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産業技術の継承と人材教育を目的とした先駆的施設 北九州イノベーション ギャラリー 北九州市は4月21日、北九州市の発展を支えてきた「モノづくり」の産業技術の保存・継承、人材育成、イノベーションの機会創出を目的とした「北九州イノベーションギャラリー(北九州産業技術保存継承センター)」をオープンした。
施設内容は、江戸末期から現代の技術革新に関する年表を常設展示する「年表のギャラリー」、イノベーションとデザインをテーマにした企画展を開催する「企画展示ギャラリー」、講演や産業技術映像の上映を行なう「プレゼンテーションスタジオ」、産業技術とデザインに関する書籍や市内企業の社史、書籍、映像を収集・公開する「ライブラリー」、工作機械を設置しワークショップや技術者育成を行なう「工房」などから構成されている。 現在日本は、韓国や中国の技術的な追上げを受けるなかで、戦後の経済発展を支えてきた日本の高度技術をいかに次の世代に伝えていくかが大きな課題となっている。日本の「モノづくり」が再評価されるいま、地元産業界からの期待も高く、同センターでは民間と協力しながらさまざまなプログラムを実施していくという。 単なるモノの展示ではなく、イノベーションをテーマに人材育成を図るという自治体の施設は全国にも例がなく、同センターの今後の活動が注目される。
北九州市の人口は、1981年の106万人をピークに現在99万人にまで減少し、高齢化率も高くなっています。これまで北九州市は「モノづくりの街」といわれてきましたが、それを受け継ぐ若い人材が減少していることは大きな問題で、強い危機感を感じています。そして、北九州市が今後さらに発展していくには、技術を通して世の中に貢献しようとする人材、新しい価値のものを生み出せる人材、生産性を向上させる人材などがどうしても必要で、それには人材を育てなければならないと考えています。 10年以上前には、科学系博物館をつくろうという計画もありましたが、科学博物館は全国どこにもありますし、同じものをつくっても仕方ありません。日本の産業発展に大きく貢献してきたという北九州市の歴史を踏まえて、国家的な視点から、日本の近代以降の産業技術の歴史、技術革新に関する情報を収集し、保存・継承する、それを未来のヒントにしながら「イノベーションをリードする人材を育てよう」というのが当ギャラリーのコンセプトです。 当ギャラリーの前に立つ東田第一高炉(北九州市重要文化財)は、建物が東西の方向に向いてつくられています。なぜかというと、昔の製鉄所の工場配置を見ますと、ほとんどがそのように並んでいます。軸が東西からずれていると生産の段階で製品が磁気を帯びて悪影響が出るという話を新日鉄のOBの方に聞きました。この軸は大切な産業の基軸と捉え、当ギャラリーもこれに合わせて高炉と平行になるよう東西方向に軸を合わせて建設されています。東田高炉は北九州市のモノづくり、いわゆるハードのシンボルとして、また、ここは人材育成というソフトのシンボルにしたいと考えています。 開館までの5年間、プレイベント(教育普及事業)としてテクノロジーやイノベーションを広く啓発するためのフォーラムや塾、市民カレッジなどを開催し、その内容を映像で記録するなどオープンに先行して活動を重ねてきました。「施設が完成したから、みなさん利用してください」ではなく、このセンターで何をやろうとしているのか、プレ活動を展開しながらPRをしてきました。利用者のメインは工業高校生、大学生、大学院生を想定していますが、子どもや女性にもぜひ利用していただきたいです。 北九州市には、産業遺産、技術の知、その技術を支えてきた人材の3つの資産が残っています。技術をもちながら退職した方々がまだ元気でいらっしゃいますので、そういう方々に先生になってもらい若い世代にその技術を伝えていきたい。また、県外からも研究者や技術者などをお招きし、いろいろな講座も開催します。隣接地には広場があるので、そこで技術をテーマにしたイベントなども行なっていきます。 いまの行政に求められているのは、人と人、モノとモノ、技術と技術、これらを有機的につなげることだと思います。新しいことをはじめるには、異分野の方々との交流が絶対に必要です。市内の企業、OB、専門家の協力を得ながら、優秀なイノベーターが輩出できるよう活動していきます。
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