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■海外情報 * overseas network The Museum Report in New York City 第6回 (2002.1)
2階は、ロベール・カンパンの祭壇画(1425年頃製作)やユニコーン捕獲の物語を描写したタペストリー(1500年頃)などが展示されている。ユニコーンのタペストリーは、ユニコーンが兵士たちによって槍で突付かれ、血を流して抗いながら、ついには城内の檻に捕まってしまう様子を描いている。この一連のタペストリーを見ていると、実際の場面を描写したのではないかと思うほど、細やかにその捕獲の過程が織り込まれている。ルネッサンスの伸びやかで煌びやかな表現と違い、中世の暗黒の森を思わせる神秘的で鬱蒼とした表現のロマネスクやゴシックのアートは、妖怪や幻獣などが主題として出てきても違和感が生じない。当館の礼拝堂にある木や石でできたマリア像やキリスト像も素朴でありながら、荘厳で神秘的な趣がある。
生粋のニューヨーカーは、小学生の頃から連れてこられて、大人になるまでに100回以上は来館するという。内部には、3つの入り口があり、左手にギリシャ・ローマ美術、中央にヨーロッパ・アメリカ美術、右手にエジプトやアジア・イスラム美術のセクションとなっている。中は一つにつながっていて、2階立てというシンプルな作りにも関わらず、その広大な敷地の中で迷子になる来館者が後をたたない。エジプト美術のセクションでは、ピラミッドの一部が再現されていたり、アジア美術のセクションではオリエンタル調の庭園があったりと、大きな建造物が丸ごと室内に展示されており、美術館のスケールの大きさが感じられる。
オセアニアやアフリカのアートからヨーロッパのキリスト教美術、アメリカの現代アートなど、5000年間におよぶ各地域のアートがメット1館で体感でき、美術史を系統的に網羅した学習できる。そのコレクションは1日8時間かけても見尽きない。好きな時に、好きなセクションをゆっくり見て回れるニューヨーカーは文化・教育的に恵まれていると言えるだろう。
また、メットでは1つの企画展に関して、ガイドツアーやオーディオガイド、詩の朗読会や講演会、ワークショップなど数々のイベントも開催しており、美術のことを良く知らないビギナーでも、コレクションをすべて暗記してしまった熱烈なメットファンにも楽しめるよう趣向をこらしている。予備知識ではあるが、メットでは、幼い来館者や定年後のお年寄り、貧乏なアート学生が気軽に何回も来館できるようにドネーション・システムを採用している。実際の入館料は大人10ドル(1200円前後)、学生5ドルであるが、「ドネーション(寄付)をしたいのですが」と言うと任意の額・最低25セント(日本円で30円前後)で入館できる。このシステムは館内の看板や小冊子には公式に記述されていないが、ニューヨークの幾つかの博物館はこのシステムを採用している。 他にもメットは視聴覚に障害のある来館者や家族向けのプログラムなど来館者のニーズに合わせた企画・展示を行っている。この細やかさが、観光客だけでなくリピーター増加の要因だと思われる。ニューヨークを訪れた際には是非立ち寄ってほしい美術館だ。 (2002年1月 スミ・ヒロコ)
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