コラム * tannet flash
マイブーム通信
島 智子

インタープリター


〈インタープリターは、橋渡し役〉
 環境教育の場などにおいて、自然や生き物の見方やふれあい方などを一般参加者に教える立場の人材はインタープリターと呼ばれている。 自然や地域環境などについての情報・知識をもち、人と自然の橋渡し役になる人、という意味で使われている言葉である。 インタープリターは、参加者の教育・学習に効果的なプログラムを企画・運営したり、参加者を楽しませ、 参加者の主体性を引き出すなどの役割を持つ。
 
〈生活インタープリター〉 
 最近、私の親がパソコンを買い替え、そのセットアップや操作のことで、 親から「何もわからないから、とにかく来て。全部やってくれ」というSOSの電話が入り、何度か親の家に行くことになった。
 
 といっても、最近のパソコンは説明書どおりの手順でケーブルを接続してスイッチを入れ、 OSのCD―ROMを入れれば、ほぼ自動的にセットアップが終了するようになっている。 買った機種は家庭用で人気のあるタイプだったので、説明書もわかりやすく工夫して作られており、 説明書に書かれている日本語が読める人であれば、だれでも小1時間くらいでセットアップができてしまう。
 
 以前に、親が携帯電話を買った時にもまったく同じようなSOS電話があり、 さして携帯電話に詳しい訳ではない私が、説明書を読みながらメールアドレスを設定したり、 短縮番号を登録したりということがあった。私だって、他人の機種の事など何も知らない。 要は、説明書を読むか読まないかの差であり、パソコンやケイタイに関する知識などあまり関係がないのである。
 
 家電製品のようにスイッチ1つ押せば使えるIT機器が理想だといわれた時期もあったが、 生活の中でIT化が進行する今日、家電だってスイッチ・ポンですぐ使える機種は少ない。 コンセントにつないですぐ使えるのは冷蔵庫くらいで、炊飯器も電子レンジも、 ボタンをでたらめに押したところで作動せず、説明書を読まなければ使うことはできない。 たとえば、私が自宅で使っている多数の電器類にはタイマー機能があり、時計がついている。 先日、それらの時計が表示している時刻のズレがあまりに大きくなったので直すことにした。 炊飯器、ステレオコンポ、ビデオデッキ、FAX付き電話機、パソコンの5種である。 パソコンは画面を2〜3度クリックすれば簡単に直せたが、あとの4種の家電は説明書を引っぱりだし、 おぼつかない手つきでタイマー表示をいろいろと変えるのにけっこう時間がかかってしまった。 こんなことは説明書を読まなければ、勘だけではまず操作できないであろう。 
いろいろな家電機器の時刻をあわせるのはけっこう手間。
   

自宅にある電器類の説明書。 まとめると小学校の教科書くらいの量はありそうだ。
 私の親のように説明書も読まずに「機械のことは何もわからない。SOS!」という人はわりと多いのではないか。 そこで、ふと思った。説明書を読まない人に、いかに説明書を読ませるかのインタープリテーションをうまくできないものであろうか。 そして、それを広げて生活全般におけるインタープリターみたいな職業は、今後のメシの種になるのではないかと。 一般の人々が必要としているものを平易な言葉でわかりやすく伝えたり教えることは、それほど簡単なことではなく、 まして、相手に主体性を発揮させるように導くことは、相応のスキルが求められる。 だから、プロフェッショナルとしてそういう職業が出てきてもいいのではいないかと思うのである。


 (しま ともこ/(株)丹青社IDS 企画部 チーフプランナー)
 

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