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■ケーススタディ 大船駅ルミネウィング テーブルスパイス
顧客の視点に立った食品フロアのリニューアルで 大船駅に1992年に開業した駅ビル型商業施設「ルミネウィング」が、開業10周年を迎えた本年、食品売場の活性化を打ち出した初の本格的なリニューアルを実施。9月3日にオープンした。 もともと、ルミネウィングは、鎌倉市の駅前再開発事業とJR東日本の所有地活用策がジョイントした結果として誕生したもので、京浜急行電鉄(株)と(株)ルミネの2社が共同出資して設立された(株)ルミネウィングが運営にあたっていた。 しかし、計画時がバブル期だったこともあって、事業計画自体が右肩上がりの経済状況を想定して策定されていたことから、95年をピークに売上げが減少の一途を辿るにつれて、過大な設備投資と運営コストが経営を圧迫するに至った。 この対応策としてリストラやコスト削減の努力が試みられたものの、それら施策にも限界があり、抜本的な経営構造改革の必要に迫られていたのである。 そこで、市場環境の変化に合わせた全館の再構築に乗り出すことになったのだが、まずは、現状の売上げ、利益構造を把握するため、フロアごとの徹底した収支分析を行なった。その結果、とくに再構築の目玉として着目したのが、最も利益貢献度が低いと判断された地階フロア(当時ゲームセンター)と、逆に、最も高い売上効率を誇っていた2階の惣菜売場であった。いわば、弱みを強みに変え、強いところをより強くするというリニューアルの方向性が打ち出されたのである。
「はっきりしていたのは、生鮮食品の売場がないということです。開業当時は旧大店法の商調協のもと、地元商店街を保護する意味合いから、生鮮食品は扱わないとの取り決めがありましたので、当社としてもできなかったわけですが、以前からお客さまのご要望がもっとも多かったのが生鮮食品でした」((株)ルミネウィング 営業部 課長・大滝裕志氏、以下同)と、改善点は明確だった。大店法が改廃されたことも同社にとっては追い風となり、地元に対する説明会を開いて生鮮食品取り扱いのオーソライズを得たことで、地階を生鮮食品売場に業態変更し、2階については新規店舗の誘致を含めた全面的な見直しを行なう食品の活性化が一気に具体化されることになった。
これを受けて同社では、この地階と2階の活性化をメインとした中期経営計画「ルミネウィングリフレッシュ3ヵ年計画」を策定し、その最終年度にあたる今年度に向けてプロジェクトチームによるリニューアルの準備を着々と進めてきた。そこでポイントとなったのは、「駅ビルの食品売場というよりも、むしろデパ地下を意識し、明るさ、清潔感、活気、質感があって、買い回りストーリーがきちんと成立するような売場づくりを重視する」ことだったという。 したがって、売場環境面でもその具現化が目指されたとともに、テナントミックスの考え方としては、「商圏からいいますと、大船という立地は、横浜市と鎌倉市の両方に広がっています。前者はニューファミリー主体で、どちらかというと価格とボリュームでの訴求が求められますし、反対に鎌倉市では価格よりもクオリティや商品へのこだわりというニーズがあります」。つまり、商圏内に2極化した客層が存在しているわけであるが、「こうした特異な地域性をうまくMDに取り込んでいくことで、ニュータイプの食品売場をつくり上げることを試みた」という。 「近隣の商業施設を調査してみますと、クオリティやこだわりを追求している売場がほとんどありません。ですから、ひとつの狙いとして、そういうニッチなニーズにも応えられる売場づくりを私どもはすべきではないか。少なくとも価格訴求に追随すべきではない」とし、「また、これまで取り組んでこなかった“旬”を積極的に取り入れていくことが必要」と考え、最新の話題店や、顧客から要望の高い店舗を積極的に誘致するとともに、一方のニーズである価格とボリュームを求める顧客にも応えること、また、既存店と新規店との融合をどう図っていくかに腐心したという。 「クオリティアップすることで、これまで来られていたお客さまの敷居が高くなっては意味がありません。同じ食材でもお客さまによって求める要素が違いますから、それぞれのニーズに応えられる売場でなければならない」ことから、輸入食材や差別化商品を品揃えする店舗がある一方で、スーパーより安い価格の商品も店頭に並ぶ。 2極化した客層は、各々異なったニーズを持っており、一見、両立させるのは困難と思われるのだが、「生活者の立場に立つ」ことにより共通項を見出すことは十分可能であるというのが同社の見解だ。そして、生活者の声を反映した売場づくりをどう提案し、展開していくのか――これが、このリニューアルの最大のテーマであったといえるのではなかろうか。 結果的には、そこにしっかりと視点を据えたことが効を奏し、リニューアルオープン後は大幅な売上増という実績へとつながり、同社にとっては次なる改革へ向けての大きな布石となった。 新たに誕生した2フロアの食品売場は「テーブルスパイス」とネーミングされたが、そこには、料理にスパイスが欠かせないように、生活者にとってルミネウィングがなくてはならない存在でありたいという熱き思いが込められている。
データ 2002年12月現在
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