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ユーロスターの新駅、セントパンクラス駅
Report27_Nov.2007

 セントパンクラス駅は外観、その建築自体がゴージャスだ。(写真1) 元々大英博物館の図書室として機能していた大英図書館とキングスクロス駅の間にある。いずれもEUSTON ROAD沿いに並んでいる。このセントパンクラス駅が、2007年11月14日からユーロスターの駅として開通した。1994年から13年に渡って英国のユーロスターの駅として活躍したWaterloo(ウォータールー)駅に替わって新ターミナル駅となった形だ。約17億円を投じてのリニューアルオープンは大きな話題になった。Goodbye Waterloo, Hello St Pancras. というキャッチフレーズのもと、売りである186mph(時速186マイル)が新聞や雑誌、駅のポスターまで、様々なメディアをにぎわせていた。今回この駅でのユーロスターの開通にちなんで、セントパンクラス インターナショナル駅という名前が付けられ、竣工式では英国女王が挨拶をしたと言う記事と写真が新聞に載っていた。ユーロスターの駅員やスタッフなど総勢800名もウォータールー駅を離れ、11月14日から新しくセントパンクラス駅で働いている。(写真2)


写真1 : セントパンクラス駅外観

写真2 : St Pancras駅スタッフのユニホーム

 この新ターミナル駅の開通、新線路の導入により英国内でも速度を緩めずに走行する事ができるようになり、最高速度時速300kmが実現したという。英仏海峡を結ぶユーロスターでのロンドンからパリまでの所要時間は2時間15分、ロンドンからブリュッセルまでは1時間51分と、これまでより約20分短縮された。黄色と紺色がキーカラーのユーロスターはフランスTGVをもとにアルストム社によって開発された国際高速鉄道だ。(写真3)1994年のオープン以来これまでのユーロスター利用者は約8000万人で、waterloo駅を年間利用者6000万人を超えるロンドンで一番混雑する駅にするのに貢献したと言われている。1986年1月20日に英国サッチャー首相とフランスのミッテラン大統領の間で英仏間を鉄道で繋ごうという話が交わされてからユーロスターが現実のものとなったわけだが、その後ユーロスターによって初めて英国とフランスが結ばれたのは1994年のことで、当時はロンドンパリ間の所要時間は2時間55分だったという。その後2003年に高速線が登場、2時間35分を記録していた。1994年のユーロスターの開設以来これまで、フランス人がユーロスターでパリからロンドンにやってくると、皮肉にもその駅の名前はWaterloo(英語読み:ウォータールー)だった。それは1815年のナポレオン率いるフランス軍がイギリス連合軍に敗れたベルギーのワーテルローの戦い(Waterloo:フランス語読み:ワーテルロー)を思い出させていたわけだが、そのWaterlooのユーロスター13年間の歴史も2007年11月13日で幕を閉じた。


写真3 : ユーロスターの乗降口。側面にロゴが見える。

 セントパンクラス駅はキングスクロス駅のすぐ隣にあり、ユーロスターの発着駅になる前は、ミッドランド ラインという英国中部を結ぶ長距離列車が乗り入れていた。ちなみにキングスクロス駅と繋がっているこの駅は、映画「ハリー・ポッター」の撮影場所としても使用された。歴史をさかのぼると、1867年に竣工されたセントパンクラス駅舎の設計はWilliam Henry Barlow(ウィリアム ヘンリー バーロー)1874年竣工の駅ホテル(建物の部分)の設計はGeorge Gilbert Scott(ジョージ ギルバート スコット)によるものだ。ヴィクトリア朝ゴシック・リヴァイヴァル様式の駅舎には豪華な装飾が施され、ロンドンで一番奇麗で派手な駅と言われたらしい。(写真4) かつての大英帝国の絶頂時の権威を感じる。アーチスパン約73m、高さ約30m、全長210mの鉄骨建築とガラス屋根の大きな天井を持つプラットホームはとても大きく、このアーチのスパンは当時世界最長を誇ったという。(写真5、6、7) 長い間使われていなかった駅舎がユーロスターの駅として復活した形になるが、今見てもこのアーチは実際本当に大きい。屋根はユーロスターの乗り入れに際し拡張したらしいが、高い位置にある時計塔は当時からのシンボル的存在だ。(写真8)



写真4 : ヴィクトリア朝ゴシック・リヴァイヴァル様式の駅建物。真ん中にキーストーンと呼ばれる形の異なる石が入る事でアーチが成り立つ。

写真5 : プラットホーム。時計の下から見て。

写真6 : プラットホーム。時計側を見る。



写真7 : とにかく天井が高い。手前のクリスマスツリーも相当大きいのだが、天井のせいでこじんまりと見える。

写真8 : プラットホームの下のショップ。時計を見あげる。

写真9 : 銅像も高い天井を見上げている。

 新しい駅舎にはカフェ、ヨーロッパ1長いシャンパンバー(写真11)、ショップなどがオープンし、乗車前に食事や買い物を楽しむ事ができる。 ユーロスターは今後、ドイツ、スペイン、イタリアへも延長を予定しているという。2012年のロンドンオリンピックに向けて、ヨーロッパの主な都市への行き来はもしかしたら電車が主流になるかもしれない。今現在でも、ロンドンからパリやベルギーに行く際には、ユーロスターを選ぶ人が多くなってきている気がする。ヨーロッパ圏は格安航空券が発達しているので飛行機の方が安いと考えがちだが、値段があまり変わらないなら、郊外にある空港に2時間前までに行く事を考えると、町中の駅から出発でき、出発の30分前に手続きをすれば良いユーロスターの方が気軽なのかもしれない。




写真10 : 男女の銅像。別れを惜しんでいるのか、出会いに感激しているのかはわからないが、近くで見ると大き過ぎる。ユーロスターから降りた時に見る様に計算されているのだろうか・・・。

写真11 : ガラスのアーチの下にヨーロッパ1長いシャンパンバー。

写真12 : 列車のゲートオープンを待つ人達。電光掲示板には英語とフランス語が交互で表示される。駅のアナウンスも英語とフランス語。

 「The £800m Railway Station/800万ポンドの駅舎」というタイトルで、BBC2でこのセントパンクラス駅復活のドキュメンタリー番組が2夜連続でやっていた。建設現場に焦点を当て、「必要がないところに金をかけるつもりはない」が口癖の施工エンジニアリーダーを中心とする「コストと時間との戦い」がテーマの男の物語だった。その世代の一番の鉄道マンになるのが夢という建築家の人生をかけたストーリーも語られていた。新駅の登場で色んな事が頭を巡ったが、この番組を見て一生懸命やる事はすばらしいと感じさせられた。


-- ご意見ご感想があれば、お願いします。 眞島 弘樹




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