 |
2006年9月14日
丹青社 SCマーケティング研究所
所長 松本 大地 |
■ダイエー創業者の故中内氏が、「顧客の価値観が変わった」と言ったのは、水を有料で購入する生活者が出現した時期だった。今まで安さや量を売りにしていた量販店が、羅針盤を変えるタイミングだったのかもしれない。既存店の前年割れが止まらずにいる中、さらに新店を出すということが正しいのか憂慮すべき事態ではなかろうか。昨今では、生活感性が高まった消費者のニーズに応えられず、活気が薄れた売場からは量販店業態不要論も囁かれてきた。ダイエーも事業再生の真っ只中であるが、最近視察したダイエー施設からは随所に感動価値を感じることができた。
■ダイエー碑文谷店は学芸大学駅から徒歩5分の立地にあり、1975年に開業以来、ダイエーのランドマーク的な存在である。7階建、店舗面積14,000平米、駐車場は700台という都市型量販店で、今年の6月には食品売場に鮮魚専門店魚力と人気の美登利寿司をテナント導入した。裕福なライフスタイルを志向する層が多いこのエリアにて、碑文谷店はターゲット・セグメンテーション戦略を重視している。食品フロアも価格を前面に出すのではなく、日常の食のプレゼンテーションがきちんとなされている。ファッションフロアや雑貨、インテリアにおいても同様だ。特に品揃えのバリエーションとVMD(視覚的販売戦略)の徹底、派手さは無いがさりげなく品のある環境デザインは、ダイエー店舗のみならず他の量販店も範として欲しいところだ。
■福岡市にあるショッパーズモールマリナタウンは、姪浜というウォーターフロント地区に2000年に開業、複数の核テナントをサーキット状のモール(通路)でつないだ日本初のサーキットモールである。回遊性に優れ、アメリカのサンタフェをデザインモチーフにエンターテインメント性溢れる秀逸のモールで、オープン当初はかなりの話題になった。先週しばらくぶりに訪れたが、テナント構成が一部変ったものの、全体のワクワクドキドキの楽しい雰囲気は不変で安堵した(実は再建渦中で荒れているのではと内心心配していた)。最近、2核や4核1モールの大型ショッピングセンターが乱立、少々食傷気味であったので、サーキットモールはとても新鮮に映った。ダイエーの食品売り場も碑文谷ほどのグレードは無いものの、品揃えも豊富で環境デザインもモール同様に楽しさがあった。
■両店のダイエーに共通するのは、「自分達の店をどうしたいのか」ということが売場から伝わってきたことである。そこには客の気持ち、立場が尊重され、さらに楽しませてくれる仕掛けや安心が内包していた。私の家の近くに、こんな素敵な量販店があったらどれだけ幸せだろうかと思った。現代生活者は「夢を与えてくれるもの、感動をさせてくれることには、喜んでお金を支払う」ということ。百貨店は非日常のライフスタイルのソリューションを、量販店は日常のライフスタイルのソリューションを揃えた大型のセレクトショップであって欲しい。
■感動マーケティング視点⇒1.量販店の低迷は画一的な店づくりも一因。立地特性から館全体の性格を特徴づけ、大規模施設だからこそ発揮できる既存店の感動づくりを、多くの生活者は求めている。2.マーケティングやコンセプトづくりにこだわった施設には、魂が込められ、理念が生き続け、感動が持続する。

1 |
|

2 |
|

3 |
1●ダイエーのランドマークとして君臨する碑文谷店
2●商品管理が行き届き、種類、数量の豊富なビバレッジ売場
3●イートインとテイクアウト併設の美登利寿司がテナント出店 |

4 |
|

5 |
|

6 |
4●柄や素材で見やすく分類、グラディエーションも効いたカーテン売場
5●ワイングラスの見せ方も魅了させる陳列
6●各柱巻きには木枠とポイントディスプレイ |

7 |
|

8 |
|

9 |
7●マリナタウン 店舗ファサードがポップアウトデザインでモールに張り出す
8●最近入居したアカチャンホンポは大賑わい
9●サンタフェの古きよき時代を表現したフードコート |
このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2006 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved. |