|
■ケーススタディ 関山中尊寺 新宝物館 讃衡蔵
国宝・重文3000点以上を保存・公開 金色堂によっても名高い中尊寺には、奥州藤原氏の栄華をいまに伝える3000点以上の国宝、重要文化財があり、その保存・管理の重要性から昭和30年に戦後初の国庫補助事業として建設されたのが讃衡蔵だ。同寺所蔵の国宝、重文のほとんどがこの讃衡蔵に収蔵されてきたが、ここで紹介しているのは、耐用性の問題から新たに、開山1150年の節目の年にあたる平成12年に開館し、建て替えられた新讃衡蔵である。 境内自体が特別史跡でもあることから、極力地形を変えないよう配慮し、かつ隣に位置する金色堂覆堂との調和を図りつつ、周囲の木立に溶け込むような建築が目指されたという。結果、地形の高低差を利用して、入口のある2階を、丈六仏を安置する内陣、展示室、企画展示室といった一般公開のフロアとし、1階に収蔵庫、書庫、学芸室などを配置する構造となっている。 また内部は、温度や湿度などの環境をできるだけ自然な状態に保ちたいということから木材を多用し、機械空調ではできない微妙な調整を木の力に委ねているところが特徴である。 同館は、文化財の保存とともに博物館の機能を担っていくことが目的ではあるが、同時にもうひとつ大切なことは、あくまでも寺院における仏堂としての機能が維持されていることだ。もともと本堂に安置されていた阿弥陀如来座像や薬師如来座像を別の場所に移すことは、保存の観点からは大切であるものの、信仰としてみれば、せっかく参詣に来られたのに本堂にご本尊がないというのは問題かもしれない。そこで、「たしかに讃衡蔵はミュージアムですが、仏堂としての機能をもっていることが重要だと思っています。諸尊仏を安置する仏堂であるということを基調としていますから、内陣では実際に法要も行なっています」(中尊寺管財部・北嶺執事)という。 テンプルミュージアムを考えるとき、この相反する課題にどのような回答を出していくかで、そのあり方も大きく変わりそうである。
データ 2002年6月現在
このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。 Copyright 2002 TANSEISHA.co.,ltd. All right reserved. |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||