|
■コラム * tannet flash ショップス・ニューウェイブ 朝田 賢治 慮る店、馴染む店、癒しの店
拙妻の靴は『かねまつ』銀座4丁目店と決まっている。中央通り本店の方が広くて品揃えも良いのでは、と聞くと、逆に広すぎて買い難いという答えが返ってきた。「全ての人に均等のサービスをしている」だけの凡庸さが納得出来なく不満な彼女。自分だけに提供してくれるセレブな心配りに癒されたい様子。 ● 「慮る心」とは何か?いつ何時でも、顧客の要望に答えようとする、もてなしの心であることは間違いないが「サービスする心」に比べもっと奥が深い。常に相手(顧客とは限らないが)の希望していることを先見で捕らえ、その期待に、あるいは咄嗟の事件に対処、行動する姿勢である。デリケートでありすぎて一言では表現しきれない。 会話をすることを、言葉のキャッチボールなどと表現することは多い。男の子ならば誰しも父親とキャッチボールをしたことがあるだろう。振り返れば、他愛のないその親子の戯れに実に多くの「慮る心」の教育が内包されていた。キャッチボールは相手が一番捕りやすいように、胸をめがけて投げることが基本。これは「思いやり」であり、「基本ルール」。高く投げてしまったり、ショートバウンドしたら「ごめん」と声をかける 「謝罪」の一歩。高すぎて捕れなくても「大丈夫」と相手を気遣う「寛容さ」を学ぶ。相手が小さい子だったり、女の子だったら、そっと緩やかな球を投げる。力の「加減」、そして「優しさ」を学ぶ。 「慮る心」はマニュアルでは表現しきれない。サービスのマニュアル化は客のためであって、仕事の効率化のためではない。「ハンバーガー20個下さい」とマクドナルドの客。「店内でお召し上がりですか?」と店員。笑い話でよく使われたこのやりとりは、実はマニュアル依存の接客サービスの落とし穴を風刺した。米国で花咲いたマニュアルという超合理的であり効率的な手法にはかえってその逆に、不器用な面も多くあった。 マニュアルは最低限守るべきルールであって万能でもなければ、最高のサービスのシステムでもない。本当の顧客満足はそのマニュアルの外側に超然と存在する。『ずっと。あなたの顧客でいたい』と常に期待させて止まない、この『カスタマーロイヤリティ』を抱けるお店を、あなたはいくつ持っていますか? (あさだ けんじ/(株)丹青社 商空間事業部 第3営業部 部長)
このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2003 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |