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第31回 感動マーケティング「街のポテンシャルを上げた感動SC “ラゾーナ川崎”」
2007年1月30日
丹青社 SCマーケティング研究所
所長 松本 大地

■20年ほど前に川崎市多摩区生田に住んでいたことがあり、その後大阪に転勤したとき「川崎からですか、大変な所ですね」と言われた。生田は緑が豊な子育てに適した街であったが、関西の人からは川崎の地名で工場地帯、公害というイメージが頭にあったようだった。134万人の大都市ながらそのスケールを活かしきれず、人々が集い楽しむ都市空間に乏しかったことは事実。例えば、隣接する横浜は港を歴史、文化、人の交流に活かしてきたが、川崎の港は物流中心で、文化の醸成、人の交流が生まれることはなかった。

■先日、流通専門紙より“昨年オープンしたショッピングセンター(SC)で、どこを一番評価するか”を問われ、昨年9月に開業した「ラゾーナ川崎プラザ」と答えた。ラゾーナは、川崎駅西口に直結した東芝川崎事業所の跡地約3万4000坪に誕生した、三井不動産と東芝及び東芝不動産の共同事業である。商業ゾーンの店舗面積は79294m2の超大型SCで、約300店舗が入居した。先のコメントのように、川崎の響きはけっして好印象ではなく、かつ駅周辺にはホームレスのような人々も集まっている。そして、川崎駅東口周辺に百貨店、駅ビル、専門店ビル、地下街など大型商業施設が9つも集積した一大激戦区である。この難易度の高い立地に、ラゾーナは単なる大型商業施設ではなく、「人と街と商いの新しいリンケージ」を実現し、川崎の街のイメージを大きく変えていったことを評価した。

■そのラゾーナには、今まで通過するだけの人々がわざわざ下車し、思わぬ遠方からも押し寄せる。駅コンコースから地下の食品売り場に直結するエスカレーターを設置、デパ地下売り場、感度の高いフードコート、カジュアルファッションや雑貨、ホームセンターなどで構成され、上質な日常を創造した。その地下は南北の自由通路が24時間開放され、北側住民やオフィスワーカーにとって重要な生活導線を提供している。1階、2階は開放的な広場を中心に、インサイドモールとアウトサイドモールが程よく融合され、エッジの効いた専門店から利便性のショップまでを配置した。気楽に来訪者が小さな幸せ、小さな感動を享受できるサードプレイスになっている。最近も訪れたが、駅にはホームレスも少なくなり、おしゃれをした女性、カップルが増え、川崎にたくさんの笑顔を創り出しているように映った。SCが街のアイデンティティーを変えているのである。

■昨年度の日本におけるSCの新設数は79ヶ所となり、全国の総数は2783ヶ所となり、今や小売業の20%を超える27兆円近い市場規模まで拡大した。SC市場をみて飽和状態と言う声もあるが、これからは生活者に感動を与えるSCでなければ生き残っていけないであろう。その意味でも、まさに次世代SCが望まれる時機にあり、ラゾーナはその一つのあり方を示唆してくれた感動SCである。

■感動マーケティング視点⇒1.これからのSCは来訪者を幸せにしてくれるかという生活の質向上と、そこで生まれる感動の優劣が問われてくる。良い施設には基準商圏を越境して人が集まってくる。
2.行政サイドも、街づくり視点からSCを積極的に地域振興、中心市街地活性化に繋げる視野が求められている。

駅コンコースからダイレクトにSCにつながる
1
広場の界隈は川崎の新しい都市空間
2
今まで見なかったカップルが語らうシーンが生まれた
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1●駅コンコースからダイレクトにSCにつながる
2●広場の界隈は川崎の新しい都市空間
3●今まで見なかったカップルが語らうシーンが生まれた

エキサイティングな雰囲気に変わる夜景色
4
後背地への街づくりにも寄与し、住民との関係性を深める
5
バナナリパブリック、コーチ、ザラなどもテナント誘致
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4●エキサイティングな雰囲気に変わる夜景色
5●後背地への街づくりにも寄与し、住民との関係性を深める
6●バナナリパブリック、コーチ、ザラなどもテナント誘致

完成度が高いデパ地下風のフードテーマゾーン
7
いつも多くの人で賑わうフードコート
8
109系のリズリサはティーンズの人気ショップ
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7●完成度が高いデパ地下風のフードテーマゾーン
8●いつも多くの人で賑わうフードコート
9●109系のリズリサはティーンズの人気ショップ


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