ケーススタディ
IMCとは!?繁盛し続けるために必要なこと 
モノが売れない時代に改めて問い直す、IMCの意義
 
 IMC(Integrated Marketing Communication)とは何か。この言葉は当社の造語ではなく、1980年代に登場したれっきとした広告用語である。さらにいえば、もともとのMC(Marketing Communication)という用語自体は、すでに50年代には使われていたようである。従来のマスマーケティングではモノが売れない時代にあって、なぜ「融合型マーケティング・コミュニケーション」が重要なのか、従来のMCとはどう違うのか、を考えてみたい。
 

 

コミュニケーションは、ミックス(混合)からインテグレーション(融合)へ!
 
 従来のマスマーケティングの戦略では商品が売れなくなった80年代以降の米国で、考え出された広告の方法論がIMCである。バブル崩壊後の日本でも、同様な状況下で、ONE to ONE マーケティングや提案型営業などが注目されてきたが、これも実はIMCと無関係ではない。
 
 つまるところ、効果的なマーケティングを行なうためには、単なるマスメディアでの広告だけでなく、店舗や販売の手法をはじめとしたすべての対消費者コミュニケーションを全体で捉え、そこに相乗効果を生み出すような一貫したコンセプト・方針のもとで展開されるべきであるということである。そのことが広告主(クライアント)側にもようやく理解されはじめている。つい最近までマーケティング・コミュニケーション施策はかなりバラバラに立案・実施されてきたといっていいだろう(そんな企業はいまでも多いに違いない)。広報を担当するセクション(担当)と広告を担当するセクション、プロモーションを担当するセクションが異なったり、あるいは仲が悪かったりという理由で、それぞれが独自のコンセプトで動いている。そんなことでユーザーとの良好な関係を築くことが不可能なことは明白である。
 
 そこで登場したのがIMCの考え方である。IMCは、現在、欧米の広告・マーケティング界では主流を占めるマーケティング戦略手法である。そのコンセプトは、消費者の購買行動心理を基本に、5 つのマーケティングツール(広告、ダイレクトマーケティング、販売促進、PR、訪問販売)を「融合的」に活用し、マーケティング戦略の「数値目標を達成」することにある。従来のMC手法と異なるところは、各種の「数値目標」を設定することにより、広告活動が明確な目標をもつことにある。これによって、これまでのような経験や感覚のみに頼った広告制作を防ぎ、ターゲットに論理的に訴えかけられる販促行動が可能となる。
 
 IMC の戦略・手法は、ビッグプロジェクトから小規模な販売活動まで、どのようなものにも適用可能であることから、今後、必要不可欠なものとして幅広い分野で活用されていくだろう。
 
 
 
カレッタ汐留 CARETTA SHIODOME
 

(左)●ブランディングパワーの高い物販・飲食を集めたカレッタモール
(中)●汐留再開発の中核となる電通汐留本社。オフィス棟はクリスタルをイメージしたジャン・ヌーベルの作品
(右)●都営地下鉄大江戸線・汐留駅直結のカレッタプラザは、まさに“駅の上”。施設を象徴する「亀の噴水」
 
ジョン・A・ジャーディー氏のデザインによるキャニオンテラスの夕景
 
宣伝をテーマとして扱う、国内唯一のアドミュージアム東京

 
関連サイト : カレッタ汐留  
 
 


 
2002年度グッドデザイン賞審査会
GOOD DESIGN AWARAD 2002 PRESENTATAION
 

 
 
 
 
 
IMCとは、マインドを共有して役割をシェアし
共同事業を創造していくこと

 
青木 史郎氏/財団法人日本産業デザイン振興会 理事
Gマーク事業部長 兼 プロジェクト推進部長

 
−IMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)という言葉はかなり古くからある言葉だそうですが、このIMCについて、青木理事はどのような認識をおもちですか。
 
青木 私は、IMC とは事業開発だと思っています。
 一般の企業の場合、仕事には「請負い型事業」と「経営企画型事業」の2種類があると思いますが、私どもの場合は、「事業を共同して育てませんか」というスタンスになります。もともとGマーク事業というのは当時の通商産業省がスタートさせたものですが、私どもが何に困ったかというと、その頃のお役所というのは、実際に何かの問題が生じたときに「それはこちらの業務ではありません」とか「向こうで相談してみてください」というように、いわば“たらい回し”になってしまう現実があることです。もちろん民間で通用する話ではありません。
 
 そこで“事業開発”ということを考えたとき、私どもは、どのようなスタイルをつくり上げるかという点で、一種の民営化論を考えていきました。財団法人というのは、世の中に利益をもたらすために、(事業を)行なうわけですが、実際のところ、何が本当にいいことなのかは誰もわからないわけです。良かれ、と思って結果的に悪いことをやっている人も世の中にはたくさんいるのですから(笑)。とにかく私どもは、良かれと思ってやったことがきちんと評価される構造というものをつくらなければならなかった。そこで問題となるのが収益性です。
 
 私どもは、この事業を進めるにあたって――収益が出るような仕組みにはなっていますが――収益を前提とはしておりません。しかし、収益のルールで運営する以外、良かれと思ってやったことを社会的に評価していただく方法がみつからなかったのです。たとえばGマークについても、「この制度は必要ない」と思われるのであれば、応募しなければいいだけです。したがって、私どもが社会的に求められていない方向へいけば、参加者が減り、事業内容も必然的に悪くなります。その結果、財団が立ち行かなくなる、ということになれば非常にわかりやすいですからね。
 
 
 
 
 
2002年度グッドデザイン賞 審査会・表彰式
GOOD DESIGN AWARAD 2002 PRESENTATAION
 
−クライアントと協力業者という役割についていかがでしょうか。
 
青木 確かに、今年度の会場の設営という点だけをみれば、確かに私どもは発注元です。しかし、ひとつのものを共有して、共同で育てていこうとすれば、ある程度の期間をかけてお互い協力し合いながら、社会的に意義のあるものにしていこうという姿勢を前提とするべきです。
 
 単に展示会の提案をする、受けるという話ではなく、ひとつの目標に向かって役割をシェアできるかどうか、という点になってくると、皆さん、少し腰が引けるようです。これはある種の空手形のような性格のものかもしれませんから。
 
 しかしながら、もちろんマインドを共有するだけではだめで、しっかりと社会的に提案していける部分を併せもっていないとだめですね。そういう意味では、(業務受託ではなく)「請負型デザイン会社」という言い方をしてもいいと思いますが、私はそうした関係がIMCなのではないかと思いますね。いわば、"総合問題解決業"というスタンスですね。本来、「デザイン」とはそういうことなんです。単にカタチを提案することではない。これからは、受注ではなく、総合的な問題解決のために機能するというスタンスがますます重要になってくる。事業開発をシェアするというパートナーシップはその先に生まれるものです。
 
 いまの私どもの事業を、どういう形で発展させていけば社会的に有意義なものになっていくか、しかもビジネスの場として成立していくかが、これからの課題です。極端な言い方をすれば、ビジネスの側面はどこかに任せ、私どもは公共的側面に注力するというスタイルでもいいと思っています。
 
 その場合、当面は最低限の補償はできるでしょうし、うまく育てられることができればビジネスとして成功するかもしれません。そういう取組みができれば、これは両者が共同して行なう新しい事業ということができます。そこに、また別の企業が加わってくるかもしれない。それこそが共同事業なのではないでしょうか。新しいビジネスの可能性が見出せれば、いろいろな試行錯誤や実験、試みを積み上げていって、何年か先には実現できるでしょう。
 
関連サイト : GOOD DESIGN AWARD
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