コラム * ローカルトレンドニュース
from sapporo
小山田 実
 
北の大地に描いた 故イサム・ノグチの夢


 今年のグッドデザイン賞が10月30日に発表となった。
本年度のGマークは「再資源化」がキーワードとなって選出されていたらしく、その中で、見事大賞を受賞したのは札幌市内にある、未完のプロジェクト「モエレ沼公園」であった。  
秋のモエレ沼公園
秋のモエレ沼公園
 
 この公園は、20世紀を代表する彫刻家、故イサム・ノグチ氏がマスタープランを手掛けたことで注目を集めたが、残念ながら氏は1988年に設計を終えてまもなく他界してしまった。しかし氏の意志はその後も受け継がれ、10年の歳月をかけて98年にその一部がオープンした。現在も工事は進行しており、氏の生誕100年にあたる2004年に公園全体が完成する予定である。
 
 もともとはゴミ処理場で、誰も見向きもしなかった場所を、故イサム・ノグチ氏は「人間が痛めつけた場所をよみがえらせたい。人間が汚した自然や環境を修正するのが私の仕事です。」との強い意志から緑の公園へと変貌させた。公園の面積は184ヘクタールもあり、とにかく広い。施設内には「プレイマウンテン」という高さ約30メートルほどの山があるのだが、そこに登ると公園全体を見渡すことができる。最近運動不足のせいか、体には結構堪えるが、目の前に広がるその造形の素晴らしさには言葉を失ってしまう。
 
「公園全体が大地に刻まれた彫刻である」という氏の考えが実感出来る場所でもある。また、氏がデザインした遊具には、子供達が集まり自由に遊んでいる。最近の遊具には使い方を制限したものが多いが、この場所にそのようなものはなにもない。そのせいか、子供達の行動を見ていると、不思議と作品とふれあっているような感じを受ける。「人間の心と心をつなぐ」という言葉が氏の生涯を通じての思想であったと聞いたが、この公園を訪れる家族連れや近所の子供達の笑顔を見ていると、その考えが本当に生かされていると実感できる。
 
 故イサム・ノグチ氏が日本に残した2つの庭のうちの1つである「モエレ沼公園」。2004年の完成には私たちにどんな姿を見せてくれるのだろう。いまから楽しみである。
 
(おやまだ みのる/(株)丹青社 札幌支店)

 

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