コラム *
エンタメ日記
鈴木 重美

エンターテイメントとはローマ時代、貴族の楽しみだった。
エンターテイメントのDNAは我々に脈々と流れている。
ローマからシルクロードを渡り、信長の時代楽市楽座を経て、今を走り抜けるエンタメ日記がスタートする!


第1回「フィギュア&トーイ」
今回は今最も熱いサブカルチャーマーケット「フィギュア&トーイ」ネタを集めてみた

 
 デスクトップモデルの聖地へ
 
 東京・南青山にある「ウイングクラブ」は日本を代表するデスクトップモデルの専門店である。「モデル」? 模型? 何だ、要するに模型店舗ではないか。と言う方は認識を改める必要がある。大人の趣味として「KING of COLLECTION」(コレクションの中の王様)と言われ、世界中のVIPを虜にして止まないのがこのデスクトップモデルである。そのデスクトップ(卓上)のコレクションの中でも最も人気なのがここウイングクラブで扱っているミュージアムモデルシリーズである。
 
 店は骨董通りに面したビルの2階にある。店内は至って静か、お客が押し寄せると言ったイメージではない。しかしここのショップの特徴は商品(モデル)が店に出ることなく、取引されていくことにある。つまり上顧客からのオーダーをオーナーの矢野氏がそのまま受け、直接販売していくケースが多いそうだ。なんとなく秘密めいた感(店名がクラブを名乗っているせいか)があるが、決してそんな訳でもない。店内には数々のモデルが展示販売されている。そのどれもがコレクションの名に相応しく皆美しい。
 
「ここにあるモデルは全てどこのミュージアムに飾られてもおかしくない物ばかり、海外では大人の趣味として、この世界があります。モデルというと日本ではプラモデルのほうが人気ですが、これからはこの完成品としてのモデルも認知されていくでしょう」とお話いただいたのはオーナーの矢野雅幸氏。しかし美しさはもちろん、気になるのがそのお値段。棚に飾られているモデルには価格がついている。しかし気になるのは表に出ないような幻のモデルである。その辺りを矢野氏に尋ねる。
 
「決して、闇取引されている訳ではありません(笑い)。ただ、オーダーが多く、生産が間に合わないので店頭に出る余裕がないだけです。在庫があればもちろん店に並べますよ(笑い)、現在世界中に私のネットワークがあります。世界のトップモデラー達の熟練した手によって、ひとつずつ作られています。まあ、値段もそこそこです。ただ、この趣味に到達する方々のステイタスとして、皆様クルマは素晴らしいクルマを所有していらっしゃる方が多いようです。フェラーリが当たり前みたいですよ」。
 
 そうこの世界を追い求める方達はクルマやクルーザーと言ったお金で所有できる物は手に入れ、後はやはり行き着くのは飛行機になるらしい。とは言っても飛行機となると所有するには日本だとかなり制限がある。そこでそのイメージをこのモデルに重ねるのだそうだ。となると数億円と言われるプライベートジェットの所有に比べ、数百万のモデルはあまり気にならないのかも知れない。
 
 そんな日本を代表する矢野氏の夢はもちろん、デスクトップモデルのミュージアムである。昨年好評を博した「ウイングクラブコレクション」(バンダイ社製作)では食玩のマーケットにも進出している。今年はイベントも計画中だそうだ。ウイングクラブが日本のモデル界を変える日も近い。
 
「ウイングクラブ」の店舗 「ウイングクラブ」コレクションの数々 ゼロ戦(A6M5)のスケルトンモデル

 
【問合せ先】
 ウイングクラブ
 東京都南青山5-4-30
 南青山YSSビル2階
 TEL 03-3499-5124

 
 1日のイベントで数億が動く。
 フィギュアマーケット「東京トイフェスティバル」
 
 通算10回を迎える「東京トイフェスティバル」が東京ビッグサイトで2004年2月22日(日)に開催された。同時開催はあのワンダーフェスティバル(通称ワンフェス/海洋堂主宰)。一日だけの開催に数万人を超える来場者が訪れるという化け物イベントである。当初このワンフェスの姉妹イベントの位置からスタートしたトイフェスも確固たる地位を築いた感がある。会場限定品の多様さとワンフェスに来場したついでのゲストでなく、トイフェスを目指してくるゲストの多さにも表われている(有料入場者数1万人。前回より20%アップ)
 
