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海外情報 *
mucking_around_london
Greenland Dock
Report 12_August.2006

 テロのニュースで騒々しいロンドンだが、今回はロンドンの割と静かな場所を歴史を絡めて紹介したいと思う。ロンドンの東、zone2に位置するテムズ川沿いのcanada waterという所にあるGreenland Dock(写真1)周辺は、閑静な住宅街だ。(写真2,3)水辺の環境を作るために都市計画のひとつとしてテムズ河から水を引いてドックを作ったのかと思っていたが、歴史を紐解いてみると、かつて捕鯨貿易や材木貿易の拠点として栄えていた波止場であった事がわかった。この場所がcanada waterと言われる由縁もカナダやバルチックから材木を輸入していた事に由来する。londonは海に面している訳ではないのでテムズ河が輸送路として大きな役割を担っていた。1695-1699年にかけてテムズ河の南側に初めて作られたこの埠頭は当初the Howland Great Wet Dockと名付けられたが、1793年に売却され今のGreenland Dockと呼び名を変えた。


1.Greenland Dock の位置。

2.Greenland Dock周辺の住宅街。

3.Greenland Dock周辺の住宅街。

 17-19世紀前半にかけて捕鯨貿易はこの時代の重要な経済、商業活動を支えていた。長年に渡ってロンドンが捕鯨貿易の中心地であった事にも驚かされた。鯨の脂肪から得るオイル(特にマッコウクジラの潤滑油)や骨までが使われ、Greenland Dockは捕鯨船の港として活躍した。捕鯨はとても危険なビジネスだったという記録も残っている。1854年に捕鯨貿易の拠点がニュージーランドのオークランドに移った事でロンドンの捕鯨貿易は事実上終わりを告げ、また次第に鯨の数が少なくなり産業が成り立たなくなったという。

 この近辺にあるパブの名前もかつて捕鯨で栄えた場所である事を感じさせる。"THE SHIP & WHALE"(写真4)や "THE MOBY DICK"(写真5,6)など。MOBY DICKは有名なメルヴィルの長編小説のタイトルで、邦題は『白鯨』だ。執念でモビーディックと呼ばれる人食い鯨を追い続ける物語で海洋文学作品の中では最高傑作と言われていると聞く。ちなみに有名なコーヒーチェーン『スターバックス』の語源はこの小説の中にでてくるコーヒー好きの一等航海士『スターバック』らしい。


4.パブ "THE SHIP & WHALE"の看板。

5.パブ "THE MOBY DICK"の看板。

6.パブ "THE MOBY DICK"の外観。

 1895-1904年にGreenland Dockは94万ポンドの費用をかけて長さ550ft、幅80ft、深さ35ftまで拡大した。カナダのSt. Lawrence川との間を何度も往復し、1970年の閉鎖までは特に材木貿易の港として活躍した。今はもう錆びて使われていない大きなクレーンが残っており、かつて貿易の港として栄えた面影と言うか、形跡が残っている。(写真7)
 閉鎖後、徐々に再開発が進み1982年に現在のような姿に変わった。現在Greenland Dockには野生の魚、鳥も多く住み、時に白鳥もこの場所を訪れる。週末にはヨットで余暇を楽しむ人達も居れば、(写真8)船で生活している人達も多い。(写真9)かつては鯨を釣り上げていたこの場所で、今は許可を得て魚釣りをする人達の姿はとてものどかだ。(写真10)Greenland Dock越しに見る、夜のcanary wharfのビル群の存在感は眩しいほどに光っている。(写真11)時代の移ろいを感じる。


7.テムズ河沿いに残る今はもう錆びて使われていない大きなクレーン

8.週末のヨットは優雅な雰囲気。


9.船上生活する人達に住所があるのかは知らない。

10.Greenland Dockで釣りをする親子

11.Greenland Dockから見るCanary Wharfの夜景

reference : www.southwark.gov.uk



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