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| ■コラム * tannet flash 「レプリカ」と「バーチャル」の世界観 古川 俊弘 伝達の質量 − 動かす力 吹雪の朝、テレビのニュースは音が消えていた。ラジオは現代音楽をかなでていた。外の荒々しい風景と無機質な淡々とした映像、旋律のない音楽、めったにない取り合わせはそれぞれがそれぞれを主張していた。猫と同じ距離感で見るような気分を味わいつつ、ある光景が浮かんだ。 それを排除しようという「現代の常識」は外圧となり、ともすればくじけそうになりながらも静かに「伝えるべき内容」を暖め続ける。厳しい寒さは一瞬の猶予もなく体の芯をつらぬいていく。壊死しかかっている指先に激痛が走る。身をとりまく「現代の常識」は不必要なほど妥協や他人任せという罠を仕掛け刻々とその姿を変えながら男の体に容赦なく挑む。 ◇
まだまだこの地球に世界がいっぱいあったころ、共通の言語や習慣がない種族や人に伝えるとき、音や絵、しぐさ、表情など肉体を駆使しながら思いを伝えた。伝える力と伝わる力はイコールではないので、さまざまな工夫を凝らす。何が本質かを探し、余計なものを剥ぎとりながら伝えたい事を表現していく。その伝える質と量は自分自身に振り返ってくる。 ◇
元々、正解がひとつしかないというのは稀なできごとである。 正解が複数ある。不確定要素があって正解にいたらない。人間には答えられない。など正解がみつからない、たどりつかないというのはよく経験する事だ。 建築やわれわれの業界では発注者が組む相手を選出する際の形がある。プロポーザルとは技術者数、実績、推進体制、課題解決の能力などを総合的に勘案して設計者を選出する。コンペティションやプレゼンテーションとは、ある課題に対して最も優れた案を提出したもの。いずれも企業姿勢も踏まえて提案力が期待される。 「問題」は原因を取り除くことで解決する。「課題」は取り組むことに意義がある。あとはどう伝え、実行するかだ。 ◇
社会が成熟すればするほど、大人がだんだんいない幼稚な社会となる、という話がある。成熟するプロセスは膨大な知識や知恵を投入して技術改革などを通じ、より良くなるよう人々の生活を変えてきた。未知なるものが生まれ、サービスがサービスを生み、その隙間にもあらたにサービスが生まれ続けている。次第に、生活を続けることはそれらがないと不便と感じるようになり依存することが当たり前となる。 それに反比例して自分で生きるという能力が削られていく。 多様化された社会といわれても、生きていく上での選択肢はそれほど多くない。勝ち組、○○スタイル、○○ライフ、○○主義、個性化。と叫んでも実態は他人とどれくらい違うのかという数値や尺度などの基準で測られることが多い。自分自身がもつ尺度で語られる度合いは少なく、自分にではなく、堂々とひとに語れることが重要となる風潮だ。また、与えられた枠の中でどう失敗しないかという狭い範囲の中で、自らに鎧や免罪符をつけることも自分を守る意味で重要となる。 それらに取り囲まれながらも、ほんの少しの幸せを味わうための伝達の力は大切である。 ◇
自分がイメージしたものに近づけていく作業は自分自身への伝達でもある。 これらは伝達する目標のイメージをそれぞれが持っており、常にその最高のイメージを現実に作り出していく情熱を基本とする。自分なりに解釈・咀嚼して改良を加え続けながら、それぞれの過程に格がそなわってくる。その中身は一見すると似ているのだが細部が微妙に優れており、全体としてみると格段の違いを感じることになる。 ◇
不思議を感じる気分や好奇心のまなざしを持ち、幸せを感じる能力を研ぎ澄ます。すなおに伝達の方法や手段を考える。そのきっかけは本質を自分の中で理解し整理することからはじまる。 伝わったときの爽快な気分や感動を思い出し、また経験したいと思うことによって、きずなの世界は広がっていく。 とびきりの笑顔を獲得することは、人を動かす大きな力となる。 (ふるかわ としひろ/営業業務管理室 業務1課 チームリーダー)
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