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コラム * ローカルトレンドニュース
from hakata
津田 祐司

「温故知新」〜ローカルトレンド逆行編〜


 先日、東京出張した折の事。打合せが終わり、駅で路線図をみていると、『赤羽』の駅名が目に止まった。新卒で上京して、初めて住んだのが赤羽だった。博多へ転勤して18年経つがその間、何度も東京へ出張しているものの、全く立ち寄った事はなかった。
何となく新人の頃の『塒(ねぐら)』を訪ねたくなり、赤羽行きに乗った。当時、アパートを探すため、不動産屋で尋ねると「北区の赤羽は便利で安くていいよぉ〜」といわれ、「北区って、東京?」「立派なトウキョウだよ!」と。聞覚えのない地名だった。ビミョーで奇妙な街だった。やたらアジア系の人が多く、フツーに住んでいた。「下町」とした品はないし、「ダウンタウン」としたスタイリッシュさもない。スラムとはいわないが、吹きダマリの感であった。
着くと、赤羽の駅は大きな駅に変貌し、西口にはヨーカ堂やビビオができていた。忘れかけた記憶の中で「そうだ!赤羽台だ」と思い出しつつ、今なお営む古い商店の角を抜け、食堂を脇に坂道を上る。記憶にある「赤羽台団地」があった。団地内の商店街は更に古くなっていたものの閑散の中で健在だった。素で入りボッタクられた寿司屋、変な姉ちゃんに出会ったコインランドリー。角を曲がると、「あった!」初任給の口座を作った銀行。ここまでくると、わが『塒』だった「赤羽荘102号」も近い。記憶の霧が晴れてゆく。「赤羽台3-2※-※」。木造モルタル2階建の日当の悪い1階6畳1K風呂無し部屋だった。
2階への鉄骨階段の「カン!カン!カン!」と響きわたる音が蘇る。裏路地に入ると同じ木造アパートが何軒かひっそりと並んでいる。20年前と同じ風景だ。ドテラにモモヒキじぃさんが彷徨っている。昔のままだ。24番23号、24…「?!」「ない!」「赤羽荘」がない。そこにあったのは、凡そ、につかわしくない妙な横文字の新築アパートだった。赤羽荘は消えていた。が、塀に佇む猫やゴミ袋が散乱している戸板1枚の玄関。
変わらない、何の変哲もこだわりもない街であったが、戻りの坂道を下りながら、「じぃ〜んせぇ〜てぇ〜…」知らず知らず、演歌が口をついた。赤羽は冬枯れの錆色の空が似合う。一度なりとも身を寄せた地があれば、折にでも寄られたらばと思う。時を経る程に、いい演歌が口ずさめますよ。

(つだ ゆうじ/(株)丹青社 九州支店)


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