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「南極体験ができる」展覧会が国立科学博物館で開催

 日本南極観測50周年記念
 ふしぎ大陸南極展2006


 1956年11月に第1次南極観測隊が観測船「宗谷」で東京・晴海埠頭を出航してから今年で50年、日本南極観測50周年を記念した特別展「ふしぎ大陸 南極展 2006」が2006年7月15日〜9月3日の51日間にわたり、東京・上野の国立科学博物館で開催された。

 同展は、これまでに蓄積された観測の成果、 南極および地球環境問題の知識を広く普及し、理解を促進することを目的にしたもので、“未踏の地”であった南極点を目指した「探検」の時代から、地球環境の変化を知るうえで重要な現代の「観測」までを、当時の資料や映像などで紹介。

 展示は、来館者を南極大陸へと誘う大型映像によるプロローグから始まり、「探検の時代」「観測の時代」「オーロラ」「南極の生きもの」「隕石からのメッセージ」「南極大陸のなりたち」「地球環境の窓」の7部で構成され、最後にエピローグとして『南極観測の重要性』を解説する構成となっている。

 第1部の「探検の時代〜日本最初の南極体験〜」では、アムンゼン(ノルウェー)やスコット(イギリス)の国を挙げての極点到達競争に、日本から果敢に挑んだ白瀬矗陸軍中尉が1910〜12年に行った『わが国最初の南極探検』の資料を展示。

 第2部「観測の時代〜南極観測の50年〜」は、57〜58年の国際地球観測年に向けて56年11月に日本を出発した第1次南極観測隊の映像や装備をはじめ、同隊とともに南極に渡ったカラフト犬「タロ」「ジロ」の剥製や、現在の観測隊が暮らしている昭和基地の部屋の再現など、『50年間にわたる南極観測の歴史』がわかる展示物で構成された。

プロローグ「ふしぎ大陸南極へ」では大型映像「南極に進路をとれ!」が来館者を南極へと誘う 「観測の時代」では、第1次観測隊の映像や装備をはじめとする南極観測50年の歴史を展示 「探検の時代」では、漁船を改良した204t余の木造帆漁船「開南丸」で『南極探検』に挑んだ白瀬隊の軌跡を解説
(左)●プロローグ「ふしぎ大陸南極へ」では大型映像「南極に進路をとれ!」が来館者を南極へと誘う
(中)●「観測の時代」では、第1次観測隊の映像や装備をはじめとする南極観測50年の歴史を展示
(右)●「探検の時代」では、漁船を改良した204t余の木造帆漁船「開南丸」で『南極探検』に挑んだ白瀬隊の軌跡を解説

極寒の南極で“奇跡の生還”を果たしたタロとジロが、観測隊が実際に使用した犬ぞりの横で8年ぶりに再会 第1次観測隊が建築し利用した日本初のパネル組立式の建物(写真右)を公開。実際に使用していた通信機などで当時の樣子をふり返る 現在の観測隊が暮らしている昭和基地の部屋も再現し「50年前」と比較
(左)●極寒の南極で“奇跡の生還”を果たしたタロとジロが、観測隊が実際に使用した犬ぞりの横で8年ぶりに再会
(中)●第1次観測隊が建築し利用した日本初のパネル組立式の建物(写真右)を公開。実際に使用していた通信機などで当時の樣子をふり返る
(右)●現在の観測隊が暮らしている昭和基地の部屋も再現し「50年前」と比較

 また第3部の「オーロラ」では、南極で撮影されたオーロラの映像を大型ハイビジョンで放映するとともに、通信衛星を利用して会場と昭和基地をテレビ会議システムで結んでライブ中継を行う「ライブステージ」を開催。

 約10mにわたって南極の景色を再現した第4部「南極の生きもの」には、南極の動物の映像を流すとともに、ペンギン、アザラシなどのはく製やシロナガスクジラの複製頭骨、ミナミゾウアザラシの骨格などを展示。さらに、手の動きなどに反応してスクリーンのペンギンが寄って来たり、オーロラを体験したりすることができるインタラクティブな映像コーナーを設置し人気を集めた。

続く第5部「隕石からのメッセージ〜世界最大の隕石コレクション〜」では、南極で採取された1万6200個の隕石コレクションの中から、火星や月が起源とされる隕石を展示。

 第6部の「南極大陸のなりたち〜南極にも恐竜がいた〜」では、南極で発見された肉食恐竜クリオロフォサウルスの頭骨化石(日本初公開)や、植物化石、アンモナイトの化石に加え、04年に南極で初めて発見された竜脚類恐竜化石が世界で初めて公開された。

 そして、第7部「地球環境の窓」では、オゾンの観測で用いる計器や、地球の過去の環境変化を調査するために氷床を掘削する深層掘削ドリル、さらに南極から持ち帰った氷山の氷の実物を展示。

 ペンギンのフリッパーやシロナガスクジラのヒゲ、火星や月の隕石、氷山の氷などは、実際に手で触れることができるなど、『本物』にこだわった「参加・体験型」の展示物が会場を埋め尽くした。

“南極点”の前で本物の防寒服を着ての記念撮影も実施 「オーロラ」では、南極で撮影したオーロラの映像の放映のほか、会場と昭和基地を結んだ「ライブステージ」も開催
(左)●“南極点”の前で本物の防寒服を着ての記念撮影も実施
(右)●「オーロラ」では、南極で撮影したオーロラの映像の放映のほか、会場と昭和基地を結んだ「ライブステージ」も開催

オーロラをイメージした演出で“南極の雰囲気”を盛り上げる 観測隊が実際に使用した雪上車「SM25S」など『実物』にこだわった展示に注力
(左)●オーロラをイメージした演出で“南極の雰囲気”を盛り上げる
(右)●観測隊が実際に使用した雪上車「SM25S」など『実物』にこだわった展示に注力

南極で発見された恐竜やアンモナイトの化石を展示する「南極大陸のなりたち」には、アメリカ・オーガスタナ大学所蔵の「竜脚類 恐竜の腸骨」の化石を世界初公開 「隕石からのメッセージ」は、コンドライト、炭素質隕石、鉄隕石、ダイオジェナイト、ユークライトや南極で発見された火星や月が起源とされる隕石を集積
(左)●南極で発見された恐竜やアンモナイトの化石を展示する「南極大陸のなりたち」には、アメリカ・オーガスタナ大学所蔵の「竜脚類 恐竜の腸骨」の化石を世界初公開
(右)●「隕石からのメッセージ」は、コンドライト、炭素質隕石、鉄隕石、ダイオジェナイト、ユークライトや南極で発見された火星や月が起源とされる隕石を集積

「南極の生きもの」では、映像やペンギンの剥製やミナミゾウアザラシの骨格などの展示物で南極の生物を紹介 「南極の生きもの」では、映像やペンギンの剥製やミナミゾウアザラシの骨格などの展示物で南極の生物を紹介 南極の氷山の氷に触れる「体験コーナー」も設置
(左・中)●「南極の生きもの」では、映像やペンギンの剥製やミナミゾウアザラシの骨格などの展示物で南極の生物を紹介
(右)●南極の氷山の氷に触れる「体験コーナー」も設置

「地球環境の窓」では、日本の観測隊が世界で初めて70万〜100万年前とされる氷の採集に成功した氷床堀削技術を紹介するとともに、2500メートルの深さにおよぶ採掘から得られた約30万年前の氷床コア(氷のサンプル)も展示し南極大陸から地球環境を考察 手の動きに反応してスクリーンのペンギンが近寄って来るインタラクティブ・メディアアート「ペンギンとあそぼう」 「南極展」のオリジナルグッズも販売
(左)●「地球環境の窓」では、日本の観測隊が世界で初めて70万〜100万年前とされる氷の採集に成功した氷床堀削技術を紹介するとともに、2500メートルの深さにおよぶ採掘から得られた約30万年前の氷床コア(氷のサンプル)も展示し南極大陸から地球環境を考察
(中)●手の動きに反応してスクリーンのペンギンが近寄って来るインタラクティブ・メディアアート「ペンギンとあそぼう」
(右)●「南極展」のオリジナルグッズも販売

第2会場では朝日新聞社のカメラマンの撮影による写真展を開催 本館出口付近の中庭に屋外展示として大型雪上車「SM100S」と低温室「南極体験館」を設置。「SM100S」は長さ7m、重さ11tで同展覧会の最大の展示物 零下5℃の「南極体験館」では“南極の世界”を体感できる
(左)●第2会場では朝日新聞社のカメラマンの撮影による写真展を開催
(中)●本館出口付近の中庭に屋外展示として大型雪上車「SM100S」と低温室「南極体験館」を設置。「SM100S」は長さ7m、重さ11tで同展覧会の最大の展示物
(右)●零下5℃の「南極体験館」では“南極の世界”を体感できる


朝日新聞社 事業本部 文化事業部
企画委員

堀越 礼子

「南極」から「エジプト」。
実物と映像のコンビネーションで
幅広い層の方々が楽しめる
展覧会を提供していきます

堀越氏

 展覧会のテーマとして「南極」というのは、実はなかなか難しいんです。「南極」という言葉を聞くと、多くの人がオーロラやペンギンといった「自然」を頭に思い浮かべることと思いまが、本当のオーロラを展覧会場にもってくることはできませんし、展覧会で生きたペンギンを展示するわけにもいきません。ですから、逆に、あたかも実際に南極にいるかのように感じられるような展覧会ができないかというのが、今回の「ふしぎ大陸 南極展 2006」のスタートとなりました。

 映画『南極物語』でも知られるタロとジロが8年ぶりに一緒に展示されたのも、今回の展覧会の展示の“目玉”の一つですが、ジロは先に南極で死に、タロは日本に帰ってきてずいぶんたってから死んでいますので、タロとジロを並べてみますと、ジロのほうが肉付きがいいんです。ジロはもともと国立科学博物館(科博)にいますが、タロは普段は北海道大学の植物園・博物館にいますので、そういうことになかなか気がつきませんが、こうして並べて展示することで改めて気がつくようになります。ですから展示物については、徹底して「実物」にこだわりました。
 第1次隊のパネル組立式建物は稚内から運んできましたし、恐竜の化石もアメリカのシカゴまで行って借りてきました。屋外展示の雪上車は、南極で実際に使用しているもので、それを観測船「しらせ」で持って帰ってきていただきました。

 そして、展示物だけでは説明しきれない部分を映像で補足しました。この展覧会のために、新たに11本の映像を制作しましたが、たとえば「オーロラ」は、どうしてオーロラが発生するのか、その仕組みをきちんと説明したうえで、大画面でオーロラのハイビジョン映像を見せるというように、お客様が何を求めていて、それをどのように見せたら最も南極を感じられるかという部分に注力しました。
「南極を感じる」という点では『体験型・参加型の展示』ということも、今回の展覧会の特徴です。ペンギンの翼やクジラのヒゲ、火星や月の隕石、氷山の氷などに触り、防寒具を試着し、雪上車の内部を覗き、低温室で零下の世界を体験できるなど、普段は触れられないものに「触れ」「感じ」「理解する」展示とすることを心がけました。通信衛星を利用して会場と南極の昭和基地をテレビ会議システムで結び、ライブで越冬隊員と話をすることができる「ライブステージ」なども週4日を基本に実施しましたが、子どもさんたちを中心に大変な人気を集めました。

 また10月7日からは、「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」を南極展と同じ会場で開催します。同展は、世界有数の古代エジプトコレクションを誇るイギリスの大英博物館で、2004年7月から1年以上に渡って開催され人気を呼んだもので、日本でも東京会場は来年2月18日までの4か月強のロングラン開催で、科博さんの特別展としては最長になると思います。その後、3月から6月まで神戸市立博物館に巡回します。

 同展では、展覧会場の半分のスペースを使い、幅14mの大型スクリーンを備えた約400人収容の「ミイラシアター」を特設します。同シアターでは展示のイントロダクションとして、古代エジプトのミイラ「ネスペルエンネブウ」のCTスキャンデータとCGなどを組み合わせた3D映像『Mummy:the inside story』(ミイラ:その内側に秘められた謎)を上映します。

 映像は約20分で、古代エジプトの神官であったネスペルエンネブウのミイラが納められたカルトナージュ棺から、古代エジプト文字「ヒエログリフ」が飛び出して来て、その意味を翻訳したり、棺の蓋をバーチャルに開け、ミイラの包帯を外して体内に入り、ミイラの体の秘密といった科学的な解説に加え、当時の生活の様子の紹介など文化的な解説を行い、観覧者の興味を惹きつけます。ナレーションは、イギリス版では、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフ役で知られるイアン・マッケランさんがなされましたが、日本版では俳優の高橋克典さんがナレーターを務められました。高橋さんは、本格的なナレーションは初めてということでしたが、ミイラを巡る謎解きのワクワク感を盛り上げる素晴らしい仕上がりとなっています。

 シアターに続く展示室では、ネスペルエンネブウのミイラが納められたカルトナージュ棺や、ミイラの包帯の中に巻き込まれた護符類、神官の儀式にまつわる道具など、映像で紹介された古代エジプトの品々の実物を展示。映像だけ、実物だけではわかりにくいことを、映像と実物のコンビネーションでわかりやすく解説するなど、古代エジプトのことをまったく知らない人でも楽しめる展覧会になると思います。

国立科学博物館入口。写真後方の「本館」は現在、リニューアル工事が進められており、来年3月にオープン予定 博物館の入口を入ると「愛・地球博」で活躍した接客ロボット「アクトロイド」と同じ仕様のロボットが来館者を案内
(左)●国立科学博物館入口。写真後方の「本館」は現在、リニューアル工事が進められており、来年3月にオープン予定
(右)●博物館の入口を入ると「愛・地球博」で活躍した接客ロボット「アクトロイド」と同じ仕様のロボットが来館者を案内

データ 2006年9月
[会期] 2006年7月15日〜9月3日
[会場] 国立科学博物館 特別展示会場(東京都台東区上野公園7-20)
[主催] 国立科学博物館、国立極地研究所、朝日新聞社
[開館時間] 9:00〜17:00(金曜日は〜20:00)
[休館日] 会期中無休
[観覧料] 一般・大学生1,300円(1,100円)、小・中・高校生600円(400円)
金曜限定ペア得ナイト券2,000円(2名同時入場、男女問わず、17時〜20時)
※( )内は前売・20名以上の団体料金

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