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The Museum Report in New York City 第5回 (2001.11) 

The New York Historical Society(ニューヨーク歴史協会)
2 West 77th Street and Central Park West New York, NY 10024
http://www.nychistory.org

ニューヨーク市立博物館と並んでNYの歴史を紹介している。 
設立は1804年で市の中で最古の博物館施設。地下のKid Cityは 子供向けにニューヨークの暮らしを紹介。例えば、ロッカーの扉をあけると、イングリッシュ・マフィンが入っており、名前はイングリッシュでも実はNYが発祥の地である、などの豆知識がわかり易く展示されている。1階は今回、イギリスとNYの共同企画であるUK with NY festival (10月14-28日)の一環として「The British in New York」が来年1月まで開催。これは1783年にイギリスがニューヨークから引き上げてから、今日に至るまでの影響を、軍事、政治、文学、市場などの各分野にわたって展示したもの。
 
ニューヨーク・ヒストリカル・ソサイエティ外観
ニューヨーク・ヒストリカル・ソサイエティ外観
キッド・シティ:お店に入ると各品物のわきに、歴史的な説明が書いてある
キッド・シティ:お店に入ると各品物のわきに、歴史的な説明が書いてある
ニューヨークの中のイギリス展、エントランス
ニューヨークの中のイギリス展、エントランス
 
またワールド・トレード・センター崩壊後のリスポンスとしてヒストリカル・ソサイエティでは写真展を開催。逃げ惑う人々や跡地の様相などが大きなパネルを通してありありと伝わってきた。 
 2階はマンハッタンの川べりの風景を10メートル以上の長い紙にわたって描写した作品を展示。これは作家のペリコリがボートに乗ってマンハッタン島を一周した時にビデオ撮影した風景を丹念に描き写したもの。ワールド・トレード・センターもしっかり描かれていて、悲哀を感じた。
 
9月11日の惨状を率直に伝えた写真展 9月11日の惨状を率直に伝えた写真展
 
NYの街を正確に描写したペリコリの作品
 
9月11日の惨状を率直に伝えた写真展 NYの街を正確に描写したペリコリの作品

 
他にも特別展として、原爆スパイ容疑で処刑されたローゼンバーグ夫妻にまつわる品々を展示。実際に彼らがソヴィエトにアメリカの情報を売ったのかどうか真偽の程は定かではないが(無実だったとの見方もある)、この展覧会では夫婦が実際に使った出納帳や電気椅子が展示されていた。
 
3階はThe Henry Luce III Centerで、NYの生活用品や武器、絵画などを通して来館者が学習をする施設。面白いのは、展示品にはすべて作家名や特定の地域が記されていない。ただ使われていた年代ごとに、机なら机が80個、花瓶なら花瓶が200個、スプーンならスプーンが400個と無造作に並べられており、解説は一切なし。実はこの学習センターは“物は語る”と題されており、物がもっている流行スタイルから見る側が、当時の暮らしぶりを推測するというもの。全部で4万個の展示品を収蔵している。 1階から3階までぎっしりNYの歴史が保存・再現された博物館である。
 
ローゼンバーグ夫妻が処刑された電気椅子 ヘンリー・ルースIII・センター:エントランス
 
ヘンリー・ルースIII・センター:内部
 
ローゼンバーグ夫妻が処刑された
電気椅子
ヘンリー・ルースIII・センター:エントランスとその内部
 
 
 
 
New Museum of Contemporary Art (ニュー・ミュージアム)
583 Broadway bet Prince & Houston St New York, NY 10012

http://www.newmuseum.org
 
 1983 年に設立されて以来、常に新しいアートシーンを紹介し続けている。
MoMAが正統派の現代美術を紹介する一方、ニュー・ミュージアムは奇抜なコンテンポラリー・アートを展示している。前前回のポール・マッカーシー (裸でケチャップを塗りまくるお騒がせな作家)に続き、今回の特集はトム・フリードマン。1500個のチューインガムを噛んで丸めて一つの大きな玉にした作品や、スパゲッティの麺、一パックを茹でて全ての端と端をつなぎエンドレスにした作品、6ヶ月間に渡ってスーパーから盗んだ200個の小さなボールを展示した作品など本気で馬鹿をやっている所が素晴らしい。
 
ニューミュージアム外観
ニューミュージアム外観
ニューミュージアム・ロビー
ニューミュージアム・ロビー
トム・フリードマンの「ホットボール」。6ヶ月かけて彼が盗んだボールを展示
 トム・フリードマンの「ホットボール」。
 6ヶ月かけて彼が盗んだボールを展示
 
他にも爪楊枝や歯磨き粉、鉛筆の削りかすを使った作品など、日常の身近なものをアートにしたものが多い。 
今回1階では特別展として25年間に渡る当館のコレクションを展示。 
Sam Hsiehの一年間のプロジェクト(1年間部屋の中に設置した檻に入って外に一歩もでない、または川のほとりで焚き火をして暮らして、それ以外の活動は一切しない等)が写真によって再現され、体や生活を張ったアーティストの根性が伺えた。
 
またジャックリーン・フレイサーの難解なインスタレーションA portrait of the lost boys(消失した少年たちの肖像)が迷路のように、設置されていた。これは華やかなピンクのサテン地のカーテンに、黒のレースを纏った針金製の11体の女性像と男の子の頭が、吊る下がったもの。その下には各国における差別・偏見を示唆した文章や詩が、10代で自殺した少年たちのために捧げられている。ファッション性の高いスパンコールやレースのスカートと裏腹に社会が追い詰めた少年たちの自殺という重いテーマが提示されている。
この作品には数千の楊枝が使われている
この作品には数千の楊枝が使われている
ジャックリーン・フレイサーの「ロスト・ボーイズ」写真はその一部
ジャックリーン・フレイサーの「ロスト・ボーイズ」写真はその一部
© 1998 The New Museum of Contemporary Art
 
今回のワールド・トレード・センターに対するニュー・ミュージアムのリスポンスとして“ワールド・ヴュー Open Studio”展を12月1日〜1月13日まで開催予定。これはLower Manhattan Cultural Council (以下LMCC:ローワーマンハッタン文化協会)と共同企画したもの。 LMCCは毎年5ヶ月単位でアーティストをニューヨークに招待し、アトリエを開放して作品製作の場を提供してきた。ところがそのオフィスはワールド・トレード・センター5の92階にあったため、貯蔵してあった作品群も破壊され、アーティストも1人亡くなった。LMCCは2日だけ見学のためにアトリエを民間に開放していたのだが、今回作品発表の場が破壊されたため、ニューミュージアムの1階を使って、追悼の意味もこめて同展が開かれることになった。亡くなったアーティストを弔うと共に、破壊された作品も修復して出品する予定。
 
 他にも地下のメディアZラウンジでは最新のメディアを使ったアートを無料で放映している。ミュージアムショップでは現代美術書の品揃えも豊富である。 
若者が集まるソーホー・エリアだけあって、パワーが漲っている美術館だ。暗い雰囲気が漂っているニューヨークの中で、こういった美術館には頑張ってもらいたい。
(2001年11月 スミ・ヒロコ)

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