| HOME > tansei.net25号 > 新世代百貨店 21世紀の提言 連載第13回 |
(株)大丸は、今年、創業290年の節目を迎える。同社のルーツは、享保2(1717)年京都・伏見で呉服専門店をなりわいとしたことに始まる。社是の「先義後利」(お客様に役立つ事を先にすれば、利はおのずと後について来て必ず栄える)はとくに有名な企業理念で、顧客視点に立った経営を今日まで営々と紡ぎ、築いてきた。
今期、創業290周年の
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小林 「東京新店」の拡大計画は、二段階で進められます。
小林 そうです。現在の東京店の売場面積が3万1500m2ですから、第一期開業の時点では微増ですが、第二期では約4万6000m2となり、約1.4倍に拡大します。
小林 大丸はこれまで、京阪神を中心とした西日本に店舗が集中しており、東日本は手薄でした。しかし今年、東京新店のオープンに加え、横浜市都筑区に今春オープンする「ららぽーと横浜」と、さいたま市浦和区に今秋オープン予定の「浦和パルコ」にそれぞれ食の専門大店を出店します。
小林 大丸グループ・リグロースプランのもと、積極的に営業改革を進めているところです。やはり、営業収益を増加させるには、「新規出店」が重要です。そういう意味では、いまは、しっかりした基盤を築きつつあるところで、今回の首都圏における三つのプロジェクトの結果がどのように出るかが大きなターニングポイントになります。特に、首都圏における拠点となる東京新店の成否は、大きな意味をもつものと考えています。
「東京新店」は
婦人服・雑貨を強化へ
小林 札幌店の運営モデルは、まったくの新店だから実施できたもので、既存店に札幌モデルを適合させるには、さまざまな条件を整備しなければなりません。 確かに札幌店は、従来の百貨店と比べるとみなさんが驚かれるくらい少ない人員で運営しています。が、社員がきちんと対応しなければならないところは重点配置するなど、人員配置には工夫を凝らしています。札幌の店に行かれても、極端に店員が少ない店だとは思われない筈です。 百貨店は、お客様から「サービスが悪い」と思われたら失敗です。人的サービスを厚くするべきところは厚くし、薄くしてもよいところは思い切って薄くする。東京でも、スリムな体質にするということでは、時間をかけて改革を進めてきましたので、これから急に大改革をやるということではありません。
小林 和29(1954)年に東京店開業後、募集したのが「パートタイマー」の始まりです。そのときは「奥様、お嬢様の百貨店、3時間勤務」という広告を出し、話題になりました。常に新しいことに取り組んでいくという姿勢は大事なことだと思います。
小林 現在でも力を入れていないわけではありませんが、これまではなかなか、受け入れて頂けなかったという面があります。東京の場合、ファッションに強い百貨店というと、新宿の伊勢丹さんや銀座の松屋さんと世間の評判が決まってしまっています。また老舗として、三越さんや高島屋さんもございます。 そうしたなかで、大丸東京店は周辺がビジネス街ということもあって紳士服は、それなりの評価を得ています。が、レディスファッションの分野では、あまりアイデンティティがありませんでした。百貨店にとってレディスファッションは、やはり最も重要な分野のひとつですから、新店に生まれ変わるのを機にレディスファッションを強化したいと考えました。時間はかかると思いますが、「東京駅に洒落た百貨店があるよ」と言われるようにしていきたい。
小林 昭和29(1954)年に東京店を開設するときに、大阪店の紳士服が取引先様そのまま一緒に出店したという経緯がありました。丸の内、八重洲のビジネス街に立地した百貨店として東京駅に隣接しているということもあり、東京店は男性が入りやすい百貨店で、そのことはこれからも大切にしていきたいと思っています。しかし、いくらメンズが強いといっても、お客様の7割は女性です。そこをきちんとつくる必要があります。 現在の店舗は、横に長いので目的の売場まで辿り着くのに時間がかかったり、分かりにくさがありました。新店はスクエアなフロアですので、分かりにくさは大幅に改善されると思います。
レストラン2フロア、
ミュージアムも
小林 レストランやミュージアムなどの施設は、最初にしっかりと設備をつくっておく必要があります。東京駅八重洲口周辺は、飲食は店舗の数はたくさんありますが、きちんとしたレストランは意外と少ない。また、のんびりとくつろげるような喫茶店もそれほど多くありません。ですから、そういうものを百貨店の中にしっかりと構築していこうと考えています。新店のレストランフロアはガラス張りで見晴らしも非常にいいので、夜は、お酒を楽しんでいただけるようなレストランを設置する予定です。
小林 なるべく早い時期に1000億円を達成したと考えています。東京・丸の内・八重洲は、それくらいのポテンシャルのある街だと思います。大丸東京店は都内百貨店ランキングで、なるべく早くベスト10に入るようにし、お客様からは、「良い店だ」、「良い服がある」と言っていただけるような、アイデンティティを獲得したいと思っています。
小林 いまのところは、まだ決定していません。5年も先のことですので、いまからはとても予測できません。逆に何に使うかを検討するのに5年もあるというのが、プラスと考えています。今後、周辺エリアは、大きく変貌しますからもう一度「東京店」のマーケットを見直し、4万6000m2をどのように使うかを考え、セッティングし直すことができるのは、大きな強みになると思います。
横浜と浦和へ出店
小林 ショッピングセンターの中に百貨店が「食のゾーン」だけ出店するというのは、大丸でもこれまでありません。が、東京店の地下食品売場やグループ企業の(株)大丸ピーコックが展開する「大丸ピーコック」など、「食」に関して大丸グループは力があります。ですから、そうした力を有機的に連携して、高いレベルの「食の専門大店」を出店することができるようになりました。 また、横浜でも浦和でも、その地域特産の「食」があれば、なるべくそれを導入するようにしたい。食の好みは、その土地、その土地で大きく異なります。店舗の運営手法は全国同じですが、食品は微妙に違います。出店する地域ごとに、そこに合った店をつくっていく必要があります。 また、「ららぽーと」という郊外型ショッピングセンターの食品と、「パルコ」という都市型専門店ビルの食品では、その内容も自ずと異なってくると思います。その分、百貨店としての工夫や挑戦しがいがあるといえます。
小林 大丸として百貨店以外の新規業態にどこまで参入できるかというチャレンジです。これまでの大丸の資産を使いながら拡大できる要素のあるものは、それにチャレンジしていこうということです。
小林 東京店は、オープン直前まで全館売り尽くしセールを展開し、京阪神の店舗では、創業290周年のアニヴァーサリーに力が入ります。
斎藤秀樹の提言 百貨店業界では、関が原の合戦になぞらえ、東西の雄を“東の三越、西の大丸”と囃し立ててライバル意識を燃やした時代が長らく続きました。時は流れ、バブル崩壊後の今日は、“東の伊勢丹、西の大丸”と主役を差し替えざるを得なくなったようです。 東の新しい旗頭は、ファッション販売では他社の追随を許さず、破綻した地方の盟友(ADO)を次々に救済する「伊勢丹」です。それに対し西の「大丸」は、2003年札幌進出で大成功を修めた後、ポテンシャルナンバーワンの企業として再度評価されるようになった。 札幌店は、今なお地域一番の売上げ伸長率を誇っているばかりでなく、企業大丸にとっては収益面での貢献度が著しい店となった──いわば、「百貨店としてのサービスを落さず、ローコスト運営を実現している高収益店舗」で、すっかり、“高収益企業の大丸”のイメージが広く定着する契機となったのです。
ちなみに、2007年2月期決算〈予想〉をみると、三期連続増収増益を達成した他、営業利益(340億円)は4.0%と業界トップクラス。経常(335億円)、当期利益(170億円)は、ともに過去最高を更新するなど絶好調だ。
折から、同社はグループ挙げてリグロース(再成長)戦略を推進中で、今年から第二ステージに入る。同戦略の最終目標は、業界首位を目指すこと(現在、売上高では業界4位)。それだけに今期の首都圏戦略の行方が、そのまま同リグロース戦略の成否にダイレクトに反映することになる。 それ故、首都圏三プロジェクト開業で「どんな“小林マジック(例えば、最小の経費で最高の効果を上げるミニマックス戦略)”が仕込まれるのか」が、いまから取り沙汰され、かつ熱い視線が注がれている。 のページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2007 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |
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