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同時誕生!2つの文学館
北九州市の中心地に誕生した“過去と未来を結ぶ文学の架け橋。”
 
 北九州市立文学館

 森鴎外や杉田久女、林芙美子、松本清張など北九州市ゆかりの文芸作家の資料を展示する「北九州市立文学館」が2006年11月1日、北九州市小倉北区の勝山公園内にオープン。館長には、旧八幡製鉄所の出身で、現在、同市門司区在住の直木賞作家、佐木隆三氏が就任した。

 陸軍第十二師団軍医部長として明治32(1999)年6月から足かけ4年にわたり小倉で過ごした森外が“新しい文化を蒔いた”といわれる北九州は、7人の芥川賞作家と6人の直木賞作家を輩出するなど“文芸土壌豊かな街”。そうした土壌を背景に北九州市では、森外が資料・史実に即して市井の人物の生涯を描いた「史伝もの」を残していることにちなみ「北九州市自分史文学賞」を平成2(1990)年に創設。毎年400篇もの応募がある同賞は、「自分史」というユニークな文芸ジャンルを全国に発信してきたとして高い評価を受けている。

 

隣接する中央図書館とともに1975年に開館し、2002年11月の「北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)」開館に伴い閉館した「歴史博物館」の建物(設計はともに磯崎新氏)を活用
隣接する中央図書館とともに1975年に開館し、2002年11月の「北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)」開館に伴い閉館した「歴史博物館」の建物(設計はともに磯崎新氏)を活用

 北九州市立中央図書館に隣接する旧歴史博物館の建物を活用して開設された文学館は、北九州がもつ豊かな文芸土壌を守り育てていく“市民の文芸ステーション”、および、“北九州市自分史文学賞の情報発信拠点”として展開していく。

 明治以降における北九州の文芸のあゆみと、北九州にゆかりのある文学者を紹介する常設展示室「北九州文芸ギャラリー」は2階に設置。同ギャラリーでは、貴重な文芸資料の展示のほかパネルや映像を通して、北九州が持つ豊かな文芸土壌に触れることができる。

 1階には「企画展示室」「自分史ギャラリー」「交流ステージ」「ワークステーション」「資料検索コーナー」などを配置している。

 企画展示室では、北九州ゆかりの文学者はもとより、著名作家の企画展や他館との連携による展示のほか、夏休みには子ども向けの企画など、幅広いジャンルで多彩な展示を行う。企画展を開催していないときには、文学館が所蔵する資料を適宜展示。自分史ギャラリーでは、大賞をはじめとする受賞作品や作者の紹介とあわせて、自分史文学の魅力を紹介。これまで出版された受賞作品を読むこともできる。

 また、交流ステージとワークステーションは、文芸団体、同人誌グループ、文芸ボランティアなどの情報交換や交流の場として開放。集会や合評会、作品発表・展示、朗読会、文芸講座等に利用されている。
「当館で知った作家の作品をじっくり読んでみたいと隣の中央図書館に行かれる方や、図書館で作品を読んでみて、その作家のことをもっと知りたいと思い文学館を訪れる方も出てきました」(北九州市立文学館・兒玉一雄氏)など、文学館と図書館が隣接して建つ相乗効果も出ているという。また、「文学碑をはじめ市内には北九州ゆかりの文学者の施設も数多くありますので、当館がゆかりの地をめぐっていただくためのガイドとなるようにしていきたい」(兒玉氏)考えである。

「インフォメーション」は、常設展図録や企画展図録のほか、絵葉書、一筆箋、クリアファイルなど北九州ゆかりの文学者にちなんだオリジナルグッズを販売する「ミュージアムショップ」を兼ねている エントランスを入ってすぐの「シンボルウォール」では、北九州ゆかりの文学者の作品の一節を投影 常設展示室「北九州文芸ギャラリー」の「導入展示」では、北九州にゆかりのある文学者の直筆原稿や句、書などを背景に、小説、詩、短歌、俳句など様々な分野で活躍した22名(左側から、岩下俊作、穴井太、志摩海夫、伊馬春部、東潤、松本清張、みずかみかずよ、越智弾政、杉田久女、仰木実、劉寒吉、橋本多佳子、栗原一登、森外、阿南哲朗、神崎武雄、三苫京子、火野葦平、浦橋七郎、林芙美子、野村喜舟、横山白虹)を紹介
(左)●「インフォメーション」は、常設展図録や企画展図録のほか、絵葉書、一筆箋、クリアファイルなど北九州ゆかりの文学者にちなんだオリジナルグッズを販売する「ミュージアムショップ」を兼ねている
(中)●エントランスを入ってすぐの「シンボルウォール」では、北九州ゆかりの文学者の作品の一節を投影
(右)●常設展示室「北九州文芸ギャラリー」の「導入展示」では、北九州にゆかりのある文学者の直筆原稿や句、書などを背景に、小説、詩、短歌、俳句など様々な分野で活躍した22名(左側から、岩下俊作、穴井太、志摩海夫、伊馬春部、東潤、松本清張、みずかみかずよ、越智弾政、杉田久女、仰木実、劉寒吉、橋本多佳子、栗原一登、森外、阿南哲朗、神崎武雄、三苫京子、火野葦平、浦橋七郎、林芙美子、野村喜舟、横山白虹)を紹介

「常設展示」は、24mに及ぶ年譜により各時代の文芸トピックでわかりやすく紹介する「北九州文芸の歩み」、箱状の展示ケースを使い資料を定期的に入れ替えることで多くの文学者を紹介する「文箱展示」、北九州にゆかりのある文学者のうち代表的な11名(森外、杉田久女、橋本多佳子、横山白虹、阿南哲朗、林芙美子、劉寒吉、岩下俊作、火野葦平、松本清張、みずかみかずよ、芥川賞・直木賞作家一覧)のオリジナル映像(各5〜6分)が見られる「北九州ゆかりの文学者」などで構成 「常設展示」は、24mに及ぶ年譜により各時代の文芸トピックでわかりやすく紹介する「北九州文芸の歩み」、箱状の展示ケースを使い資料を定期的に入れ替えることで多くの文学者を紹介する「文箱展示」、北九州にゆかりのある文学者のうち代表的な11名(森外、杉田久女、橋本多佳子、横山白虹、阿南哲朗、林芙美子、劉寒吉、岩下俊作、火野葦平、松本清張、みずかみかずよ、芥川賞・直木賞作家一覧)のオリジナル映像(各5〜6分)が見られる「北九州ゆかりの文学者」などで構成
「常設展示」は、24mに及ぶ年譜により各時代の文芸トピックでわかりやすく紹介する「北九州文芸の歩み」、箱状の展示ケースを使い資料を定期的に入れ替えることで多くの文学者を紹介する「文箱展示」、北九州にゆかりのある文学者のうち代表的な11名(森外、杉田久女、橋本多佳子、横山白虹、阿南哲朗、林芙美子、劉寒吉、岩下俊作、火野葦平、松本清張、みずかみかずよ、芥川賞・直木賞作家一覧)のオリジナル映像(各5〜6分)が見られる「北九州ゆかりの文学者」などで構成

常設展示室の一角に設けられた「北九州文学マップ」では、床に張った巨大な地図に九州にゆかりのある文学者だけでなく、高浜虚子や若山牧水など北九州の文学に影響を与えた文学者をはじめ、万葉集や芭蕉など170基以上ある市内の文学碑の位置を記すとともに「松本清張記念館」など市内にある文学関連施設も紹介。モニターで碑文や解説を検索することができる 「ワークステーション」は、「交流ステージ」とともに、文芸団体や同人誌グループをはじめとする“市民の交流の場”として、集会や合評会、作品の発表・展示、朗読会、文芸講座などに活用 磯崎新氏がデザインしたステンドグラスは、江戸時代の大分の思想家、三浦梅園の著書『玄語』で描かれている図が基本となっている
(左)●常設展示室の一角に設けられた「北九州文学マップ」では、床に張った巨大な地図に九州にゆかりのある文学者だけでなく、高浜虚子や若山牧水など北九州の文学に影響を与えた文学者をはじめ、万葉集や芭蕉など170基以上ある市内の文学碑の位置を記すとともに「松本清張記念館」など市内にある文学関連施設も紹介。モニターで碑文や解説を検索することができる
(中)●「ワークステーション」は、「交流ステージ」とともに、文芸団体や同人誌グループをはじめとする“市民の交流の場”として、集会や合評会、作品の発表・展示、朗読会、文芸講座などに活用
(右)●磯崎新氏がデザインしたステンドグラスは、江戸時代の大分の思想家、三浦梅園の著書『玄語』で描かれている図が基本となっている


「企画展示室」では開館記念特別企画展として来年1月14日まで、1906(明治39)年に北九州の地に生まれた3人の作家の自筆原稿や遺愛品など初公開の資料を含め展示する生誕100年記念「火野葦平・岩下俊作・劉寒吉」展を開催。同展に合わせ北九州市立文学館では、3人の代表作4作品を所収する「文学館文庫」を発刊。今後も郷土の文学者の作品で「文庫」の刊行を予定 「企画展示室」では開館記念特別企画展として来年1月14日まで、1906(明治39)年に北九州の地に生まれた3人の作家の自筆原稿や遺愛品など初公開の資料を含め展示する生誕100年記念「火野葦平・岩下俊作・劉寒吉」展を開催。同展に合わせ北九州市立文学館では、3人の代表作4作品を所収する「文学館文庫」を発刊。今後も郷土の文学者の作品で「文庫」の刊行を予定
「企画展示室」では開館記念特別企画展として来年1月14日まで、1906(明治39)年に北九州の地に生まれた3人の作家の自筆原稿や遺愛品など初公開の資料を含め展示する生誕100年記念「火野葦平・岩下俊作・劉寒吉」展を開催。同展に合わせ北九州市立文学館では、3人の代表作4作品を所収する「文学館文庫」を発刊。今後も郷土の文学者の作品で「文庫」の刊行を予定

