商品展開・店舗づくりのコンセプトは"楽しい""可愛い"
 
 
女性店長のふとした一言をきっかけに、
ペアアクセサリーに着目

 
―御社を今日の成長企業に導いた「THE KISS」というベストセラー・ブランドは、どのような発想から生まれたのですか。
 
 これも偶然の出会いからでした。当時、当社が製品を卸していた小売店の女性店長さんが「これからペアの商品など面白いのではないか」と提案されたのですよ。それまではマーケットにおいて、シルバーのペアリングは全然なかったんですね。ですから彼女の一言が"神の啓示"のように聞こえたのかも知れません。  日本でナンバー1のペアリング屋さん、カップルブランドを創ろうと決意してスタートしました。
 
―その後、現在の小売分野、直営店の展開になるわけですが、初出店にも何かドラマや出会いがあったのでしょうか。
 
 名古屋ロフト店に1997年10月に1号店を出店しています。これも偶然というか、私がたまたま出張で名古屋に行っておりまして、その時泊まったホテルの部屋の窓から名古屋ロフトが見えました。それで、見に行ったら、ちょうどオープンして2、3日のころで、店内はヤングが溢れていて、ここにぜひ1号店を出したいと思いまして…。実績がなかったものですから、最初は柱巻きで90cm四方・2面といった非常に狭いスペースからのスタートでした。
 
 しかし、開業直後の翌11月には、その2面で160万円、12月には600万円を販売して、ご評価をいただきました。それで3面になり、4面になりと売場が少しずつ大きくなって、現在は10・2坪ですが、昨年のクリスマス・シーズンの12月には、5300万円の売上げを達成しています。
 
―すごいですね。店舗数もすでに国内は29店舗。年商も、創業年度の3000万円から、2003年度の売上げ予想額は33億円ということですから100倍強です。不況の中でのこの驚異的な成長の秘訣は何なのですか。
 
 1年目の売上げが低過ぎるので、成長率が高く見えるのではないですか(笑)。
 「THE KISS」は、カップルのためのシルバーアクセサリーとして開発したブランドです。商品コンセプトは、ペア・ラブ・ハッピーで、いつも「二人の宝物」「二人の幸せ」のお手伝いができるような製品づくりを一生懸命しております。あと、運と出会いですね。恵まれていたと思います。
 
(左)●商品の陳列は、基本的にはガラスケースの中に入れて高級感を出すとともに、一部は棚に置いてお客様が気軽に手に取ってみられるようにしている
(右)●毎年クリスマスシーズンには、入店待ちのカップル客で長蛇の列ができる

 
 
ブライダル、アニバーサリーをテーマにした新業態を構想
 
―リーフレットのコピーに「愛のカタチは十人十色」「十人十色のラブストーリー」という言葉が書かれていますが、上手いですね。物語を作って販売している。
 
 おかげさまでカップルの方に支持されまして、各店とも8〜9割がカップルのお客さまです。また自慢話になってしまいますが、お台場メディアージュ店ではクリスマス時は入場制限をしていてイブの日にはお店に入っていただくまで一時間半ほど並んでいただきました。すべてカップルのお客さまです。色々な客層のカップルがいらっしゃいますし、もちろんたくさんのラブストーリーがあるのだろうなと思います。たくさんのカップルたちが楽しそうに並んで頂いているのを見ると、どうしてもこみ上げてくるものがあります。
 
 
―若い方向けの商品ということもあるのでしょうが、価格はとてもリーズナブルですね。客単価はどれくらいですか。
 
 1アイテム8000円前後ですから、カップルで1万6000円くらいですね。
 
―シルバーアクセサリーのデザインとクオリティーの高さに加え、納得できる価格にカップルが反応しているのですね。
 
 商品のクオリティーやデザイン、プライス、ブランドイメージに関しては、すべてが大切な要素で、どれ一つが欠けても駄目だと思います。
ですからそれらがお客様に支持をしていただけるようなバランスがととのっているかどうか。その点は非常に重要視しております。
 
―現在は、どの業界も人件費の安い海外での生産が主流になっていますが、御社の場合は国内での生産に拘っている。その背景は何かあるのでしょうか。
 
 商品のクオリティーですね。それとスピーディな対応もできますし、何よりも日本には優秀な職人さんがいる。そういう職人さんを残したい、また若い人材を育てて行きたいという気持ちもあります。現在当社には8名の若いスタッフたちがアトリエ規模で製造に携わっておりますが、今後は本格的な自社工場も設け生産をしていきたいと思っています。
 
―ところで新業態については、何か計画されていますか。
 
 昨年1年間に「THE KISS」で商品をご購入いただいたカップルは全国で30万組以上いらっしゃいます。近々30万組=100万人くらいに到達できると思います。
 「THE KISS」の商品をお買い上げいただいた、多くのお客様が数年後には結婚されますよね。ゴールインするお二人にご提案できるエンゲージリングやマリッジリングなどのブライダルショップ。また、その後のご結婚3周年とか10周年といったアニバーサリーにもご利用頂けるような「THE KISS」のプレステージショップにトライしたいと考えています。早ければ年内に1店舗、2〜3年で10店舗くらいは展開したいですね。
 
―本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
 
関連サイト : THE KISS 
 
 
対談後記 
matsumoto.jpg  「自分の夢と創意が多くの顧客の共感を呼ぶものであるならば、その仕事は間違いなく関係する顧客に驚きと感動を与える」の言葉が「超顧客主義」という著書にあった。THE KISSはシルバーアクセサリービジネスを通じ、デザイン、品質、価格、サービスの面で常に安住せずに挑戦を続け、大きな共感を創っていることが今日の成長の証しなのであろう。平均年齢23歳の若さに溢れた会社は大きな夢に向かって進行中だ。カップルにとっての大切なメモリアルデーを彩る新商品、新業態店舗も検討に入っており、また米国の著名エリアへの出店も計画中である。李社長の「カップルの愛」「幸せ」をテーマにしたマーケティング着眼点はとても感興をそそる。
 
(株)丹青社 営業開発室SCC2部 部長 松本大地
 

このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2004 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.