 まずはこのようなイベントの成り立ちについて話しておこう。ヨーロッパやアメリカのコレクターが始めたと言うガレージセール(自宅のガレージにコレクションを展示し、即興のマーケットを作り、販売する)がそのルーツだという説がある。そのガレージセールが徐々に規模を拡大し、集客も増え、最大のものではサンフランシスコのローズボールで開催されるトイショーが有名である。今回のトイショーの名誉実行委員長は北原照久氏、業界のカリスマ・マガジン「フィギュア王」の編集長、額田氏が実行委員長の名を連ねる。
 
 北原氏と雑誌媒体の見事なメディアミックスが効を奏し、第1回目から記録的な入場者数を誇ってきたが、メモリアルとなった第10回目の今開催は全てにおいて今までの記録を塗り替えた。会場本部である実行委員会ブースだけで一日の売上は2000万円を超え、限定商品を求める徹夜組の列は広いビックサイトの会場をぐるりと囲む形になった。
 
 食玩に代表される一連のフィギュアブームの終息が昨今マスコミに伝えられているが、現場ではマスコミが流す情報とは全く異なった現象が起こっている。例えワンディ(一日限定)のイベントとは言え、1万人を超える人と数千万円を越えるキャッシュが動くのである。2001年村上隆氏の作るフィギュアがサザビーズのオークションで6000万円の高値で落札されたニューズが世界を駆け巡った。その後食玩だけがクローズアップされてきた感のあるマーケットであるが、まだまだ加熱するエネルギーを十分にもっていると言える。
 
 オタクと呼ばれていた日陰のカルチャーだったトイが今完全にマーケットにおいては主役に踊り出た。今後このマーケットは間違いなくアートに移行していく。まだまだ目が離せない。
 
1日に1万人が来場 会場限定品を買い求める客で長い列ができた

 
東京トイフェスティバル次回開催は2004年8月29日(日)
詳しい問合わせは東京トイフェスティバル実行委員会(045-621-8655 村上氏まで) 

 
 あのナイキがフィギュアイベントを開催
 
 ナイキがフィギュアのイベントをしたというニュースはあっという間に世界中に配信された。2003年10月パリで開催されたナイキ・ホワイトダンクショーは圧倒的な人気をもってパリの人々に迎えられていた。その次回開催地が日本ということもあり、2004年2月、期待は最高潮に達していた。
 
 まずこのWHITE DUNKについて説明しなければならない。日本を代表するアーテイストがナイキのコンセプトの元作品を創り上げていくという独自なアイディアはもともとNIKE USAの社長、マークパーカー氏が抱いたものである。
 
「WHITE DUNK」のポスター
 
 かつて北原照久氏(なんでも鑑定団レギュラ―鑑定士、ブリキのおもちゃ博物館館長)がサンフランシスコのエアポートミュージアムで開催したおもちゃ展で、アンティックのトーイに魅了された同氏は日本製のトーイの収集を始めた。
その後収集熱は一気に過熱し、マーク氏のコレクションは膨大に膨らんでいくことになる。しかしコレクションにとって量以上に大切なのがやはりその質ということになる。質と量この最も贅沢な両輪を高めていったマーク氏が辿り付いた桃源郷がオリジナル作品の製作なのだ。ナイキという世界一有名なアイコンを冠に付けたフィギュアを作りたい。それも自分が好むアーテイストにである。
ある意味コレクターとして最も贅沢な望みをマーク氏は今回のWHITE DUNKで叶えたことになる。村上隆氏や奈良美智氏と言った日本人アーテイストのワールドワイドの活躍は日本のオタクカルチャーをアートに変貌させた。
そして今回のWHITE DUNKである。実はこのショーにラインナップされたアーテイストは全て日本人なのである。25人の日本を代表する芸術家がナイキのアイコンをトレードマークに並ぶ姿はまさしくコロシアムに整列するアスリートを想像させる。
 
 次回はニューヨークでの開催が予定されていると聞く。
パリ、東京、ニューヨークといったアートを代表する3つの都市を結ぶのは日本人の手によって生み出されるフィギュア達なのである。
マイナーなスポーツだったジョギングをナイキを履いたランナーがトラックを走った20世紀、その後スポーツの枠を大きく超越し、カルチャーまで昇華した。それは21世紀オタクカルチャーのフィギュアがナイキのアイコンを冠し、メジャーな道を歩む姿がだぶる。
今年はオリンピックイヤーでありまたヨーロッパではサッカーの欧州選手権が開催される、そしてWHITE DUNK、やはり2004年もナイキの動きから目が離せない。
 
寺田 克也「Rakugaki Dunk」 安彦 良和「DEFENSE!!」
Mobile Suit Gundam©Sotsu Agency

 

(すずき しげみ/(株)丹青社 ストアエンジニアリング事業部)

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