「北九州市自分史文学賞」の受賞作品・作者を紹介する「自分史ギャラリー」。第一弾として、日中戦争さなかの昭和12年、八幡製鉄野球部が都市対抗野球大会で優勝するまでを描いた平成10年大賞・北九州市特別賞受賞作『黒獅子旗に燃えた男たち』のストーリーをパネルで紹介するとともに、ゆかりの品を展示 小倉城を中心として広がる「勝山公園」内に開設。同じ公園内にある「松本清張記念館」とは、両館に入館すると、それぞれの入館料が2割引となる「共通割引チケット」を販売
(左)●「北九州市自分史文学賞」の受賞作品・作者を紹介する「自分史ギャラリー」。第一弾として、日中戦争さなかの昭和12年、八幡製鉄野球部が都市対抗野球大会で優勝するまでを描いた平成10年大賞・北九州市特別賞受賞作『黒獅子旗に燃えた男たち』のストーリーをパネルで紹介するとともに、ゆかりの品を展示
(右)●小倉城を中心として広がる「勝山公園」内に開設。同じ公園内にある「松本清張記念館」とは、両館に入館すると、それぞれの入館料が2割引となる「共通割引チケット」を販売

 

北九州市立文学館 館長
直木賞受賞小説家
 
佐木 隆三

文学を通じて
人と人とが交流していく場を
提供していきたい

佐木氏

 明治34(1901)年に官営八幡製鉄所が創業し、それまで半農半漁の寒村だった北九州は、日本の近代化を支える一大工業地帯となり、また、九州の鉄道の拠点として門司に鉄道管理局が置かれるなど交通の要衝として、さまざまな人が集まってきました。

 そして、多くの企業で従業員の文芸活動が盛んになり、八幡製鉄所の『製鉄文化』や門司鉄道管理局の『門鉄文化』などのように、企業が従業員に発表の場を提供したことにより、「職場文学」が花開きました。

 さらに“会社が場を提供する雑誌”では飽き足らない人たちが、小説、評論、俳句、俳文、川柳、短歌、詩など、さまざまなジャンルにおいて同人雑誌を発刊していったことなどにより、豊かな文芸土壌が北九州の地に育まれていったのです。

 そうした土壌を背景に、北九州から多くの文学作品が生まれ、また、多くの文学者が北九州市と関わりをもってきました。しかしながら、これまで北九州市に総合的な文学館がなかったことから、そうした文学者の資料は散逸してしまっています。

 1987年に3代市長に当選した現市長の末吉興一さんが「北九州市ルネッサンス構想」を策定し、北九州市にゆかりのある文学者の資料を集めるための施設をつくることを打ち出しました。

 北九州市立文学館では、北九州市とゆかりの深い作家や作品の資料の展示を通じて、市民の皆さんに北九州市の素晴らしさを再発見していただくとともに、市民の交流の場としていきたいと考えています。

 官営八幡製鉄所などで文芸活動が盛んになったのは、西日本一円から、さまざまな人が集まり、方言をそのまま持ち込み、お国自慢の歌を歌い、故郷の民話や昔話を語り合うという、人と人との交流があったからだと思います。

 ですから北九州市立文学館でも、交流ステージやワークステーションを、同人誌の集まりや読書サークルの読書会など、さまざまな形で活用していただければと思っています。

 そして何よりも、子どもさんたちが来て、面白いといって親しんでもらえるようにしなければなりません。そのためにも、市内の小・中学校を回って“セールス”して歩こうかとも考えています。


データ 2006年12月現在
[所在地]

福岡県北九州市小倉北区城内4-1

[オープン] 2006年11月1日
[事業主体] 北九州市
[延床面積] 2.250m2(展示施設1,027m2、収蔵庫333m2、事務室・研究室・荷解搬入室等890m2
[構造・規模] RC造・地上2階地下2階建
[施設構成] インフォメーション&ミュージアムショップ、常設展示室、企画展示室、自分史ギャラリー、交流ステージ、ワークステーション、資料検索コーナー、書籍閲覧コーナー、シンボルウォール
[開館時間] 火〜金曜日9:30〜19:30、土・日祝日9:30〜18:00
[休館日] 月曜日(休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)、館内整理日
[入館料(常設展)] 一般200円(160円)、中高生100円(80円)、小学生50円(40円)
※( )内は団体料金
[年間パスポート] 一般400円、中高生200円、小学生100円
[URL] http://www.city.kitakyushu.jp
 

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