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■コラム * tannet flash ミュージアム・ナウ 粟国 嘉隆 利用者が自らの手でつくる展示 来館してもらうことで初めてその良さを知ってもらえる博物館などの展示施設にとって、多くの利用者を惹きつける、いわば来館動機を高めるような工夫は常に考えていかなければならない課題といえる。 未だ開館していない施設の場合でも、開館準備用のホームページで、イメージスケッチなどを示して展示空間の様子を紹介したり、館の存在自体を認知してもらうための情報提供を行なったりして期待感を高める例がある。また、最近では展示制作の延長として、開館前から展示施設に親しみを感じて、より積極的に来館・活用してもらえるためのしくみづくりが注目されるようになってきている。 展示制作の一部を利用者自身で担うことができたら、展示施設にも愛着を感じて何度も利用してもらえるのではないか。このような意図のもと、ワークショップを企画した事例がある。
これら完成した「エコ・タイル」は施設開館後にエントランスホールを飾るシンボルオブジェとなる予定であり、まさに「利用者が自らの手で展示をつくる」ワークショップといえる。 ところで、「環境学習施設」という言葉に聞き覚えがある人は少ないはずである。展示学習の場に強い興味を持たない多くの人々には、単に文字や言葉で説明しても「環境学習施設」がどのような施設なのか、何ができる場所なのか、具体的なイメージは伝わりにくい。しかし、実際に展示を設計しているスタッフとともに、開館後に行なう活動の一部を体験すれば、直感的に施設の活用イメージの一端を描くことができるようになる。展示制作ワークショップは広報活動としても非常に効果的といえる。 また、今回のワークショップのもう一つの特徴として、工作につかうリサイクル材料などを茨城県内の関連団体や企業などと連携して準備した点がある。開館後の運営を見据えた企業協力を開館前から意識した結果、ワークショップが企業連携のチャンスとなった。これは、「利用者自身が展示をつくる」というプロセスが「施設と利用者」ばかりでなく、「施設と運営パートナー」をもつなぐ絶好の機会となることを示している。 環境学習施設の展示制作のプロセスと広報活動、そして事業連携の試みとが融合したこのワークショップは、展示設計者が展示活動に対する利用者の反応をじかに感じ取りたいと、設計段階から提案していた企画でもある。開催当日は200名以上が参加する賑わいを見せた。自分がつくった展示との再会を楽しみに、施設の開館を待つ利用者がいる。そんな利用者の期待と、実際にその期待を肌で感じた設計者の熱意が注ぎ込まれることで、多くの人々に親しまれる展示が生まれようとしている。
(あわくに よしたか/開発デザインセンター クリエイティブ3部 プランナー) このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2005 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |