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マイブーム通信
橋本 由起子

書店で鍋が買える


鍋と料理本のコラボって?
 数か月前に「ル・クルーゼ」という大変に高い鍋を買った。おフランスものである。渋めの色目のホーローで、重くて熱伝導率がよく、煮込み料理やオーブン料理に使えるという優れもので、重宝している。男の料理でダッチオーブンという流行の鍋があるが、あれをもう少しソフティケートした感じか。よく映画でその渋カラフルな姿を見る事が多い。

 さて、本屋でぶらぶらしていたところ、このル・クルーゼという鍋のために書かれた料理本を発見。平野由希子氏が書いた一連の本である。鍋に合わせた料理本というジャンルに新しさを感じた。その後、フランス人の料理本を訳した『お鍋でフランス料理―ビストロの味、田舎の味』というものを発見。平野氏が実用的なメニューを構成しているのに対し、後者は素材が家禽類のメニューの中には、ウサギなど入手不能な食材も多く、飾るだけの本となった。

 この鍋と料理本のコラボレーションは、実は私が知らないうちに進んでいたらしい。
 数日前、丸ノ内の書店に行ったところ、平積みのところで、鍋が売られていた!しかも料理本もセットで !!

無水鍋はどこにある?
 1点は無水鍋。これとカップリングされた料理本は有本葉子氏の『無水鍋料理』。この無水鍋は前から気になっていたが、1953年にアルミ合金鋳物厚手鍋として開発され今に至る超ロングセラー商品とのこと。もともとは竃で炊いた米の味を提供しようと開発されたものであるが、煮込み料理から、蒸し物から、はば広く使う事ができる。しかもグッドデザイン賞をとったというシンプルなフォルム。作っている会社は、株式会社日本食生活改善指導会という大変な社名…。

 今までの通算製造数から考えると、日本の世帯の4軒に1軒はあるはずだそうだ。とすると普及率は75%、携帯電話並みである。ほんと?。今まで私は家庭内の無水鍋を見た事が無い。こんな風に書くと、家にもあるという人々がわらわらと湧いてきたらどうしようという心配もあるが。

本当に感動するの?
 無水鍋とともに売り場に並んでいたのは、「クック膳」なる製品。千葉真知子氏が苦節10年を掛けて開発したそうで、材料と調味料を入れてレンジに入れれば、煮る、蒸す、炊くが可能だとのこと。ご飯はわずか15分程度で炊ける。2003年のプラスチック日用品コンクールで経済産業省大賞を授与されている。もちろん千葉氏が書いた料理本『クック膳の感動レシピ』(日経BP企画)もある。

 電子レンジ本では大御所栗原はるみの「おいしいね 電子レンジ」が多分日本で一番売れている。その中のレシピを幾つか作ってみたが、電子レンジという先入観のせいか、未だ感動には至っていない。「クック膳」で本当に感動もののメニューができるのか、誰か実際に作って教えて欲しいと思ったら、世の中にはいろいろな人がいるもので個人のブログで、毎日これで1品作ってその成果を発表している人がいた。やっぱり買わないとわからないか。

その他料理研究家トレンド
 話は変わるが、最近料理研究家の辰巳芳子氏が脚光を浴びている。氏の父が病気で食べられなくなり、丹精こめたスープを作ったところ病気も治ったと。そこから40年、「命のスープ」を伝え、主催する月に1回のスープ教室は、参加するために3年待ちという。御年 歳を数えられるが、ここ数年NHK教育テレビなど露出が多く、凄く人気が高い様子。『あなたのために―いのちを支えるスープ』(文化出版局)を買った。

 その中の玄米をこげないようにひたすら焙じ、それに水、昆布、梅干しを加えて煮るというスープを作ってみた。材料の良さと手間の掛け方が全てのこのスープ、美食家が探求の末に辿り着くような、シンプルだけど大変に深い滋養の逸品。私には高尚すぎるか。

エンディングは人気比べ
 小説と違って人気の料理本は凄まじく売れる。栗原はるみ氏のベストセラー『ごちそうさまが、ききたくて』はミリオンセラー、彼女が書いた著書28冊、季刊誌1誌の販売累計は1300万部を超え、全ての日本の主婦は1冊は必ず彼女の本を持っていると言われている。世界5か国で発売された『Harumi's Japanese Cooking』は料理本のアカデミー賞といわれるグルマン世界料理本大賞2004年ベスト料理本を受賞した。欧米でも売れるんだろうなあ、日本食流行っているし。

 前記の鍋の未来の販売予測として、鍋でグーグルのヒット数=人気度と仮定しチェックしてみた。1位ル・クルーゼ166万件、2位ダッチ・オーブン66万件(男心にうまくヒットか)、3位クック膳12万6千件、4位無水鍋4万4千件(数字に意味を求めないで!)。ちなみに栗原氏は53万5千件、辰巳氏は11万5千件となった。ものは売れるし住宅も売るし、恐るべし、栗原はるみ…。

(はしもと ゆきこ/(株)丹青社 営業本部 クリエイティブセンター チーフディレクター)


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