ケーススタディ

松本市時計博物館

和洋の貴重な古時計コレクションを
動いている状態で見ることのできる展示が魅力

 


 
 2002年9月1日にオープンした「松本市時計博物館」は、本田親蔵氏が生涯をかけて収集したという貴重な和洋の古時計コレクションを中心に、その後に市民からの寄贈を受けた時計も加えて新たに開設されたものである。同コレクションは1974年に松本市に寄贈され、それまでは松本市立博物館に収蔵・展示されていた。
 
 松本市には、「松本まるごと博物館構想」という、エコミュージアムの考え方に基づいた市全域を活動範囲とした整備構想がある。運営や活動の中心となる「中核施設」をコアに、研究機能を備えた「準中核施設」を配し、さらに自然環境や文化・産業遺産といった「資源」および付属施設としての「テーマ拠点施設」をネットワーク化することで地域文化の再認識と観光振興等に役立てようというものだが、かねてから専門博物館として設置が検討されてきた時計博物館は、「松本市立博物館」の付属施設であると同時に、同構想のなかでのテーマ拠点施設のひとつと位置づけられる。
 
 同館が立地しているのは、松本駅から松本城に至る散策ルートの途上で、松本市中央西土地区画整理事業の対象地でもあり、建物自体は、本町商店街振興組合および地元町会による本町ホールとの合築という形態をとっている。
 
 外壁に設置された巨大な振子型時計のモニュメントが目を引く同施設は、300点余の収蔵品のうち常時約110点を展示。1階の常設展示室では時計の進化をテーマに、日時計や火時計、中世の時計など時計資料 点とともに映像や写真を駆使して技術の進化を紹介。2階は「華麗なる古時計の世界」として和時計、西洋時計の各展示室を設けるとともに、時計と関係の深い蓄音機とSPレコードを展示する部屋もある。また3階の企画展示室、講座室は、さまざまな企画展やレコードコンサートなどに活用される。
 
 同館の大きな特徴のひとつは、「できるだけ動いている状態で展示」していること。そのため開館に向けて修理・修繕が行なわれてきたが、開館後も専門家に委託して、日常的なメンテナンスから故障時の修理までを行なっており、館内にはそのための時計工房も用意されている。  「時計は動いていることが最大の魅力です。16世紀、17世紀という古い時代の時計が目の前で動いていることに、来られた方は感動するわけですし、時計というのはその時代の人々の生活や新しい技術に取り組む先人たちの知恵と情熱を感じさせてくれます。そういう感動とロマンを少しでも感じて帰っていただくのが当館の価値だと思っています」(館長・山口富士郎氏)。
 
 デジタル全盛の現代にあって、ゆったりとした時を刻むメカニズムが癒しを感じさせてくれる空間である。
 
(左)●現代の時計を展示する一方、時や時代を感じられる映像や写真を多角的な視点で見せる「現代・未来の時」
(右)●2階の常設展示室「西洋時計の世界」。時計だけでなく、時計にちなんだ品々もコレクションに含まれる。壁の絵はザボロスキー「時計職人」。天井のシャンデリアにも実は時計が仕込まれている(19世紀フランスのシャンデリア時計)
 
(左)●日時計や砂時計を展示。その起こりや使い方などを1分半の映像で紹介する「古代の時」のコーナー・
(中)●「中世から近代の時」では、より身近な存在となってきた時計の歴史を展示
(右)●櫓時計から掛け時計、枕時計、日時計まで、さまざまな種類の時計が並ぶ「和時計の世界」
 
 
(左)●2階の3つの常設展示室をつなぐ「古時計ロード」には、グランドファーザークロック(長枠時計)や大形置時計を展示
(中)●「和時計の世界」への導入部として展示された台時計。江戸時代に使われていた不定時法について解説されている
(右)●蓄音機とSPレコードを展示した常設展示室。時間を決めて鑑賞体験ができる
 
(左)●1階のインフォメーションカウンターとミュージアムショップ。ショップでは同館のオリジナル商品も販売している
(右)●長さ5.6mの振子をもつ国内最大の振子時計が組み込まれた建物。下には、同館の開館時間を表示する時計がつくられている
 

データ 2002年12月現在

[所在地] 長野県松本市中央2-3-17
[連絡先] TEL.0263-36-0969
[オープン] 2002年9月1日
[事業主体] 松本市
[運営主体] (財)松本市教育文化振興財団
[敷地面積] 443.99m2(318.74m2)
( )内は時計博物館部分
[建築面積] 385.47m2
[延床面積] 1,495.64m2(1,037.74m2)
( )内は時計博物館部分
[構造・規模] RC造・4階
[施設内容] 常設展示室4室/企画展示室/時計工房/講座室/ミュージアムショップ/収蔵庫/カフェ(テナント)
[観覧料] 大人520(420)円
高校生310(260)円
小・中学生210(150)円
( )内は30名以上の団体料金
[開館時間] 9:00〜17:00
[休館日] 月曜日、年末年始


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