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■コラム * tannet flash ミュージアム・ナウ 粟国 嘉隆 コレクションとの対話を楽しむ展示
展示企画や設計に携わる者の数だけ、新たな展示の可能性がある。多くの展示企画・設計者は自身が関わる博物館施設の展示計画のなかで、「これまでにないもの」あるいは「新しい何か」をめざしている。それはコンセプトやテーマ構成の考え方など概念的なものから、最新の素材や機器などを活用した表現手法のような具体的なものまで、さまざまな段階で試みられる。与えられた諸条件の中に、ひそかに(あるいは大胆に)展示企画・設計者としてのアイデアを取り込んでいく。
実物資料を用いた、これまでの自然史関連展示のおおまかな流れは、動物の剥製や植物標本などを系統ごとに整理して紹介していく分類展示から、動植物の生息状況を表現するために、生態環境を参考に各々の資料を組み合わせたジオラマ展示への進展などがある。最近ではジオラマ内の動植物資料を双眼鏡などで観察する体験的要素が加えられたり、照明効果により昼夜を表現するなどの演出が行なわれたりする例もある。 今回の展示は、植物標本の分類展示ということになるだろうか。しかし、標本資料と一体化した演出が取り入れられている点において、従来の枠に収まらない楽しさと驚きがある。植物標本とそれをもとに描かれた和洋2つの植物画が、3つそろって対比される展示に加え、シーボルトが収集した資料からさまざまなモノやコトが派生し、開花するイメージを映像と組み合わせて表現する手法は本展示の目玉の一つだ(写真(1))。また、展示を見学するうえでのイメージづくりが随所で行われているのも特徴の一つといえる。シーボルトが収集した日本の園芸品種にちなんだ、和のイメージを伝える浮世絵の映像を屏風型グラフィックと組み合わせて表現する(写真(2))など、資料を際立たせる映像演出も通常のコレクション展示ではあまりみられない。
(あわくに よしたか/(株)丹青社 公共空間事業部 事業企画室) このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2003 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |