トーク * トップインタビュー [特集]1年後に迫った愛知万博
 
「愛・地球博」は、20世紀から山積してきた
地球的課題の"解"を見出す博覧会となる

 
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(財)2005年日本国際博覧会協会 事務総長 中村 利雄氏

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−2005年日本国際博覧会「愛・地球博」は 世紀最初の万博ということになりますが、どのような博覧会を目指しておられますか。
 
モリゾー&キッコロ 中村 21世紀最初というだけでなく、20世紀後半から山積してきている地球的課題に、どう解を見出していくかということが問われる初めての博覧会だと思います。自然との共生を真剣に考えなければ、このままでは地球本来のキャパシティを越える事態を招くのは必至です。いままでの万博がそれぞれの時代を画するものであったように、今回もこの課題に答えるべく、時代を画するものでありたいと強く思っています。会場建設、展示の内容、アクセスの問題等、ハードからソフトにいたるまで、そのような思想に貫かれております。
 
−やはりテーマは「自然との共生」ですか。
 
中村 そうです。技術一つとっても、いままでは地球的制約を考えずに技術の進歩を追及してきましたが、いまは、地球的制約の中でそれを行わなければなりません。技術は非常に需要な要素ですが、自然との共生なしには済まなくなってきているということです。
 
−展示内容もそれを意識した内容になってくるわけですね。
 
01.jpg 中村 展示だけでなく、会場建設でも、具体的にどのような環境的配慮ができるのか、技術的な問題も含めて、さまざまな取り組みを行なっております。たとえば、樹木はできるだけ移植をし、どうしても切らなければならない場合はチップにして利用するようにしました。エネルギー問題と環境問題は直結した問題です。会場では、そのエネルギー問題の新しい解決方法の実証テストが随所で見られることと思います。
 
 展示においても、21世紀が自然と調和した世紀になることをテーマに内容を考えております。グローバルハウスでは地球の素晴らしさとその課題を映像でお見せする予定です。また、シベリアの冷凍マンモスの展示ができないか、ロシアと交渉中です。絶滅の謎と、永久凍土の中で何万年も化石にならずに発見された不思議。その凍土も地球温暖化の影響で次第に狭められてきています。冷凍マンモスを通して地球温暖化の問題を認識してもらえるのではないかと思っています。
 
 先日もオーストラリアのパビリオンの発表がありましたが、過去から未来へ続くものということで、6万年前から同じ形態で生息しているカモノハシを展示するとのことです。自然を大切にすることによって、カモノハシのような生き物も生き続けることができるのだと言おうとしているのだと思います。それを実際に見て、体験して、驚きをもって感じてもらうことが大事です。 
 
−万博においても事業の収支は非常に大切な要素になってくると思いますが。
 
中村 当然、事業収支はわれわれがクリアしなければならない最大のハードルだと思っています。ただ、いままでの博覧会に比べ大変な費用がかかっています。建設費用もそうですが、環境アセスだけでも相当な金額がかかっています。たとえば希少木を移植するといっても、大きな木の場合は大変な費用がかかります。逆に言えば、そうまでして移植すべき素晴らしいものなのだということを理解していただけたらと、思います。
 
−でも、逆にそれが集客のためのインパクトとしては大きいのではないでしょうか。
 
中村 そう思います。もちろん自然の素晴らしさを見せるだけではなく、展示やイベントも魅力的でないといけません。いまの状況を工場に例えると、環境に配慮した立派な工場ができつつあり、商品のデザインも素晴らしいが、本当に魅力的な商品にするための最後の仕上げが必要な状況です。もちろん並行して販売努力・流通の整備もやっています。良いものであっても、売るためには広報宣伝も重要です。良いものであることを知ってもらわなければなりません。 
 
−前売入場券の販売が開始されましたが、手応えはいかがですか。
 
中村 2月の時点で購入申し込みが570万枚を超えています。基本的には地元の経済界、行政、団体を中心にした組織購入です。東京・大阪は交通費がかかりますから、地元と同じレベルで考えるのは難しいと思いますが、やはり組織購入が期待されています。それ以外では、旅行代理店経由で修学旅行のような団体旅行にアプローチするつもりです。開幕時に来場していただいた方々の口コミで良い評判が広がれば、成功だと思います。
 

前売入場券の販売も積極的に推進

 
−東京・大阪へのアプローチは今秋くらいからですか。
 
中村 中身より宣伝にお金をかけるというのも本末転倒です。全体の予算配分の中で、効果的な宣伝活動をと考えれば、開幕が近付く後半の方になるのは当然のことです。遠隔地の人は旅行日程との兼ね合いもあるでしょうし、地元の人は一度や二度はいくつもりでしょうから、地元と大都市圏では宣伝にも特徴をもたせたやり方をと思っています。地元ではリピーターを期待しています。2回来てもらえば1500万枚はあっというまです。三重、静岡、長野、滋賀あたりまでは完全に日帰り圏です。
 
−地元での盛り上がり具合はいかがですか。
 
中村 徐々に高まってきていると思います。具体的なパビリオンの中身が明らかになり、イベントの内容や出演者あるいはナショナルデーに来場するVIPの顔触れ等が分かってくると、やはりさすがに国家的イベント・万博だという気分が高まって来ると思います。中身が次第に埋まりつつありますから、それをタイムリーにアピールしながら、終盤の宣伝活動にもっていきたいと思っています。人々が驚きをもってさすがに万博だと思えるものにするつもりです。見逃したら二度と見られないというような万博にしたいですね。
 
−市民参加はどのような形で行われるのですか。
 
中村 ボランティアの方々には運営を手伝っていただきます。最近ではあらゆるイベントにボランティアが活用されていますが、今回もかなりの部分をボランティアが担います。それ以外に、市民が企画をし、事前にプロモートもして、その成果を会期中に発表するプロジェクトを計画しています。素人だからといって学芸会になってしまってはいけないので、その線引きに苦労しています。やはり社会的に意味のあるものにして欲しいと思っています。
 
−開幕まで残すところ1年を切りましたが、これから特に重点的に取り組んでいかれる点についてお聞かせください。
 
中村 これからの展示がスムーズに行われるよう、いろいろな要望を適切にさばいて、1つの方向にきれいに仕上げたいと思っています。アクセスには多様な手段が利用されることが予想されますので、適切な誘導を行ないたいと思っています。また、潤沢な資金があるわけではないので、これからも資金を集めながらやっていかなければなりません。市民参加など新しい試みをしようとするゆえに、まだまだ手間隙がかかりそうです。
 
−次期万博開催地である上海にメッセージをお願いします。
 
中村 近年の中国の成長には目覚ましいものがあります。そういうなかで、上海万博のテーマは「ベターライフ・ベターシーン」ということですが、中国流のサステナブルグロースの「解」を示していただけると期待しております。
 
−本日は、お忙しいところありがとうございました。
 
関連サイト: EXPO 2005 AICHI,JAPAN
 

 
 
中村氏 中村 利雄氏
なかむらとしお ●1946年、名古屋市生まれ。
名古屋大学法学部卒業後、70年に通商産業省(現・経済産業省)に入省。大臣官房総務審議官、貿易局長、中小企業庁長官を歴任。 損保ジャパン顧問を経て、02年9月、協会が新設した副事務総長に就任、03年10月から現職

 
 

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