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■コラム * tannet flash 「レプリカ」と「バーチャル」の世界観 古川 俊弘 魔法の境目
激しい嵐のあと、ある島に漂着した男。目の前にかすかに見える島は日付変更線の先にある前日の島。
現実に見える現在の過去の島。もはや移動手段がなく、男は毎日きのうと対面する。
ほんの先のところに行き着くことの出来ない時間への迷宮。不思議な境目として印象に残る話である。 ● 「集客交流」という視点から新しい需要の創造や活性化が各方面で動き出している。 例として仙台。言わずと知れたプロ野球球団の新しいフランチャイズとして盛り上がっている。 過去、ロッテをフランチャイズとして擁しリーグ優勝を果たした。 しかし日本シリーズを開催するための球場入場者数3万人に満たなかったため地元で開催できなかった屈辱。 しぼむファン層。という歴史を持ちながらも現在では、いいきっかけとして、さまざまなプロジェクトが芽を吹き実現へ向けての気運と流れが渦巻いている。 今、これから、何かが変わる分岐点。変換する担い手としての企業や行政、地域住民。 地域の中、周辺、日本国内を相手どった新しい交流が生まれる。 ● 「ユニバーサルデザイン」、あらゆる人が普通に当たり前のことをできる環境を作り上げる大きな考え方。 過日、ジャンルの違う企業のデザイナーが集うワークショップのスタッフとして参加した。 ラジカセ、ATM、宿泊施設、自動車などの素材を基に視覚・聴覚・四肢の障がいを持つ方々に、実際に普段どのように使用しているかをやっていただいた。 目から鱗のような、思いもよらない意見も多く出され参加者ともども貴重な体験となった。 その後、各チームでは何が問題で、どうあるべきかの議論が交わされ各々発表した。 普段の専門分野ではない商品はもとより障がい者の方々の意見とともに親密でエキサィテイングな場となった。 人ともの、あるいは人と人との境目を見直し、ほぐすいい経験であった。 1日だけの会であったが、もちろんそれで終わるはずもなく、ユニバーサルデザインとは終わりのない永遠の発展途上の考え方である。 ● 「本歌取り」、和歌などで使用される懐かしい言葉である。 近年はその考え方を踏まえたような事例が身近に多くなってきた。 オリジナルの根底にあるものをリメイクしたり、新たなものを提供しようという動きがさまざまなジャンルで行われている。 たとえば、日本映画のハリウッド版、昔のマンガと同名のアレンジ、小説や芸術作品などで過去作品を讃えたり踏襲した作品群。 生活やビジネスの側面では企業の保養所を買い取り、違った形態での宿泊施設を提供。 歴史的建築物の外観を保持し中身は最新のものに変更。 昔の町名を復活させ歴史や遺産を身近なものにするなど本歌取りのようなさまざまなこころみが随所で行われている。 「ものづくり」という単語も最近は頻繁に見られる。 企業や地域において技術や知識、熟練の技など今まで作りあげてきた資産を継承・伝承することという意味では本歌取りに近い。 一方、減少をくいとめるという話で保護動物や絶滅に近い動植物がいる。 聞くところによると減少の度合いは加速度的であるらしい。確認された個体数が全体で300頭とする。 地域ごとに分断されて生息しているため全体ではなく群れごとの単位で算出するため300頭が250頭、200頭に減るのではなく300頭が150頭、50頭というふうに急激に減少していくことになるという。 生態系を含め、今さらながらに継承し続けるのは労力がいると感じる。 ● われわれは何かを区切るとき、境目を作る時に理由はさまざまだ。どうせなら、いい境目を意識したい。 ひとびとの奥底には常に今までとは違う世界を見たい、感動や不思議な体験をしたい、生活をよくしたいなどの欲求が潜んでいる。 朝焼けや夕日のように今まで見ていた風景が劇的に変化する瞬間、まるで魔法にかかったように違うものを体験したい。 あらかじめ良く練られたプランを実現するための境目は無数にある。 数々の難問を乗り越え最後の境目は実際に実現することである。実現と同時に魔法の境目が生まれる。 (ふるかわ としひろ/(株)丹青社 IMC事業部 Dプロ室 3グループ チームリーダー) このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2004 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |