コラム * tannet flash
マイブーム通信
橋本 由起子

台湾の食、アラカルト


 最近、自他共に認めるデブである。
昨年の暮れから仕事で台湾に行く事が多く、私のこれら贅肉の殆どは、台湾での食生活から生まれている。駄目ジャンと思いながら、あまりの誘惑的な食文化にいつも負けてしまう。というわけで、台湾の食についてのアラカルトを…
 
■食在台湾
蒋介石が台湾に様々なジャンルの中国料理の一流シェフを連れてきたというのは、有名な話である。それもあってか、台湾では広東、上海(江浙、揚州)、台湾、北京、湖北、湖南、四川、福建と、中国料理の全てを味わう事ができる。中華料理を味わうのであれば、中国より香港より何より台湾という人も多い。
 
外食文化
台北には星の数程の飲食店がひしめきあう。その形態も、屋台、テイクアウト兼食堂、レストラン、高級レストランと様々である。気分と財布に合わせて選択をすればよい。またちょっと高級な店でも大変な割安感がある。例えば、北京ダックが1羽で3000円ぐらい、屋台で食べる水餃子であれば、1個15円くらいで10個食べても200円でお釣がくる。交通費と食べ物の値段が破格に安いのだ。
 

 

擔(担)仔が有名な度小月、見事な手さばきで凄い量の麺を次から次へと製造中

  食べ物が安くて美味しいのは、ひとえに外食好きの国民性によるものだろう。台湾人の働く女性、Iさんは平日は全て外食だ。取り引き先や友人と食事をともにする。旦那様はどうしているのかと聞くと、彼も同じように外で夕飯を食べているので大丈夫だそうだ。
台湾では家族と外食することも多い。週末のレストランではよくそのような光景を見る事ができる。Iさんも夫婦ともに何も約束が無い場合、二人で食堂のような所で食事をする。
台湾の女性はよく働く。働く女性と外食文化は切ってもきれない関係と推測できる。
 
「ぶっかける」文化
台湾では大酒飲みを見た事があまり無い。夕食でも酒は副次的なもので、食べる事が主体だ。男性が食事の最後に白いご飯を頼み、残ったおかずと汁をそれに掛けて食べるという光景をよく見る。たしかに中華料理にはそのまま丼の具になる味の濃いものが多い。この最後の汁掛けご飯が最高という人もいた。
かつて、自身の経験として、韓国の食は「まぜる」文化、ベトナム料理は「包む」文化としてきた私としては、これを「ぶっかける」文化と名付けたい。
日本では、ご飯に汁ものを掛けると下品だと教えられたものであるが、白いご飯に濃い目のタレが染み込んでいる美味しさを私たちは丼物で熟知している。だから是非、台湾では最後に白いご飯を頼み、オリジナル丼を作って味わって欲しい。
 
マグロ問題
玉村豊男氏が著書で回転寿司の国際化を書いているように、台湾でも刺身や寿司を見かけることが多い。特に近年のマグロブームだけは密かにイカンと思っている。
台湾でもマグロ漁が盛んで、殆どを日本向けに輸出していたのが、ここ2〜3年、漁獲高の8割は国内需要となっている。高雄に近い東港ではマグロ祭りが開催されるようになった。1年に1回、台湾中から観光客が沢山集まり、大枚はたいてマグロを食べている光景を新聞やTVで見た。
 
一説によると日本のドラマを見てマグロの味覚を覚えたらしい。もしも中国大陸の人々がマグロの美味しさに目覚めてしまったら、一体どうなるのだろう。あっと言う間にマグロは高騰し、10年もたったら私たちには手の届かない値段になっているか、はたまた食べ尽くされていたりして…。
 
豊かさとは
食べることで貧富の差が無い国は豊かだと考える。台湾はそういった意味で本当に豊かだ。
沢山の品物が揃った市場、様々な業態の外食産業の隆盛、そして食べることを心から楽しみ、情熱を注ぐ人々。食の場面で人々はよくしゃべり、よく食べ、そこから過剰とも言えるエネルギーがワンワンと沸き上がってくる。
今年は台湾の観光年。日本のTVでもCMや特集が流れる。片道3時間、台湾はすぐお隣である。是非、一度その豊かな食文化に触れて頂きたい。
 

(はしもと ゆきこ/(株)丹青社IDS 企画部 部長)
 

このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2004 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.