■海外情報 * overseas network
| Barney's New York 遊びのDisplay |
|
|
|
|
| |
|
|
|
柳原さん、お元気ですか?久々のレポを送ります。NYはこのところやっと暑くなって来ました。アメリカはヨーロッパ、南米、アジアほど、サッカー!一筋という感じはなく、個人的にまた国ごとに楽しんでいるようです。
さて、今年の春、Barney'sがSoho(Wooster St.とSpring St. Prince St.の間:236 West 18th Street)に、Barney's Co-opとしてOpenしました。Co-opはBarney'sのカジュアルな路線です。Co-opとは(日本の)生協のことではなく、似通っていますが、"協同の"という意味です。
Cooperative Apartment(直訳すると、協同組合式アパート)のような数人で借りたりしているリーズナブルなアパートのことを略してCo-opと言われることがあり、そんなカジュアルをイメージしてつけられたそうです。
場所はComme de Garcons→Prada Sportsがあったところで、一階と地下だけのデパートとしては小さいSohoサイズ、商品はLadiesだけです。歴史を辿れば、Men'sのディスカウントスーツ店として始められたBarney's。時代の移り変わりと共に変化し、今回新しい挑戦を始めました。人々に愛されるだけでなく、Fashion界でも高い地位を築き上げてきたBarney'sのWindow & InteriorのDisplayについて、Barney's専属のDisplay Designer、キタムラ フミトさんとのインタヴューを交え、Featureします。
まずは、意外と知られていないBarney'sの歴史。
1923年、Men's Clothing Discount Storeとして17thSt.7thAveにBarney's PressmanによりOpen。その後、息子のFred Pressmanにより次第に拡大されていき、1968年からヨーロッパのDesignerをFeature。1970年に画期的なWarehouse Sale(倉庫一掃セール)で注目を浴びる。1976年Giorgio Armaniをアメリカで売りだし、同時期にWomen's Clothingを始める。1989年、現在のBarney's NYを61stとMadison Ave.をOpenし、1997年に17丁目のStoreをClose。その他、LAを始めアメリカ主要都市にStoreがあり、当時主要株主だった伊勢丹の関係で日本にも新宿店があります。
Displayでは、1985年にSimon Doonanを招き、当時のDisplayの常識を打ち破る一大センセーショナルを巻き起こしました。今は現場に来ることはほとんど無いそうですが、DoonanのConceptとIdeaは受け継がれています。
●インタヴュー(Fred、Barney's9FlのBar, Restaurantにて)
 |
|

|
| Fred's、Barney's9FlのBar, Restaurant |
| ―A(タカハラ): 今年、Sohoに新しくOpenされましたが、どんな感じのお店ですか?
|
F(キタムラさん):Barney's Co-opとしてカジュアルな路線で、Ladies物だけを扱っています。実は、あまり知られて無いんだけど、European Import中心のBarney'sのイメージ(実際にそうだし)と反対に、AmericaのDesigners'だけしか置いてない。それには裏話があって、SohoでImport商品を売るLicense を取るのがとても難しくて取れなかったのだけど、投資家の間でそれが逆にうけて、これからアメリカ 国内でも同じStoreを出そうとうことになっているらしい。
| ―A : Privateになりますが、フミトさんがDisplayを始めた理由はなんですか? |
F: 1993年にNYに来た時、Simon Doonanの手掛けたBarney'sのDisplayを見てすごいと思った。その時は日本の大学の芸術学部にいたんだけど、卒業して、日本のBarney'sのDisplayの仕事に就いて、3年働いてから、FITに留学してこっちのBarney'sに就職し、今3年目です。
| ―A : 昔Simon Doonanさんのことを、何かの記事で読んだことがありますが、映画もやってらっしゃると書いていたような気がしますが…。
|
F : 色んなことをやっているよ。American Fashion Awardも受賞しているし。Display界の常識を変えた人だから、やっぱりすごい。 今でもSimonの考えはBarney'sのDisplayには受け継がれているし、その大きなひとつは"遊び"だと思う。例えば、Simon、Barney'sのDisplayでは、釣り糸やピアノ線などの見えない吊るし糸は使わない。
Simon曰く"今更その部分だけ見えない糸を使って、見る人に、すごーい飛んでるんだーって感動して欲しいの?"とう事らしい。
要するにもともと作り物の世界 "遊び"なんだからわざわざその部分だけ隠してもしょうがない訳で、それだったら時には麻紐、時にはワイヤーなど遊べる素材を使ってDesignとして楽しんだ方が良い。どんなDesignもそうだと思うけど、DisplayでもConceptやStoryがとても大切で、そんな中にも"遊び"心があるものが多い。
 |
|

|
|

|
(左)●Clerco、靴が頭に乗っかってたり、足に首輪がつながってたりして何かがおかしい… (中・右)●Designer CollectionのFl、前から2番目の人が コインをばら撒いているというStory、コインは全部で$75分
|
 |
|

|
|

|
(左)●子供のマネキンにBoxingのグローブかぶせたり、靴を履かせたり。 ちなみに子供服売り場ではありません (中)●女の人がSaleで取り合いをしている所 (右)●Veronique Branquinho デザインの服、パーツパーツの写真を色々とって飾ってある |
 |
|

|
Martin Margielaデザインの服、空き缶を白く塗っている。 黒の目隠しはMargielaのコレクションから引用
|
| ―A : そう言われてみると、店内のどちらかと言えば洗練されたシンプルなイメージや、Designers'の高級品という感覚からはかけ離れた驚くようなShow Windowが良くBarney'sでは見られますね。
|
F : Barney'sの洗練された商品、店内のイメージはもう既に一般には根付いているので、そのことをWindowを通してあえて伝える必要はなくて、逆に前を通った人に、楽しんでもらったり、あっと驚いてもらえる方が良い。そういう意味ではTargetは特になく、日常のエンターテイメントとして、どんな人でも楽しめるようにしています。特にクリスマスは少し子供寄りなDesign。Displayが日常の風景、エンターテイメントというのはSimonの考えなんだけど、Barney'sではWindow Displayを変えている時も隠さずに見せます。
| ―A : 実際のお客さんの層はどういった方々ですか?
|
F : Fashion業界やFashion好き、お金持ちや特にセレブの人が多い。年齢層は値段も少し高めということもあり、30,40,50代になるかな。Arnold Shwarzenegger、Meg Ryan、Michael Jackson、Tim Burtonなど映画関係、俳優や芸能界の人も良く来る。 どちらかというと洋服としての機能性よりもデザインが気に入れば買ってしまう人達で、極端に言えば、頭が入らなくても良いと思えば買ってしまう。その点では、"遊び/ユーモア"を大切にするBarney'sと合っているし、ちょっと変わったWindowでも楽しいと思う人達。
| ―A : Barney'sが他のデパートや、店と違う所は何ですか?
|
F : Barney's基本三原則みたいなので、"Taste"、"Luxury"、"Humor"をとても大切にしている。Fashion DesignerがBarney'sの"Taste"を信頼してくれているから出来ることがあって、Window Displayの中で、色んなDesignerの物を自由に使える。 Magic Mixと呼ばれているのだけれど、例えば、シャツがArmaniでスカートがGucci、何を使うかとかはこちらに任せてもらえるので、本当に色々自由に出来る。
| ―A : 日本とアメリカのDisplayでここが違うと思うことは何ですか?
|
F : アメリカの方が出てくる発想も、受け入れてくれるアイデアの幅も広いと思う。あと、アイデアソースが豊富だし、それを実際に使える事が多い。例えば、道に落ちている物でも、今、目の前にあるカップや食器でも全て使える訳だし、そう考えると、どんどん楽しいアイデアが湧いてくる。実際に道で拾ってきてそれを使う事もあるし、Displayで使う多くの材料や素材はFree Marketで買ってくるか、自分達で作る。Costを下げる為だけでなくDesignを考えても、新しい物を買って来ることは極力しないですよ。
アンティークを使ったDisplay
 |
|

|
|

|
(左)●フリーマーケットで買ったシャンデリアを白く塗ってある (中)●古い塗料も所々剥げているハンガー (右)●1¢を貼り付けたハンガー |
受け入れてくれるというのは、実際にやって良い許容範囲が広いということ。
タブーや、規制が少ないから色んなことが出来るし、アイデアが実現される可能性も高い。例えば、前にやったことがあるのだけど、障害者の人達の作ったカーペットなどの作品を使ってDisplayしたり、子供達の書いた絵を使ったこともある。2年前のクリスマスには、普段マネキンが着ている同じ格好を学生にしてもらって、一日Windowの中で過ごしてもらったことがある。普通にお茶を飲んだり、たまに踊ったり。1950年から年代別のテーマをそれぞれのWindowを作ってその中にそれぞれ二人づつ入っているんだけれど、それを見た人達にどれが一番良かったかを投票してもらって、優勝グループに$1000の奨学金を出してあげました。
日本の方が色んな面で洗練されていると思うけれど、まだまだこちらのCopyも多いのかな。古いものを使ったり、遊び心を出したりしたDesignは洗練された物より作るのが難しいと思う。全てがぼろぼろだったり、滑稽だったりすると、本当に安っぽくって、格好悪いものになってしまうし、そこが大変。
| ―A : お話をお伺いしていると、いつかBarney'sのWindowのガラスがなくなってたりしそうですね。
|
F : やった人いるらしいよ。
F : Salvador Daliが1920年代にWindow Displayの仕事でNYに招待された時、わざとガラスを壊してそこからにょきっと何か外に突き出して、はい終わり、って言ってホテルに帰ってしまったらしい。
昔はDisplayはArtistの仕事だったから、Andy Warholなんかもやっていたそう。
●
インタヴューの後も、店内のDisplayを細かく説明して頂きました。フミトさん本当にありがとうございました。
 |
|

|
|

|
(左)●後姿のフミトさんと、店員さん(左側)、LadiesのBuyerの人(右側) (中・右)●先月リニューアルOpenした地下のコスメティック売り場。 Show Caseはロンドンから呼んで描いてもらった絵を使った特別注文の物で統一されています。全体的にSoftでかわいい感じ。Channelとかもあったのですが従来のちょっときつい感じのとは雰囲気が違いました。Show Caseも真っ直ぐ並べたりせず、でこぼこしてたり、ジグザグにしていたり、ここにも"遊び"が見られます
|
 |
|

|
|

|
(左・中)●61st、Madison AveのStoreのWindow。Richard Tylerの特集で、彼のDesignした服を着た女性達(Jackie Kennedyとか)の白黒の写真がWindow中に飾られています (右)●Men's物のWindow Display
|
 |
|

|
|

|
(左)●ホームウェアーのDisplay。とてもシンプル (中)●SohoのStoreの写真。 見えにくいけど、右の壁には、マネキンの色んなパーツを使ってCo-opと書いてあります (右)●SohoのStoreのWindow。 何気に下の方に、ここで売られているShaver Creamとか飾ってある(青と白のチューブ) |
これまで全体的な雰囲気を見て洗練されたイメージを持っていたBarney'sですが、色んなところに遊び心やアンティークを使ったおもしろさを改めて発見し、とても勉強になりました。
それでは皆さん、夏ばてにはくれぐれも御注意下さい。
(2002年6月 タカハラ・アイコ)
このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2002 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.
|