ケーススタディ
SKIPシティ

官民一体となって
新たな産業の創出と文化の蓄積を図る
さいたま新産業拠点

 

データ

 埼玉県は2月1日、「県内の中小企業の振興」「映像関連産業を核とした次世代産業の導入・集積」を基本コンセプトに川口市で整備を進めている新産業拠点「SKIPシティ」(約15ha)のうち、A街区(約5ha)の街開きを行なった。
 
 A街区はA1とA2の二つの街区で構成。A1街区には、中小企業やベンチャー企業の研究開発や事業化に至るまでの技術・経営両面を支援する「産業技術総合センター」(4月1日オープン)、参加型展示、商品テスト、消費生活相談、情報提供、交流・研修などを通じ、より安全で豊かな消費生活のための総合的な消費者サービスを提供する「生活科学センター(彩の国くらしプラザ)」、プラネタリウムや天文台、科学展示室などからなる参加体験型ミュージアム「川口市立科学館」(5月3日オープン)などの行政施設が集積する。
 
 プロムナードを挟んで隣接するA2街区には、本格的な映像制作体験が楽しめる映像ミュージアム、貴重な映像資料を公開する映像公開ライブラリー、先端的映像の制作拠点としてトップクリエイターの輩出を目指すインキュベート施設、35ミリ映写機に加えデジタルシネマプロジェクターを導入した映像ホール、新たな映像文化を担う人材育成を目指す早稲田大学川口芸術学校(4月開校)などを備えたSKIPシティの中核施設「彩の国ビジュアルプラザ」が立地。このほか、日本放送協会(NHK)が制作した映像・音声の記録を保存・活用する「NHKアーカイブス」、映像配信や電子商取引等のインターネットを利用した次世代情報ビジネスインフラの中核となる「CWCデータセンター」などが開設された。
 
 SKIPシティの整備にあたっては、民間企業のもつ経営能力や技術力を活用するとし、行政施設を整備する県や川口市とNHK、ビジュアルプラザの運営計画の提案競技により選定された民間事業者が共同で事業を推進した。選定された提案は民間企業21社によるコンソーシアム「チャレンジ21」によるもの。この構成企業のうち7社が出資し、2000年2月に設立された特別目的会社の(株)スキップシティが、A街区の施設群の維持管理、県の映像関連施設の運営、生活利便施設の所有・運営・維持管理等を行なっている。
 
 「チャレンジ21の考え方の基本は、人材の育成を通じて次世代型の映像産業の集積・促進を図ることです。産業コアをつくるために、人づくりを行なうというソフトを重視したプランになっています」(株)スキップシティ取締役 事業企画運営部長 瀧沢裕二氏)。
 
 このコンセプトに基づき、SKIPシティには、(1)映像文化に関心をもち、産業創出にあたってはその裾野となる人材の育成、(2)映像制作に興味をもち、制作協力や支援に携わろうとする人材=映像ボランティアの育成、(3)トップクリエイターの育成、という3つのステップを並行して進められる環境が整えられている。
 たとえば、映像の歴史や原理、映像制作のプロセスを"参加体験型の展示によって学ぶことができる映像学習ゾーンと、プロ仕様の機材を使って映像制作を体験できる映像制作ゾーンで構成される映像ミュージアムは、映像に対する関心を呼び起こすきっかけとなる場として位置づけられている。
 
 「映像ミュージアムは、当初から総合的な学習の時間で活用されるように計画しており、271クラスがここで実際に4月から授業を受け、クラスニュースや卒業アルバムを映像制作していきます。こうした事業を継続していくことで地域独自の文化の芽を確実に育てていきます。文化の蓄積がないところには産業など興りませんから」(瀧沢氏)。
 
 映像を制作するという文化が根づけば、映像ミュージアムでのインストラクションをはじめ、ビジュアルプラザでの各種事業をサポートする映像ボランティアの育成も進むだろう。そして目指すのは、「優れた作品を提供し世界中をマーケットとして志向する、スケールの大きい映像クリエイターの養成」(瀧沢氏)である。
 新たな産業の振興と文化の蓄積を並行して進める、官民一体となったプロジェクトの今後が注目される。
 

 


データ 2003年4月現在

[所在地] 埼玉県川口市上青木3
[連絡先] TEL.048-265-2500(彩の国ビジュアルプラザ)
[オープン] 2003年2月1日
[事業主体] 埼玉県、日本放送協会(NHK)、(株)スキップシティ、(株)クロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)、早稲田大学
[敷地面積] 約3万4,000m2(A地区)
[延床面積] 約8万5,000m2(A地区)
[施設内容] 地階:生鮮フロア
●A1地区
埼玉県産業技術総合センター(4月1日オープン)
埼玉県生活科学センター
○川口市立科学館(5月3日オープン)
●A2地区
彩の国ビジュアルプラザ(S造・地下1階地上9階建、延床面積約1万9,500m2)、映像公開ライブラリー、HDスタジオ、映像ホール、映像ミュージアム、インキュベートオフィス、映像制作支援室、早稲田大学川口芸術学校(4月開校)、商業施設
○NHKアーカイブス(S造・地下1階地上8階建、延床面積約1万1,200m2)
○CWCデータセンター(S造・地下1階地上9階建、延床面積約1万4,000m2)
 
映像ミュージアム
[入場料] 大人500(400)円、小中学生250(200)円
( )内は20名以上の団体料金
[会員券]
(1年間入場可)
大人2,000円、小中学生1,000円
[開館時間] 9:30〜17:00(県民制作支援ゾーンは18:00まで)
[休館日] 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月27日〜1月5日
 
NHKアーカイブス・
番組公開ライブラリー/映像公開ライブラリー
[入館料] 無料
[開館時間] 9:30〜17:30
[休館日] 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月27日〜1月3日
 
埼玉県生活科学センター・彩の国くらしプラザ(展示コーナー)
[利用料金] 無料
[利用時間] 9:30〜17:00
[休館日] 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月27日〜1月5日

 

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