コラム *
エンタメ日記
鈴木 重美

猛暑の夏には熱いドラマが良く合う。
4年に一度のオリンピックイヤーがさらに寝苦しい夜を誘い、感動のドラマにしばし涙する。
そうだ!究極のエンターテイメントには涙が似合う。


第3回
まさか、この歳になって、スポーツを見て涙するとは思わなかった。しかし、あらためて感動は素晴らしいと思う。エンターテイメントを創出する端くれの1人として人を感動させる仕事をできる喜びを大切にして、アスリートのように日々精進していきたい。と言う訳で4年に一度じゃない3ヵ月に1回のエンタメ日記を読んでください。

 
 目指せ!夢のまた夢の印税生活。
 
 8月の朝刊の全面広告に「スラムダンク」のキャラクターが掲載された。何でも総売上部数が1億冊を突破したらしい。 現在週刊モーニングで「バガボンド」(原作/吉川英治)を連載している井上雄彦氏が年代に描いていた漫画が「スラムダンク」(集英社ジャンプ刊90年〜96年にかけて連載)である。それにしても1億冊である。コミックの価格が1冊400円として400×1億冊=400億円になる。印税が約10%として、40億円のマネーが井上氏の元に渡った計算になる。何も他人の収入を計算してもしょうがないが、それにしても物凄い金額である。
 
良く大金を掴む代名詞として「夢の印税生活」という言葉が使われる。漫画に限らず、音楽や小説でヒットした商品が、将来に渡り、お金を生み出してくれ、一生涯働かなくても生活していけることを指して、使う表現である。確かにこれだけ稼げば、一生食べるには困らないかもしれない。
 
しかし井上氏は現在もヒットを飛ばし、(「バガボンド」以外にも「リアル」を集英社系で連載)まだまだ、働かなくて一生を送ることを良しとしていない。しかしこれだけ、モンスターヒットが登場する漫画業界もかつての勢いはない。
 
かつて、文章離れの代名詞と呼ばれた漫画も、その発行部数を大幅に減少している。文字離れはさらに進行し、インターネットによるネット発信やテレビゲームの躍進の陰に、遂に漫画さえも読まなくなった人類が誕生しようとしている。
 
「漫画ばかり読んでいると、馬鹿になるわよ」と親に怒られたものだが、いずれ「パソコンばっかりやっていないでたまには漫画でも読み(?)なさい」と言われる時代が来るのである。
 
つい最近も不夜城六本木のシンボルだった青山ブックセンターが閉店し、大手ブックチェーンも不振店舗の閉鎖を進めている。かつて町の本屋やレコード店が消えていったように、大手にも業界再編の波が押し寄せている。
 
しかし改めて「スラムダンク」である。全面広告の威力は大きく、私も本棚から全巻を取り出し、一気に読み直してみた。(そして改めて感動しました)やはり名作なのだろう。
 
ちなみに写真にある「夢はかなう、きっとかなう」は私のかつてのボス、北原照久氏が書いた本である。私が企画、構成をお手伝いしたので北原氏の好意で印税の何割かが私のものになった。まだ丹青社に入る前のことだが、出版社から連絡が入った。
「おかげ様で増刷となりました。つきましては鈴木様にも増刷分の印税を振り込まさせていただきます」
 
そこで遂に「私も夢の印税生活!の仲間入り」というフレーズが浮かんだ。私はささやかながらこの喜びを皆にも分かち合ってもらいたいと、その夏私はスタッフをランチに誘った。数人と暑気払いの鰻を食べたら、綺麗さっぱり、印税は夢のように消えた。

「夢はかなう、きっとかなう」
一季出版社刊1,200円

 

 
 エンタメ課が作ったカクテル、
 その名も「カレッティーニ!」
 
 夏の食の代名詞と言えばなんと言ってもカレーではないだろうか?特に猛暑の今年、暑い日に食べるカレーの味は格別である。そんなカレーの聖地「横濱カレーミュージアム」に夏季限定のショップがオープンした。
 
カレーというのは何故か、昼の食事というイメージがあるらしい。そのイメージを打破しようと、夜の集客を訴求する意味から、ミュージアム内にバーを作ろうとなったのである。その名も「カリー酒場」、カレーに合うアルコールを提供しようという試みである。
 
そして現在カレーの町と言えば横須賀の海軍カレーが有名だが、そこに名乗りを挙げたのが横濱カレーミュージアムを有する横浜である。その旗振りとして、横浜市長の中田宏氏自身がカレーミュージアムに乗り込み、カレーサミットの開催となった。
そこで中田氏がカレーのアピールと同時に「横浜カクテル宣言」をしたのである。マスコミに向け、カレー同様、「カクテルの街!横浜」を声高々に謳った同氏が訪れたのがカリー酒場であった。
 

中田市長の御出席をいただいたカレーサミットの開催
市長自らが命名したというカクテル「ヨコハマ・ビューテイ」をメニューに掲げたカリー酒場でオリジナルカクテルに舌鼓を打ち、さらにカレーを平らげ、精力的に活躍する市長にカレーミュージアムは大いに賑わった。
 
先日もテレビ朝日系列の日曜朝の番組「サンデープロジェクト」に特集で登場し、「横浜の改革に聖域はない!」と従来はアンタッチャブルの入札にまで自らがタッチしていく、とあった。
 
そこで東京中心のゼネコンの体質から、地元横浜中心のゼネコンへの変遷を目指し、また市長が直接ゴーン氏にリクエストし、実現したという日産本社の横浜誘致など、今後の中田氏からは目が放せない。
 
※カレッティーニとはマティーニとカレーの造語です。タイトルは軽めですが、味は真剣モードです
 

 
 究極のエンターテイメント!
 それはあなただけに用意されたリザーブシート、
 プライベートライブが今始まる。
 
 北野武さんの司会「誰でもピカソ」(東京12ch系)の番組で人気コーナーのひとつに「ムットーニ劇場」がある。
 
「ムットーニ」とは自動からくり人形師武藤政彦氏のことである。武藤氏のつくる自動からくり人形や、人形が登場する世界の総称がムットーニなのである。
武藤氏の口上に合わせ、小さい箱の中で繰り広げられる人形のドラマは見る者を惹きつけてやまない。ムットーニを制作する前は油絵画家だった武藤氏は人形のデザインから、からくりの仕掛けまでを全て一人で作っている。
 
そしてさらに作品に魂を吹き込むがごとく、イベントでは自ら口上までしてしまうのである。箱の中で繰り広げられる物語はまさしく舞台である、そこには照明、音楽が人形にスポットライトを当て、人形がストーリーを演じていくのである。それはまさに「ムットーニ劇場」と呼ぶに相応しい。
 
写真の「プライベートライブ」という作品は
 
「誰もいなくなったミュージックホールで、男が掃除の途中にトランペットのマウスピースを手にするシーンから物語は始まっている。 男はかつての過ぎ去った過去を思い出していた。その昔自分がトランペッターとしてステージに立ったこと。その思い出がいつしか、聞き覚えのある音楽を誘い出す。ホールに流れるメロディ、静かにカーテンが開く、そこには真っ黒なステージが現れる。前奏と共に女性がステージに浮かび上がる、ピアノトリオの影が揺れ、彼女の歌声が囁きを始める。まさに舞台では、今宵、年をとった男のためだけにプライベートライブが始まろうとしていた」

「プライベートライブ」
ムットーニ(北原照久氏所蔵)
 
武藤氏はからくり人形にはあまり興味がないという。彼はこの箱を絵に例えている。油絵の手法を立体化し、ストーリーをつける。まさに現代の紙芝居師ことムットーニは見る者をプライベートライブの世界に連れて行ってくれる。
 
(現在ムットーニの次回イベントにつきましては未定です。次回開催までは誰でもピカソのムットーニ劇場をお楽しみください。また今後のイベントの情報につきましてはエンターテイメントPJまでお問い合わせください)
 

 

(すずき しげみ/(株)丹青社 ストアエンジニアリング事業部)

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