リアルに再現された米国の街並みと
映画を題材にした迫力あるアトラクションで
ハリウッド映画の世界を体験
大阪市此花区の臨海部に大規模テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」が3月31日オープンした。大阪市を筆頭に、ユニバーサル・スタジオ社およびグループ会社、住友金属工業(株)、住友商事(株)、日立造船(株)などが出資して設立された第三セクターの(株)ユー・エス・ジェイが事業主体となり、約1700億円を投じて開発したものである。
ユニバーサル映画を創立したカール・レムルは、1915年、カリフォルニア州サン・フェルナンド峡谷に映画撮影所を開設。このスタジオは有料で一般開放され、野外観覧席で映画撮影を見学することができた。やがてこれを発展させ、1964年7月に「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」を開業、1990年6月にはフロリダ州に「ユニバーサル・スタジオ・フロリダ」を開設した。1999年5月にはフロリダに第二パークをオープン、 さらにフロリダでは、複合施設「シティウォーク」などを加え、デスティネーションリゾート「ユニバーサル・オーランド」を形成するに至っている。これらに続くユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、テーマパーク“ユニバーサル・スタジオ”の海外進出第一号である。
パーク内は7つのエリアで構成され、エントランスから延びる約300mの直線通路と巨大なラグーンを巡る周回路がメイン動線となり、日本オリジナルを含む18のアトラクション、21の飲食、24の物販が配されている。
エントランス付近は、1930年代〜1950年代のビバリーヒルズ、ハリウッド・ブールバードを再現した「ハリウッド・エリア」。ファサード一面に施された繊細な装飾をグラスファイバーを補強材とするGRC(ガラス繊維強化コンクリート)を使ってあらわすなど、映画セットの製作技術を駆使した造形に加え、信号機、パーキングメーター、街灯などに実物を使い、モデルとなった建物や街並みを忠実にリライトしている。
また、サービス施設やショップを集積した「ハリウッド・エリア」の一部には、本国のユニバーサル・スタジオにはないキャノピー(天蓋)が被せられた。これにより、ゲストは雨に濡れずに買い物ができ、夏の日差しをしのぐことができる。
直線を進むと1890年代〜1930年代をイメージした「ニューヨーク・エリア」となり、現在では地中化された電柱を復活させ、電線を張って時代を演出してみせる。百貨店の「メイシーズ」や「ペンシルバニア・ステーション」など著名な建物が想定する時代設定に合わせ、時代考証に基づいてつくられた。レンガ造りの建造物は、日本、アメリカ、ベルギー、オランダなどから運ばれたレンガを選んで使い、それぞれの時代感を表現している。
路地や袋小路などを設けたダウンタウンは、長い年月を経て風化したような装いを施す「エイジング」により、そこに生活する人々の息遣いが感じ取られるほどのリアリティを創出した。たとえば雨滴が流れ落ちて汚れた壁の演出は、微妙に配合した塗料を水に混ぜてポンプで壁に吹き付けたものだ。
こうしたリアルな空間創出がある一方で、直線の最端部に屹立している「ニューヨーク公立図書館」「グッゲンハイム美術館」は、平面上に遠近法で描いた「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」である。最新のセット製作技術と、かつて映画撮影で使用されていた書き割りが共存するユニークな空間である。
ダウンタウンを過ぎると眼前には水面積約2万8000m2のラグーンが広がり、その周回路に入ったあたりが「サンフランシスコ・エリア」。通路には廃止されたケーブルカーの線路や転車台の跡が残され、サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフで見られる、窓を張り出したベイウインドーという建築様式を再現した建物がラグーンを望む。
「サンフランシスコ・エリア」とブリッジで結ばれた「ジュラシック・パーク」は題材になった映画の世界を堪能できる。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは7000本以上の樹木を植栽しているが、そのうち約半分を「ジュラシック・パーク」エリア内に施し、南の島を演出した。アトラクション「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」のジャングルゾーンは、日本各地で種類、高さ、葉の色、大きさなどを調べて選択した110種類の樹木や下草を擬木とともに植え、モルタル製の擬岩、高さ17mの岩山から流れ落ちる滝などを設けた。再現された発電所は地上40mの高さがあり、パークのランドマークとなっている。
「ジュラシック・パーク」に隣接するのが、アメリカ東部海岸ケープコッドをイメージした「アミティ・ビレッジ」。ロブスター漁に実際に使われる網やカゴなどの小道具を置いた水揚げ小屋、造船場などが建ち並ぶ。アトラクション「ジョーズ」はツアーボートにサメが襲いかかるという設定だが、映画の舞台となった街を実物の3分の2のスケールで再現し、陸地から離れていることを演出。このアトラクションの乗り場前には体長約8m、重さ3tの巨大なサメの模型が吊り下げられている。
ひなびた漁村の風景が一転して華やかなハリウッド・ブールバードにつながり、エントランスに戻るわけだが、そのメイン動線からはずれたところに、日本オリジナルの「スヌーピー・スタジオ」「ウエスタン・エリア」がレイアウトされている。
「スヌーピー・スタジオ」は明るくやわらかな色調の空間で、モチーフとなる漫画「ピーナッツ」の醸し出す、ほのぼのとした一面を強調する。カートゥーンの世界を三次元で再現した空間造形とさまざまな遊びの仕掛けを、キャラクターとのふれあいとともに楽しみたい。
「ウエスタン・エリア」は西部時代のコロラドの街をイメージし、酒場やホテル、床屋などが再現され、駅馬車や酒樽、鞍などの小道具が豊富に用意されている。最奥部は鉱山に見立てたファサードをもつアトラクションで、鉱物を運搬する貨車を前面に設置して雰囲気を盛り立てる。このファサードの屋根はユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは例外的にフルスケールではなく、アナモルフォーズ(畸形化)して実際以上に高さを表現している。
初年度の入場者数は約800万人を見込む。入場者数は漸増させていきたい考えで、開業後5〜10年に年間1200万人を目指す。そのため、2年ごと に100億円規模の追加投資を行ない、新規アトラクションを導入して集客力を高める計画だ。すでに計画段階から5つのフューチャー・アトラクション用地がリザーブされている。
| 根本 祐二/日本政策投資銀行 企画審議役
プロジェクト・ファイナンスによって |
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USJは、「成功した三セク」の代表例として語り継がれるようになってほしい。そもそも、ある三セクが失敗したとしても、その原因は三セクという経営形態そのものにあるのではない。官と民、民と民の株主相互間の役割分担の不明確さが原因なのである。いかなる事業でも完全に思い通りに進むことはなく、予想外の(あるいは予想通りの)リスクが発生するものである。役割分担が不明確であると、皆が手をこまねいている間にそのリスクが拡大する。早めに手を打てばすぐに解決した話ですら、どんどん深刻化する。
USJは、この問題をプロジェクト・ファイナンスという手法により解決した。自治体、地権者、コンテンツ提供者、金融機関はそれぞれ自分の領分を設定し、予想されるリスクを分担した。プロジェクト・ファイナンスは、土地や親会社などの安定した返済資源に頼らないことから、いかに収入を安定させるかが事業の死命を制する。このため、一般的には、エネルギーや廃棄物処理など需要が確実に発生し、かつ、対価の支払者が少数の場合に用いられることが多い。一方、テーマパークの収入は多数の来場者からの収入が主であり、予め安定させることができない。USJでは、この集客リスクを株主である米国USI社が率先してとることによって解決した。容易に想像できるように、お客さんを呼び込む魅力を作れるのは、集客のノウハウを持ち実績を上げてきたUSI社だけである。自治体や金融機関がいかに頭をひねっても無理である。プロジェクト・ファイナンスでは、このように、もっともリスクを取るのにふさわしい主体がそのリスクをとるという基本的な考え方に立脚している。
USJは当初のアトラクションだけでも十二分に魅力があるが、継続的に集客を進めるには他のテーマ・パーク同様追加投資が必要である。この点に自信がないと、USI社としても集客リスクを取るには二の足を踏むはずである。自信のほどはいかがであろうか。そもそも、テーマ・パークのアトラクションは、コンテンツとテクニック(技法)から構成されている。例えば、ディズニーランドのスター・ツアーズは、スター・ウオーズというコンテンツとシミュレーターというテクニックから成り立っている。世界最高のコンテンツが、今や懐かしいとさえ思えるような技術レベルになったシミュレーターを、永遠の人気アトラクションに仕上げている。コンテンツがいかに重要であるかが分かる。
ユニバーサル・スタジオもまったく同様である。ジュラシック・パーク・ザ・ライドは、映画ジュラシック・パークとボートライド、ウオーター・ワールドは同名の映画とスタントショーを組み合わせたものである。このように、スタジオツアーは、人気映画(映画としては失敗でも構わない)というコンテンツと適切なテクニックを組み合わせてはじめて魅力的なテーマ・パークとなる。ハリウッドのメジャースタジオの雄であるUSI社の力が存分に発揮されていると言えよう。
米国USI社を訪問すると「グラディエーター」のポスターが目に付く。ユニバーサル・スタジオの次の大型アトラクションは果たして「グラディエーター」なのか。テクニックはバーチャルリアリティか、ライブアクションか、スリルライドか。夢はつきない。来場者にこんなイメージを膨らませてくれるUSJには、これからも長く楽しませてもらえそうである。
| [名称] | ユニバーサル・スタジオ・ジャパン |
| [所在地] | 大阪市此花区桜島2丁目 |
| [連絡先] | TEL.06-4790-7000(インフォメーションセンター) |
| [事業主体] | (株)ユー・エス・ジェイ |
| [オープン] | 2001年3月31日 |
| [敷地面積] | 54ha(パーク面積39ha、駐車場用地15ha) |
| [施設概要] | アトラクション18/飲食21/物販24 |
| [利用料金/ スタジオ・パス(個人)] |
大人5,500円 子供(4歳〜小学生)3,700円 シニア(65歳以上)4,800円 |
| [駐車場] | 4,000台 |
| [総事業費] | 約1,700億円 |
| [集客目標] | 800万人(初年度) |
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| ジュラシック・パーク ・ザ・ライド |
DNAの操作で甦った恐竜が飼育・管理されている「ジュラシック・パーク」のツアーボートにトラブルが発生。 |
| ウォーターワールド | ジェットスキーやボートを駆使したしたスタントショー。クライマックスには飛行機がプールに飛び込んでくる。 |
| ジョーズ | ひなびた漁村でのボートツアーに、全長10m、重さ3tの巨大なサメが襲いかかる。 |
| スヌーピー・サウンド・ ステージ・アドベンチャー |
「ピーナッツ」の仲間たちが映画製作を行うスタジオに製作助手として招かれ、一緒に遊ぶという設定 |
| スヌーピー・プレイランド | ゴムボートで全長90mのコースを滑り降りるウォータースライダー、さまざまな仕掛けが楽しめる迷路など。 |
| ザ・ワイルド・ワイルド ・ワイルド・ウエスト・ スタント・ショー |
コミカルなストーリーと演技、本格的なガンファイトとスタントを組み合わせたウエスタン・スタントショー。 |
| アニマル・アクターズ ・ステージ |
「ベンジー」「ラッシー」「ベートーベン」などの動物のスターが迷演技をみせる。 |
| ロッキン・ミッドナイト・ モンスター・フェスト |
ビートルジュース、ドラキュラ、狼男、モンスターとその花嫁、オペラ座の怪人によるロックンロールショー。 |
| テレビ・プロダクション ・ツアー |
パーク内に建設された放送スタジオの一部をゲストに公開。US社が開発したゲスト参加型ショーも体験。 |
| ユニバーサル・スタジオ・ モーション・ピクチャー ・マジック |
スティープン・スピルバーグ監督の解説で、ユニバーサル映画を例にハリウッドの映画技術を体験する。 |
| ステージ22 | 日本で公開される最新のユニバーサル映画で実際に使用された小道具や製作過程を紹介。 |
| E.T.アドベンチャー | 映画のクライマックスである自転車ごとの空中飛行からE.T.の故郷へ。 |
| アニメ・セレブレーション | メインキャラクターのウッディー・ウッドペッカーと俳優が交流し、アニメーションができるまでを紹介。 |
| モンスター・メーキャップ | 実際に映画で用いられる特殊メイクのトリックを種明かしするゲスト参加型ショー。 |
| ターミネーター2:3D | 大型スクリーンに映し出される3D映像と、ステージで俳優が演じるライブショーを組み合わせたアトラクション。 |
| バック・トゥ・ザ・ フューチャー・ザ・ライド |
盗まれたタイムマシン「デロリアン」を追って過去や未来を旅する。ドームシアターのシュミレーションライド。 |
| バックドラフト | ガス管が破裂、ドラム缶などから本物の炎が噴き出し、あたり一面を熱風が包む。 |
| ハリウッド・マジック | オリジナル・ナイトショー |
| パーキングエリア | ――― |