コラム * tannet flash
ショップス・ニューウェイブ
朝田 賢治

こんなモン買って、何処に置くの?


 平成12年を振り返ると、「衣食住」では「住」が圧倒的に勝っていた。首都圏の新築マンションの発売戸数はピークだった平成11年を1万戸超え、9万6千戸の供給、且つその契約率も約80%で順調すぎて怖いほどの回復をみせた。そういえば当営業部においても極貧の中、実に13人中4人が「マンション」を買った(やめとけ、と言ったのに)。またある1人は義父に家を新築させ「マスオさん」になろうとしている。国内小売業同志の消耗戦が一層熾烈になっている一因は、この「住」を最低確保すればなんとなる、と言う「守り」の本能であること明白である。つまり、彼らは大英断をして「守る」ものを、獲得したことにより、日々のその他「衣」「食」に係わる欲望を極端に自己抑制することを余儀なくされた。その代償が消費の低迷なのである。必要以上のものは身にまとわず屋内外をフリースで過ごし、定食に半玉(隠語:ランチに卵焼きをオプションでつけること)は添えず慎ましやかに、華美を棄てて実質のみをとる清貧の勧め。と言えば多少なりとも美しいのだが、とにかく遊ぶ金なんぞは無いのである。

そんなこんなを背景にして、デベロッパーから引く手数多の業種がホーム・リビング関連MDを中心とした専門大店なのである。規模の大小はあるが最も大型志向は「大塚家具」「ルームズトゥーゴー」「島忠」「BOコンセプト」などのいわゆる本格的なファニチャー中心の商品構成で、「大塚家具」のオペレーションはかつて国内では類を見ない会員方式が受け入れられている。150坪前後の中規模店「フランフラン」はDCブームを彷彿させる、パッと見、洗練されたパステルカラーと仄かな淡い芳香で女性をくすぐり、「ボザール」「無印良品」が火をつけた業態をまたひとつ進化させた。小型店になれば「私の部屋リビング」「TC」「セノゾイック」「リヴァンス」などキリがなく、百貨店もスーパーも自主編集型店舗の構築に日夜邁進している状況である。

昨年3月に開店した「無印良品」京都近鉄プラッツ店、そして11月開店の青葉台店はその中でも、またひとつ先のステージを示して見せた。1000坪、専門特大店の誕生。それまではキャナルシティ博多が520坪、広島ウィズワンダーランドが670坪であったからいきなり1.5倍規模への挑戦であった。商品群はライフスタイル提案型を超え、あたかも「マンション」を全てプロデュースできてしまう規模の展開である(内装工事も請け負う)。「無印良品」の進化は、既存店の売上げ減少など課題あるものの止まりそうにはないのである。

忘れてはいけないのが、この道の草分け的存在の「東急ハンズ」だ。都心では渋谷、新宿、池袋を旗艦として、大阪、札幌にも進出、最近では名古屋駅前のJR東海高島屋の開発案件に14店舗目として、2000坪弱でFCとして出店。ホーム・リビング関連MDには歴史も実績もある同店は、流行ではなく、確固たる伝統として、社会的に既に権威づけられている。そして、その好調ぶりはこの逆風景気の中、表彰モノである。

はたして我が「マンション」にはこれらで売られる商品がどれだけ並べられるのか、飾られるのか。悲しいかな日本では現実として、居住空間の広さと言うレベルにおいて欧米各国と比べかなり遅れている。おらの「うさぎ小屋」にはガラクタ雑貨に、邪魔な家具の山・・・なのである。

最後に、ホーム・リビング関連MDを違った切り口から拾っている100円ショップ「ザ・ダイソー」について少々。実はこれがますます先ほどのガラクタ雑貨を生む元凶であろうか、驚異的な店舗面積の拡大方向にて、全国各地でデベロッパーの空き区画よろず請負人に急成長している。平成12年4月、東京町田のダイエー跡地になんと2000坪の売り場面積「ザ・ダイソー百円館」で出店。価格破壊の主役が歴史的なバトンタッチをした瞬間ではなかろうか。知っての通り「ザ・ダイソー」には100円の家具は無いが、時計だったり、髭剃りだたり、はたまた、工具セット一式だたりと、バラエティさには他の追随を許さない。かつて言われた主婦の宝探し的な衝動購買を狙っていた時期を遥か通り過ぎ、目的来店性が強化され、ごく特殊なものを除けばGMSクラスの品揃えは十分達成している。しかも全部100円で、である。

商品原価は約40円、物流コストが約10円、仕入れ経費が約20円で100円あたり約30円の粗利益での商売である。決して小売業としては高くないマージンが業態としての弱味といえば弱味。今やユニクロと同じく生産拠点は中国が大半を占め、現在生産地シェアー50%弱と聞く(日本国内は15%程度)。

世の中「顧客」が「個客」になり、自分だけのカスタマイズされた価値観による、商品、サービスが要求され、そして多様化、複雑化。分岐して、決して融合しない分野とそうでないオーディナリーニーズと、更に深遠な分野と新鋭な発想と。ビジネスモデルは社会(マーケット)の中で構築され、発信を繰り返す。

「IT革命」に足場が固まらない時代の中、ホーム・リビング関連MDは日本流通経済再生の触媒になりえるのか。

(あさだ けんじ/(株)丹青社 第1営業統括部第1営業部 部長)

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