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地域共生型商業施設は人づくり、街づくりの救世主になる (株)丹青社 営業開発センター
SCマーケティング研究所
所長 松本大地 2005年度の国内通信販売額は前年比10・9%増の3兆3600億円に急伸、その要因はインターネットの売上が通販全体の17・1%まで急成長したことによる。すでにインターネット利用者は国民の6割を超した。反面、リアルな売り場面積は年々増殖すれど、売上は年々下降を続け、1997年の147兆円をピークに、現在は133兆円という数字になっている。 戦後、日本における商業開発はアメリカの業態開発を追従してきた歴史があった。豊かなモノへのあこがれ、モータリゼーションの普及、そして大型店舗でのショッピングスタイルへと拡がり、街と商業とは深いリンケージをつくってきた。しかし、成熟化、少子高齢化、人口減、環境問題の深化に直面する現在、人口増を前提にしたアメリカ型のマーケティング発想は段々と間尺に合わなくなってきた。これからは、先駆けて成熟化を迎えたヨーロッパ、その商業発想に大きなヒントがある。ヨーロッパの多くの街では、古くから教会前や街角の広場が市場になり、人々の交流の場として使われてきた。街を舞台にFACE TO FACEの会話を楽しみながらのショッピングは、顧客の嗜好を熟知しているお店との間に、代々受け継がれる強力なロイヤルカスタマーとしての関係がつくられる。街自体の歴史や文化を守り、地域の個性を育む姿勢からは街づくりだけでなく、人と人の良好な関係による 人づくりへと繋がっていく。アメリカでも好調なモールは、ロサンゼルスのザ・グローブやファッションアイランドのように、環境やコミュニティーを重視した地域共生型施設なのである。 さて、今回の特集で紹介した施設はいずれもヨーロッパ的商業発想による新しい地域共生型商業。「アウガ」は市場と先端のファッション、そして図書館という画期的なテナントミックスだ。コンパクトシティ青森を全国にシンボライズしつつ、街のコミュニティー機能として地に足をつけている。また、私が商業アドバイザリー委員を仰せつかっている八戸市は、かつては日本一の漁獲量だった漁港町だが、不漁や燃料高騰で苦境に立たされている。その中で「八食センター」は、東京から市場買い物ツアー客が訪れるほどの名所となり、買い物だけでない様々なイベントが充実しており、ここならではの感動体験が売り物だ。そして、中心市街地には屋台村の「みろく横丁」があり、街のそぞろ歩きの止まり木から、若者を育てるインキュベーターの役割という人づくりにまで貢献、温かいアナログ空間からは笑い声がこだまする路地となった。 本州の最北青森だけでなく、首都圏でも地域共生型商業が評価されてきた。2004年にリニューアルした「茅ヶ崎ルミネ(現.茅ヶ崎ラスカ)」では、商品・環境・サービスが三位一体になったこだわりの新茅ヶ崎スタイルを醸成し、過去最高の売上達成も射程圏となってきた。今までこれだけのエリア・アイデンティティーをプレゼンスした駅ビルがあっただろうか。さらに、全国に名高い湘南ステーションビルのCS(顧客満足)体制や地域文化活動支援は、さらなる向地力となろう。最後に、「ニッケ コルトン プラザ」はリージョナル型SCの先駆けとして、地域住民のライフスタイルをサポートしてきた。18年の軌跡からは、昨今の無菌状態のSCからは感じ取れない人間味溢れる空気が流れている。すでにコルトンプラザは3世代ファミリーにとって、掛替えの無い地域共生型のサードプレイスになってきたようだ。 今回取り上げた施設はいずれも、人と人、人とモノ、人と情報が交わる社会交流空間づくりが根底にある。街とシェイクハンドすることの大切さ、顧客との絆づくり、そしてリアルな空間だからこそできる魅せる場づくりに次世代商業のあり方を観た。
ニッケ コルトン プラザ 『地域に根ざしたSC』として 千葉県市川市の大型ショッピングセンター「ニッケ コルトン プラザ」で今年も「コルトン盆踊り」が開催され、子どもからお年寄りまで大勢の人で賑わいを見せた。「コルトン盆踊り」は、コルトンプラザの周辺3町会の協力を得て開業当初から実施している継続催事で、現在では地域に定着した名物年中行事となっている。 コルトンプラザは、1896年の創業以来、ウールの総合メーカーとして日本の繊維業界をリードしてきた日本毛織(株)が、約5万1000坪の広大な旧中山工場の跡地に『ショッピング・飲食・スポーツ等の複合施設』として1988年11月にオープンした。旧中山工場跡地のうち約8000坪を県と市が取得し、千葉県が「現代産業科学館」を、市川市が「メディアパーク」を開設するなど、コルトンプラザは開業時から公共施設と一体化した地域に根ざした施設としてスタートした。 施設面を見てもコルトンプラザは、「コルトン盆踊り」が開催される「コルトン広場」をはじめとして、専門店モール3階の「コルトンホール」、同2階の「スカイコート」と「タワーコート」、専門店モール南入口の「スペイン階段」、ウエスト館2階の「ウエストコート」など、『地域との交流』を目的としたさまざまな用途に対応するイベントスペースをSC内の各所に配置している。 コルトンプラザでは、子どもたちが絵本との親しみを深めることを目的とした「絵本パラダイス」を99年から毎年、市川市と市川市教育委員会の後援のもと、夏休み期間にコルトンホールで開催しているほか、公募による「300人の一芸」を公開する「コルトン文化祭」を、市川市が市制70周年を迎えた2004年から毎年9月にスカイコートほか館内各所で実施している。 また01年から、全国から50人のクラフト作家が集う野外展覧会「工房からの風」を工場時代から受け継いだ神宮社がある「鎮守の杜」で10月に開催。同展は01〜05年は隔年での開催であったが、新進作家の登竜門的意味合いが強まってきたこともあり、06年からは毎年開催されることになった。 こうした地域との交流イベントに加え、昨年からクリスマスイメージキャラクターの公募を実施。応募した多くの地域の子どもたちのなかから5〜6人を「クリスマスキッズ」として、雑誌やポスターのモデルなどに起用するとともに、クリスマスイベントの点灯式や館内練り歩きなどで活躍してもらった。 さらに「コルトン・ママモニター」も昨年から開始した。同モニターは、普段からコルトンプラザを利用する主婦のうち6歳以下の未就学児をもつ8〜10人に、2か月に1回開催するモニター会議で「本音」を語ってもらうもの。モニターの任期は1年間で、会議の結果をSC運営に反映していくことで、多彩な顧客のニーズに対応を図っている。
データ 2006年9月
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