ケーススタディ
丸の内ビルディング

単なるビジネスセンターから脱皮し、
新たな街づくりを目指す丸の内のシンボルとして再生

データ

 三菱地所(株)がJR東京駅前に建設を進めてきた丸の内ビルディング(丸ビル)が、9月6日にオープンした。丸ビルは、大正12年に竣工して以来、長年にわたって日本のビジネスセンター丸の内の象徴的存在として親しまれてきたが、時代の変化のなかでわが国の産業地図が塗り変わるとともに、丸の内地区自体が将来に向けた新しいあり方を迫られていたという背景に加え、ビルの老朽化による安全性確保の観点からも検討された結果、新生「丸ビル」として再生が図られることになったもの。
 
 すでに周知のように、汐留や品川地区とともに丸の内地区でも再開発計画が進み、さまざまな開発プロジェクトが組まれている。この丸の内の“新しい街づくり”については、三菱地所(株)をはじめ東京都、JR東日本、大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会による懇談会により議論が重ねられてきたが、そうしたなかで三菱地所(株)も、丸ビルを第一弾として、永楽ビル・日本工業倶楽部会館、旧国鉄本社跡地建替えなど、同地区の既存ビル6棟の建替えを決定している。
 
 今回の丸ビル開業は、そのスターティング・プロジェクトとなるものであると同時に、丸の内の街づくりコンセプトが凝縮された存在でもある。
 同ビルは、地下4階・地上37階建てで、オフィス機能に加え、商業(物販・飲食)とインタラクション(交流)という3つの機能を複合している。 
 このうち商業ゾーンは地下1階〜地上4階に物販を、また5、6階および35、36の高層階に飲食の店舗をそれぞれ配し、物販100店、飲食40店の計140店で構成されている。現在、丸の内地区には4100の事業所があり、約24万人の就業者がいるが、こうしたオフィスワーカーだけでなく、広域からの幅広い利用者の来街を促すことで新たな賑わいの創出を目指す街づくりを具現化するため、“大人”のマインドをもつ都市生活者のニーズを取り込むテナント構成となっている。物販店は21時、飲食店も23時まで営業するなど、いわばオンタイムにとどまらないオフタイムでの「丸の内スタイル」を提案していこうというものだ。
 
 そのため、出店店舗においても、他のエリアにはない、ここだけの業態出店がなされていることが特色のひとつであり、また、地域全体で商業集積を進めることで回遊性と誘客を実現するとの意図から、ビル単独ではなく仲通りをひとつのモールとして捉え、そことの有機的な連携を図った計画となっていることも特筆できる。すでに有楽町側の地区にはブランドショップが軒を並べているが、これらをブリッジとしながら有楽町・銀座エリアとの回遊性を図ると同時に、大手町側へかけての地区にも、カジュアルに楽しめる店舗を集積したエンターテインメントエリアの創出が目指されている。
 
 こうした“街づくり”ビジョンが反映されたのが丸ビルであり、エリア全体のなかで丸ビルの果たすべき役割も位置づけられている。  その象徴ともいえるのが、仲通り側1階に設けられた6層吹抜けのガラス張り空間「MARUCUBE(マルキューブ)」で、ここには同社直営の「丸の内カフェease」が出店。カフェとしてくつろげるだけでなく、さまざまな交流・イベントが行なえるスペースとしても機能し、丸の内発の多彩な情報発信拠点ともなっていく。
 
 一方、7、8階のインタラクティブゾーンには、多目的ホールやマルチメディア対応の会議室等が設けられ、オフィスゾーンには企業のほかハーバード大学をはじめとするアカデミー機関も進出していることから、ビジネス・学術的な交流を促進する役割を果たしていく。ここから将来のニュービジネスが生み出されていくことも期待されているなど、丸ビルに、未来の丸の内を先取りする先進的な姿を見ることができる。
 


 
渡辺 利之氏/三菱地所(株) ビル事業本部 SC事業部 副長
 
エリアマネジメントの視点から
丸の内の新しい魅力の創造に取り組んでいく

 

 飲食や物販などの商業施設、交流施設、情報発信といったさまざまな活性化施設を積極的に取り込み業務機能と融合させた新しい街づくりをしていこうというのが丸の内エリア全体の目指すところですから、そのランドマークともいうべき丸ビルにおいては、将来の丸の内の姿が凝縮されたものにしていこうとの考え方が基本にありました。
 
 ただ、丸ビル単体で完結するのではなく、たとえば商業ゾーンについては、仲通りをひとつのオープンモールと位置づけて、そこにいろいろな店舗を誘致することで地区の活性化と回遊性をつくりだそうと、戦略的に取り組んできました。ですから、丸ビルの商業施設と、周辺の商業施設によって相乗効果的に街の賑わい感を創出していこうと計画したのです。これによって、東京駅側のエリア(丸の内2丁目)には、丸ビルの5600坪に加えてトータル7000坪の商業集積が達成でき、広域から来街者を誘致できるだけのボリュームが確保できたのではないかと思います。
 
 すでに仲通りの有楽町エリアにはエルメスさんをはじめとするブランドショップがご出店いただいていましたので、こちらをグレード感のあるブランドを中心として構成にし、2丁目エリアを気軽に利用できるカジュアルライクな業種展開をし、新しい「丸の内スタイル」を提案していくことで、エリア全体で幅広いモチベーションを喚起していくことを目指しています。
 
 また、丸ビルに出店していただいた店舗さんには、ここにしかない“オンリー・ワン”の店づくりをしていただきたいとお願いしました。これまで丸の内はビジネスとそのサポート機能にとどまってきましたが、これからは土・日などのオフタイム利用、ファミリーも含めた幅広い利用者で賑わう街にしていきたいと考えていますので、わざわざ足を運んでいただける魅力づくりは不可欠だからです。
 
 今回の丸ビルのオープンは、丸の内のひとつの“街開き”と考えていますし、当社としても、これからは不動産デベロッパーから脱却して、エリアマネジメントの観点から商業デベロッパーとしての役割を果たし、この街の活性化に寄与していくつもりです。
 

(2002年9月)

データ 2002年9月現在

[所在地] 東京都千代田区丸の内2-4-1
[連絡先] TEL.03-3287-5200(広報部)
[オープン] 2002年9月6日
[事業主体] 三菱地所(株)
[設計・監理] (株)三菱地所設計
[敷地面積] 約10,000m2
[延床面積] 160,000m2
[構造・規模] SRD造+RG造・地下4階地上37階・塔屋2階
[施設構成] 地下1〜4階:物販店舗100店
5〜6階/35〜36階:飲食店舗40店
7〜8階:インタラクティブゾーン(多目的ホール、会議室、プレゼンテーションルームなど)
9〜34階:オフィスゾーン
[営業時間
(商業ゾーン)
物販:11:00〜21:00
飲食:11:00〜23:00
定休日なし

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