コラム * tannet flash
「レプリカ」と「バーチャル」の世界観
古川 俊弘

響きの風景−時空を超えた交流


 花火が夜空に大火を散りばめる。大音響がとどろき直接からだに響き渡る。からだ全体で受けとめたその名残は、しばし細胞をつらぬきながら不思議に同化する。除夜の鐘、深閑とした空気の中、あたり一面に余韻が染み渡る。ひとが作ったものでありながら、空気や温度などとからまってひととの交流をうながす。こだまは木霊や木魂と書き、樹木の霊魂や木の精、やまびこを表わす。
 
響くこと、響きあうことは交流することでもある。何か魅力的なものを感じ、同じように響き共鳴することで新たな世界が広がっていく。
 

 
 古来より世界各地で地域を越えた交流は歴史が示すとおりである。
侵略や勢力の拡大も含めて様々な交流が行われてきた。大航海時代を始めとした未知への世界の憧れや極地への探検、明確な目的を持った布教活動なども幅広く交流の原動力となっていた。
日本では、たとえば千石船は当地の御用米を往路で運び、復路では布や生地、工芸品、種子など互いに地元では手に入らないものを手に入れ双方にとって補う形で数多くの船が行き来した。ひとが行き来しながら情報を交流しあうことが死活線となる。
時には航路を大きくはずれアリューシャン列島に漂着し、驚くべき決死行でロシアを横断し、道半ばで倒れるひと、帰化するひと、帰国するひとなど交流の歴史には様々なドラマや生き様が秘められている。
 
 
 都市や地域の考え方が変化している。地域の再生や活性化が各地で望まれている。魅力を身につけ自活できる体質への脱皮が課題となる。
駅前は日本全国どこでも同じと揶揄されるが、ある意味では日本全国で統一感がある。多くの意見では特徴がないということになる。
明治以来、日本では官が主導となって町づくりを行ってきた。札幌や名古屋のように均一に四角に区切ったり、パリを見本とした放射状の形態の田園調布など計画的な町づくりが各地で行われた。
西洋や中国では城砦としての町の区切りの中に食材や道具、武具などを作る生産の場所、城内での流通、他都市との情報交換、連兵場、統治者の住む区画などの区分で都市を構成していた。
似たような構成として日本でも城下町や、近代の企業城下町というスタイルは残念ながら共に歴史の中で風化してしまった。
 
 
 県や市のレベルで地域のブランドを確立するために専門の部署をおくところが徐々に出始めてきた。ブランドの語源は、同じ焼印を家畜群に押す、罪人に押した焼印などを意味している。前者は所有の意味合いが強く、後者は区別・分類の意味合いが強い。
他でもない自身のために各地域ともブランドたりうることに真剣な取り組みが始まった。古くから京都や函館は自主的に照明の規制を実施してきた。川越は建物の規制を行ない都市としての統一感を考えている。
今でこそかなりの地域があたり前のように地域ブランドを意識するようになってきた。
新たな力として経済交流、観光、国際会議、文化・学術交流、スポーツ大会などの交流形態も活性化のひとつの起爆剤として考えられている。
もっと知ってもらうという意味で、直接首都圏などにアンテナショップを設置する例も増えてきた。
採算面を考えると売れるショップを目指すことが必然的であり、大消費地での反応をさぐるためのテストマーケティング、作られる過程や技術、実際に生産している生産者の顔を意識させるなど戦略的な側面が重視されるようになってきた。
観光という側面も身近でありビジットジャパンを始めとした試みが各種話題をにぎわすようになってきた。
 
 
今夏の甲子園でわが母校が44年ぶり2回目の出場を果たした。思いもよらぬことであり意外な感もあったが反面、感慨深い出来事であった。
初戦で敗退はしたもののテレビでは何度も44年ぶりという言葉が繰り返され、画面では44年前の選手たちのスタンドでの応援風景が映しだされたり地元での映像が紹介されながら、もちろん選手の誰ひとりとして面識がない私ではあるが、観戦中、やはり知らず知らず力がはいってしまった。
ひとつの出来事を媒介としながら、間違いなく地域の中の一大イベントとして成立している。○○年ぶりというのは、確かに一度実現したことが、また新たに実現した時のために重みを持っている。
 
自然とそのあいだの期間を反芻したり過去の記憶をよみがえらせたりと地域間の結束を強め、互いに響きあう風景として存在する。
都市や地域のブランド化、生き生きした鼓動が聞こえ活気に包まれる風景とは。感応し合う不思議な力で心がざわめく。
 
(ふるかわ としひろ/(株)丹青社 IMC事業部 Dプロ室 3グループ チームリーダー)
 

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