コラム * ローカルトレンドニュース
from nagoya
遠田 康一

ウォッシュアップ名古屋!「何かお探しですか?」



 前から気になっていた近所のアメカジショップに、ふらりと入ると短髪のなかなかオサレな中年男性が、僕に声をかけた。彼は僕の返事も聞かないまま店内のGパンやら、Tシャツやらがどれくらい古くて、どれだけいい状態であるかを、まくし立てるように説明しだした。
 
「これは三〇年前のGパンだけど、ほら触ってみて、全然生地が傷んでないでしょ。で、お客さんはGパン洗ってる?木村拓哉がGパン洗わないなんて言うもんだから洗わないのが美学みたいになっちゃって、Gパンてのはさ、ちゃんと汚れ落とさないと駄目なんだよ!(後略)」
 
『へえ』『おお』『すごいっすね』僕はこの三語以外の言葉を発した記憶がない。じゃあ正しい洗い方は?ということで、僕が彼に成り代わりそれを伝授しよう。
 其の一、中性洗剤で洗うべし。
 其の二、すすぎ後、水を三分の二に減らし洗濯糊こぶし大(やけに強調していた)を入れて一分間まわすべし。
 其の三、裏返して、陰干しすべし。
 だそうだ。そして彼はGパン以外にもアメカジについて得得と十五分ほど語り、最後にこう締めくくった。
「また聞きたいことあったらいつでもおいでよ!」 
 
お礼を言って店を出て、僕は気付いた。追い出されたのだ。一見さんお断りだ。ことごとく駄目出しされてその上強制退場なんて。でも次の日食料を買いにスーパーに行って、つい中性洗剤と洗濯糊をカゴに入れ、つい彼の教えのとおりGパンを洗ってしまった。肝心の洗いあがりだが、それはなんというか、ずっと眺めていたいくらいの出来だった。
 
 夕日に当たる他の洗濯物の影に干され、ゆっくり揺れるGパンを見て僕は思った。
『いいじゃん、名古屋!』
 
(おんだ こういち/(株)丹青社 名古屋支店)

 

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