| HOME > tansei.net23号 > THE SC [連載第14回] |
デベロッパーの最大の使命は不動産の最有効利用
大和ハウス工業(株) 土地オーナーさんやテナントさんの多様な要望に 住宅建設や都市開発事業の大手企業である大和ハウス工業(株)が、さまざまな商業施設を展開する『デベロッパー』でもあることは、意外と知られていない。同社は、土地の有効活用を考えている土地オーナーと、新しいビジネス拠点のために候補地を探している流通企業の双方のニーズをジョイントする独自の高度な土地有効活用システム「LOCシステム」を展開。全国をネットする情報網を活かした豊富な土地情報の集積をベースに、
出店企業には事業計画に最もふさわしい土地を提案し、土地オーナーには収益性の高い土地活用法を提案する同システムによる取組みの実績は、すでに2万5000件以上に上っている。
大和ハウスグループの『総合力』を活かして
福島 大和ハウス工業(株)は建設をベースにした会社ですが、その建築で培ったノウハウの活用として1977年から流通店舗の建築・開発にも取り組んでまいりました。私どもは、その長い歴史の中で、時代状況や立地条件に合わせて大型モールからフリースタンディングの店舗まで、あらゆるタイプの店舗開発を手がけています。デベロッパーさんのお手伝いをする場合や、自らデベロッパーの役割をする場合など、取組みの形もいろいろです。 私どものPR不足もあって、大和ハウスの商業・流通の店舗開発事業ということは一般にはあまり知られてないかもしれませんが、グループ全体で開発面積やテナントさんの数ではトップクラスの実績があると自負しています。今期の流通店舗の受注高は約2000億円になりますが、そのうちの約600億円が大型SCで、残りがロードサイド店舗などフリースタンディングの店舗です。流通店舗というと大型商業施設の開発が注目されがちですが、私どもは、それ以外の部分がその2倍以上もあり、それが大きな特徴となっています。 流通店舗開発については、現在、100%出資の大和工商リース(株)、大和情報サービス(株)、ダイワロイヤル(株)に加え、イオン(株)さんと共同出資で設立したロック開発(株)などの事業会社があり、それぞれの案件の状況に合わせてコラボレートするということを積極的に行っています。それぞれの会社の強いところをもっと伸ばし、弱い部分は補完していく。総合力を活かして、あらゆることに対応できる体制を目指しています。
福島 私どもの流通店舗事業は、一つのタイプに特化するということではなく、ロードサイド型店舗も開発すれば都市型店舗も開発するということで、不動産証券化にも取り組みます。あらゆるものをグループ各社が協力・調整して取り組んでいくということを考えています。私どもは、あくまで、法人や個人の土地のオーナーさんに対し、土地の有効活用についての企画提案をするということがベースですから、何かに特化するということではなく、個別の案件に柔軟に対応するということが求められています。 私どもの最大の強みは、全国各地にいる営業マンです。当事業部門の営業マンだけで、昨年60人、今年は80人入社させました。来年も100人程度採用する予定です。本部の支援部隊やグループ会社の増強に一部人員をまわしても、約800人の営業体制になります。これだけの組織は他社にはないものだと思います。これをどう大きく強くしていくかということが私どもの戦略の核となります。特にこの3年間が勝負だと考えています。それをもとにしてグループ会社とコラボレートしながら、シナジー効果を目指していきたいと思います。
福島 土地オーナーさんのところに何度も通って、いろいろな情報を聞き、またいろいろな提案を行うということです。これが大和ハウスのベースです。それがすべての事業につながっていくわけです。われわれの営業マンは、常日ごろから「どこに空き地がある」とか、「どこの畑が耕作されていない」といった情報を集め、それを基に、さまざまな働きかけを行います。ですから、私どもが手がける物件の多くは、他社との競合なしで企画・開発ができるのです。
「基準ありき」ではなく「物件ありき」で
また「基準」というのは、時代によって変わっていきます。フリースタンディングがいいという時代にはフリースタンディングの店を提案してきました。複合とフリースタンディングと半々にしたいという場合にはそれに合った提案をし、大規模な不動産の開発の場合は、多くのテナントさんに声をかけて大規模な商業施設の開発が可能になるようにしてきました。土地オーナーさんやテナントさんから、さまざまな要望が寄せられるのに対し、「私どもはこういう基準でしかできません」と答えるわけにはいきません。あらゆる要望に対応できるようにするというのが、私どもの基本戦略です。
福島 湘南モールフィルはある会社の工場跡地です。従前はその土地の一部だけを使用していましたが、私どもが活用されていない部分も含めて新たな有効活用の提案を行ったのがプロジェクトのスタートです。最初から商業施設をつくるということではなく、土地の有効活用を考えるということから始まって、どのような施設がいいかという検討の結果、あのような商業施設案がまとまったわけです。そのような進め方が、私どもの開発の一つの特徴です。 開発にあたっては、施設規模の限界から、ファッションのカテゴリーを切り捨てて、食と住に特化しました。103のショップ、レストランが出店しており、本格的なライフスタイルセンターとして人気を集めています。月の来街者が約88万人、レジ通過客が約63万人、総売上高は年間約220億円となっています。 同施設は、大和情報サービスがPM業務を担当していますが、関連会社で今後、さまざまにコラボレートしていくうえで、そうしたノウハウの蓄積は大事です。これから商業施設運営は難しくなると思います。お客様も時代も地域もどんどん変化していく。そういうなかで何十年も同じコンセプトを持ち続けるということは無理があります。逆に、いかに自在性、自由性を持っているかということがこれからの新しいコンセプトになると思います。
福島 そうですね。フリースタンディングの店舗でも、土地オーナーさんは「不動産事業」として捉え、テナントさんは「小売業」として捉えます。不動産事業は10年、15年という長いスパンで収益を考えますが、小売業は5年程度の期間で収益を考えなければなりません。そこのところの組立てをどうしていくかは、今後ますます重要な課題になっていくと思います。グループ企業とコラボレーションすることで、そういう状況にも対応しやすくなると考えています。
“変幻自在”な対応を旨とする当社にとり
福島 これまでも1万m2以上というのはそれほど多くありませんから、影響はほとんどないと思います。むしろ、これからはNSC(近隣商圏型ショッピングセンター)タイプが増えるということで、より自在に対応できると思います。これまでも横浜市旭区の「横浜四季の森フォレオ」、高知県四万十市の「四万十ショッピングガーデン」など、中小規模の地域密着型ショッピングセンターを全国各地で手がけています。全国に営業マンを配置しているので、あらゆる対応ができます。その意味で「まちづくり三法」の改正は、私どもにとってはむしろフォローとなるという部分もあります。 中心市街地での開発が進むことになるわけですが、これまでも私どものグループ会社でホテルや立体駐車場をやっています。そういうことも含めて、やがて中心市街地活性化の動きにも結びついてくると思います。中心市街地の再開発で、商業施設も、マンションも、ホテルもできる企業というのは、ほかにはあまりないのではないでしょうか。たとえば、水戸駅南口の区画整理事業地区内に今年四月オープンした「COMBOX310」は、ホテルやシネマコンプレックス、飲食店、ゲームセンターなどの複合施設ですが、これからこういうタイプの開発が増えていくではないでしょうか。
福島 お付き合いのあるオーナーさん5000人が参加する「オーナー会」を組織していますが、同会の会員の方たちの資産活用・運用ということにトータルに取り組んでいきたいと考えています。また、大和ハウスでは、これまで「建築の工業化」ということを進めて来ましたが、小規模な飲食店やコンビニエンスストアなど定型化することが可能な店舗については、リニューアル、「リビルド」を含めてシステム化していきたいと考えています。多店舗展開をする場合は、「建築」も含めて店舗を考えていくことが大切です。 さらに、私どもはこれまで、ユニクロさんのように地方出身で全国規模まで成長した流通業と取り組んで事業を展開してきたという実績がありますが、今後も地方のスーパーやドラッグストアなどとコラボレートしながら、さまざまな展開を考えていきたいと思います。
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