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■コラム * tannet flash 「レプリカ」と「バーチャル」の世界観 古川 俊弘 集客装置の発想 博覧会とゲームソフトとテーマパーク
今年は久々にジャパンエキスポ関連で3件博覧会がある。目指すものや表現形態が以前とは時代環境も変わり、博覧会の新しい模索が始まった。環境や共生のキーワードに移行しながらも博覧会ブーム当時の発想を振り返り、次世代の集客装置を発想するヒントを考えてみたい。 つくば科学博が終わり、地方の博覧会ブームがあったころ、どんなパビリオンを造るべきかという議論が各方面であり、わりとよく話題にのぼったのがゲームソフト(当時ファミコンのドラクエなど)やアメリカのテーマパークのアトラクションをモチーフにした企画であった。もちろん企画案をそのまま実現できたパビリオンは皆無に近いと思われるが、当時、人間や宇宙、近未来をテーマとしながらもアイデアのソースとしてゲームソフトとテーマパークが、造り手側一般のベースとして確かに存在していた時期があったように思う。 周知の通り、つくば博以前では旧来の静的展示手法とともにグラフイックを絡めた構成が主流となっていたが、つくば科学博は“大型映像展”とも評されたように展示演出に圧倒的に映像が入りこんできたことに加え、ライドが遊園地以外の場でも普及し始めた契機となった。で、博覧会ブーム時はまさにバブルの絶頂期であり、企画時点では何でもありの雰囲気の中、ファミコンブームと合わせてそのストーリー展開を流用しながら、テーマパークの手法を併せりゃ面白いんじゃない、という機運があったのかもしれない。パビリオンの演し物としての構成は、来場者を楽しませ体験させるためのプレショーからメインショー、エンディングへいたるストーリーがあり、それが映像であったりライドであったりショー形式のステージであったりと表現方法は違えど、当時の博覧会パビリオンを企画する定番ものであったように思う。 最近個人的にゲームソフトとテーマパークを思う機会があった。 ひとつには、遅まきながらわが家にニンテンドー64が導入されたこと。今さらながらに驚いた。画面の精度の高さに。3Dによる複雑な表現に。ストーリー展開の面白さに。キャラクターのリアルな動きがあった。場面場面の見せ場があった。 2つめには今をときめくユニバーサル・スタジオに行ったこと。5つのアトラクションと水上ショーを見た。個々の評価はさておき、様々な演出手法や仕掛けを駆使した構成を堪能した。どよめきや叫びがあった。水しぶきがあった。待ち時間があった。食事もし、土産品も買った。パーク全体を異世界と思わせる表現が多種あった。また、その世界を感じさせるための技術力があった。 誉め言葉としてゲームソフトでは「ハマる」という言い方がある。テーマパークでは「ウケる」という言い方がある。のめりこみたい、面白さを感じたい、楽しみたい、感動したい、刺激にあふれたい等々、受け手の欲求はけっこう単純である。しかし単純な欲求をパーフェクトに満たす具体的な方法はけっこう厄介である。と、つらつら思いながら当時の博覧会パビリオンのブレストを思い出したのであった。 思うに,両者に似通っているのはベースとなる展開やストーリー、例えば過去の神話、伝説、冒険物語を題材にしたものや時空を超えたSFモノ、ホラーものなどをベースに世界を構築している例。また映画などの追体験、現実にある街や物、スポーツ、ゲームなどを擬似化したものなどをモチーフにしている点。さらにバーチャル感覚やデ・ジャブ感覚を存分に刺激する思い込みや仕掛けが一杯詰まっていることも、似通っていると感じさせる部分である。 反対に、決定的に違うのはゲームソフトは一瞬にしてゲームを中止でき、しかも途中からリセットできること。そして余韻は個人の頭の中のみにあること。 一方、テーマパークは自ら出向いていき体験・体感することを基本としながら、物理的にリセットできず余韻は五感が覚えていることであり、他者と共有感覚を持つことができるなど、両者の世界を知る手だてとなる空間は始めから出発点が異なっている。にも関わらず当時の博覧会は、各々のいいとこ取りをしながらパビリオンの構成を考えていた部分があったように思う。 施設やものごとをつくるとき、初めの発想を大事にしたいものである。それが核となりエッセンスとなって膨らましていく方法が、施設を成功させたり、人を感動させたりする。頭の中で面白いと思うことやワクワクすることを具現化させたいものである。それを冷静に分析し精緻に組み立て、思い描くストーリーと合致させていくのは知的な楽しみである。格段の夢想や空想、想像を現実的に構想、構築、創造したいものである。博覧会やテーマパーク、商業施設などの集客装置や展示施設、PR施設には、そのようなことを具現化させられる土壌がある。 至福や感動を体験できる、人と施設の上質なコミュニケーションを見たい、造りたいと展示内装業界に身を置く私は思う。 (ふるかわ としひろ/(株)丹青社 プロモーション事業部制作部購買課 課長) このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2001 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |