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■コラム * tannet flash 雑考ノート 高橋 哲 カジノの舵取は火事場泥棒 ソウル市内のシェラトン・ウォーカーヒル・カジノに居た。日本円を使い果たし、ホール内の現金自動支払機でウォンをおろす。負ける、またおろす…。欧米のカジノとは異なり下駄履き感覚で楽しめて、ホールにはスレンダーな韓国美人ぞろい。なんてったって一攫千金、ちょっとやそっとでは止められない。もともとむきになる性向があり、自覚してギャンブルを辞めていたのに。そう言えばギャンブル依存症の特徴として、喫煙者に多く、自制心が弱いというのがあった。気付けばホールの喫煙率は極めて高い。 韓国には14箇所のカジノがあり、年間およそ50〜60万人が訪れ、その約60%が日本人、年間売上総額は300億円前後だそうだ。以前は自国民の入場を禁止し外国人観光客だけの入場を許すという、外国人観光客誘致と外貨獲得政策の一環として施行された、変則的なカジノの合法化であった。近年、自国民のプレーを認めるカジノ法が制定され、入場可能なカジノもある。 日本ではカジノの合法化に向けた動きに拍車が掛かっている。石原都知事が就任以来解禁を唱えるお台場等のカジノ構想、観光復興の起死回生策として期待を寄せる熱海や宮崎のシーガイア。大阪府や愛知県はカジノを目玉とする経済特区を構想し、秋田市や珠洲市では独自のプランづくりに勤しむ。沖縄ではカジノの賛否論議が活発だ。民間の大型再開発プロジェクトでもカジノは希望の星で、先日破綻したハウステンボスや閑古鳥鳴くテーマパークも然り。 仮に合法化されれば日本中でカジノ許認可の大合唱が始まるだろう。隣にカジノが出来て年間何百億円と転がり込むようなら、その機会損失を黙っているはずが無い。そんな利権に絡む議員や関連団体は水を得た魚で暗躍著しく、一方、宝くじや競馬・競輪等の既得許可ギャンブルの減収を懸念する利権のダニも多いはず。パチンコと言う法的には曖昧至極の国民的ギャンブルもある。 こういった公認ギャンブルに年間約30兆円(内パチンコが約20兆円)を費やすギャンブル大国が日本なのである。他にも闇の賭博市場では約1,700億円動くとか、海外のカジノへ約1,000億円流出すると聞くととんでもないマーケットの存在が浮き彫りになる。 カジノ賛成派や容認派の論理は「自らの行動に責任を持てる自立した大人の社交場」としての側面と、経済波及効果および税収効果、雇用創出また大都市臨海部の未利用地活用等の「地域経済・観光振興」、世界の先進国の中で100万人以上の人口を持つ都市の中でカジノが無いのは日本だけといった「比較肯定」、禁酒法や闇賭博を例示し、ギャンブルを禁止することが悪の温床や犯罪を生む恐れがあるとする「逆説肯定」が主たるもの。多くはラスベガス的なカジノ・エンタテインメントをイメージしている。 それに対してカジノ反対派や消極派の論理は、地域社会への少なからぬ害悪は必至で、無くて済むなら作るな、その負の影響に誰が責任を取る、と迫る。そもそも賭博は刑法で犯罪行為として禁止されている。ギャンブルは射幸心を煽り、貧しき人ほど一攫千金を夢見、勤労意欲を減衰させ、ギャンブル依存症や自己破産を増やす。風紀が乱れ青少年への悪影響や犯罪率の上昇、また家庭崩壊へも導く。自己を律することが不得手な民族性があるやも知れぬ。 経済波及効果についても、各国カジノ事情から、地域観光とカジノ集客は連動しないとか、カジノ関連事業者ばかりが儲かり、ローカルビジネスは衰退するといった多様な負の材料を突きつける。一方では賛成派の反証も盛沢山だ。 カジノ合法化に関するアンケート調査も盛んだが、合法化だと、地域限定という条件付の賛成が多く、導入論議盛んな自治体の住民調査では反対が多い。男性に支持層が多く、女性また女性主導の団体に反対が多いのも特徴だ。短絡的だが、自分の旦那や子供に対する不信感、頼りなさと、堅実な家庭と社会をつくりたい願望の表れか。 以上が大雑把なカジノ合法化問題の俯瞰だが、マスコミへの出面の多い著名人や地域の実力者は大半が賛成派。恐らく大方の人々は流されるままだと思う。 カジノを合法化するかどうかは、どんな社会や将来を理想とするかに通じる問題でもある。「まっとうに働く人々のささやかな楽しみとして存在するはず」に絆されてもいけない。かといってカジノや公認ギャンブルに疎ければ偏見も多いだろう。まずは体験してみて自身のはっきりした意見を持つことが肝要。 (たかはし さとし/(株)丹青IDS プランニング&プロデュース・ディビジョン 企画部 チーフプランナー)
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