| HOME > tansei.net25号 > THE SC [連載第16回] |
生活者の視点に立った商業施設の開発・運営を推進
双日商業開発(株) 地方自治体と一緒に“まちづくり”の視点から 総合商社「双日」は、日商岩井(株)とニチメン(株)の合併により2004年4月に誕生した。双日の100%子会社である双日商業開発(株)は「モラージュ」の施設ブランドにより、郊外型ショッピングセンター(RSC)を展開。佐賀市、柏市(千葉県)に続き、08年には菖蒲町(埼玉県)に大規模なRSCの開設を計画している。商業デベロッパーとしては“新進”の双日商業開発において、SC開発の旗を振る同社取締役・河野宏毅氏に、SC事業展開の現状と今後についてお話を伺った。
2003年3月開業の「モラージュ佐賀」から
河野 2004年4月に総合商社の日商岩井(株)とニチメン(株)が合併して双日(株)が発足しました。当社は、双日の発足に伴い、日商岩井のグループ企業であったエヌアイ商業開発(株)が社名変更したもので、ショッピングセンターの企画・開発・管理・運営を行っています。 日商岩井の不動産部門が母体のエヌアイ商業開発は、商業施設についてはスーパーマーケット・NSCなどの小規模な商業施設の開発・管理・運営を手がけている程度でしたが、佐賀市に2003年3月21日にオープンした「モラージュ佐賀」から、大型の郊外型ショッピングセンター(RSC)を手がけるようになりました。
河野 基本的な考えは、郊外立地で、核テナントを両端に配置し、その間を専門店で繋ぐ「2核1モール型」の本格的なRSCを開発することでした。半径10km圏30万人の商圏人口を成立与件に設定していますが、佐賀市の場合は半径15kmに50万人の人口があります。 モラージュ佐賀では、核店舗として、総合スーパー(GMS)の「西友」と総合ディスカウントストアの「MrMax」を誘致しました。西友は、ウォルマートの考えが反映された1号店のディスカウント型のGMSとなりました。専門店はアパレル、雑貨、飲食など約70店舗を配置。駐車場は九州最大級の約3000台を収容する規模を用意しました。
河野 「モール(Mall)」と「時代(Age)」を組み合わせた造語で、これからの大型ショッピングセンターはモールが主流となることを見据えて命名しました。
河野 オープン当初は、佐賀には、大型の商業施設はGMSの「ジャスコ佐賀大和店」しかなかったので、両者が並存してやっていけると考えていました。しかし、05年4月にイオン九州(株)さんが新業態であるスーパーセンター(SuC)の1号店として「イオンスーパーセンター佐賀店」を出店し、06年12月には(株)イズミさんが九州最大級のSCとなる「ゆめタウン佐賀」が開業するなど、競合が一気に激化しました。 そこで、そうした環境の変化に対抗するためモラージュ佐賀を増床することを決定し、06年11月に南館を新設しました。営業面積は、それまでの3万6300m2から5万2800m2に拡大しました。 南館の新設にあたっては、お客様からの要望が高かったシネマコンプレックス(シネコン)を導入することとし、(株)東急レクリエーションさんの「109シネマズ」を誘致しました。東急レクリエーションさんにとっては九州初進出でしたが、10スクリーン2000席と県内最大級のシネコンとなる「109シネマズ佐賀」は、ワンランク上の設備とサービスで、幅広い層の集客を実現しています。 南館には、シネコンのほかにも、店舗面積2310m2の大型アミューズメント施設や同1815m2のCD・DVDショップなどを導入。さらに、敷地内に独立棟でスーパー銭湯も開設する予定です。これにより、エンターテインメント性や非日常性、そしてライフスタイルの提案性を織り交ぜた多様な空間を創出できると考えています。
テナント構成の見直しを
河野 モラージュ柏も、モラージュ佐賀と同様、25〜35歳の親とその子どもの「ニューファミリー層」をメインターゲットに、ヤングからシニアまで幅広いお客様が楽しめるショッピングセンターとすることに心がけました。 コンセプトは「自分流のスタイル発見」と「生活情報の拠点」で、核店舗は食品スーパーの「ヤオコー」とホームセンターの「ロイヤルホームセンター」、大型スポーツ用品店の「スーパースポーツゼビオ」の3核で構成。専門店モールは「衣・食・住」を満遍なくカバーする構成としました。
河野 人がたくさんいるところは当然、店舗も多くなり、競争も厳しくなります。開業から日が経つに連れて、だんだん魅力が落ちたといわれないように、テナント構成の見直しを継続的に行っていくことなどで、SCとしての魅力を高めていきたいと考えています。
河野 柏の場合は、全体面積の関係で、核店舗をGMSにするとモールに導入できる専門店の数が制約されてしまうということがありました。しかし、日常生活に「食」は欠かせないことから、食品スーパーを核店舗として誘致したのです。ただ、GMSは、何でも揃うので、お客様には安心感があるということも言えますので、今後もケース・バイ・ケースで決めていきたいと考えています。
河野 オープンは6月ごろの予定で、敷地面積14万3000m2、商業施設面積9万m2という大規模なショッピングセンターとなります。広域からの集客を目指しており、足元の菖蒲町をはじめ、隣接する加須市や鴻巣市、久喜市、蓮田市、北本市、桶川市、騎西町、白岡町、伊奈町はもちろんのこと、幸手市、羽生市、行田市、上尾市、川島町、吉見町も商圏としてみているほか、古河市など茨城からの来店も期待しています。商圏人口は半径5km圏で9万4000人、同10km圏で59万8000人、同15km圏で128万5000人にのぼります。 規模が大きいので店舗数は270店舗程度になりそうですが、佐賀や柏の経験を踏まえて、新しい試みにも取り組んでいきたいと考えています。店舗数が多くなれば多くなるほど、お客様にとって選択肢が増えることになります。 最終的な詰めは、まだ終っていませんが、集客力をもつ大型店を核店舗に、付加価値の高いシネマコンプレックスも入れていきたいと考えています。
生活者の視点にいま一度立ち戻り
河野 テナントさんは、デベロッパーがどれだけ集客力のある施設をつくるかという点を注視しています。あのデベロッパーだったら、人を集めてくれるという安心感ですね。RSCに百貨店が入ることで、集客できるお客様の層も広がります。当社も、実績を積み重ねていき、百貨店を誘致できるようにしたいですね。
出店が可能な地域にするためには、都市計画区域を変更するなどの調整が求められるので、これまで2年かかったものなら、さらに1年余計にかかるというように、出店手続きのための期間は少し長くなりますが、出店がまったく不可能になるわけではありません。 中心市街地への影響が少ないような地域では、各自治体も誘致に積極的になることも予想されます。ですから、私どもとしましては、行政と一緒に「まちづくり」に取り組んでいくという姿勢で開発を進めていきたいと考えています。
河野 海外での事業展開の可能性について、排除するつもりはありませんが、現在は、まず国内で実績を積み上げて、お客様に認めてもらうことが先決だと考えています。中国やインドに限らず、人口が多く、経済発展が見込める国々で、個人所得が向上して、車社会となり、インフラが整備されているところであれば、可能性は高いと思います。
河野 これまでの商業施設は、お客様に対してプロダクトアウトの傾向がなかったとはいえないと思います。ですから、いま一度、生活者の視点に立ち戻って、商業施設の開発・運営に携わっていきたいと考えています。
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