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■ケーススタディ 神宮徴古館・農業館 神宮美術館
伊勢神宮に伝承された文化と奉納された 年間におよそ500万人が参拝に訪れる伊勢神宮には、あまり知られていないが、3つのミュージアムがあり、調査研究にも多くの実績がある。神宮徴古館・農業館、神宮美術館で、いずれも神宮が公益事業として運営するものである。今回の特集で取り上げたミュージアムでは、最も古く歴史のあるものだ。
名称からは内容が想像しにくいかもしれないが、神宮に関する展示を中心とした総合歴史博物館、といえばわかりやすいだろう。神宮では20年に一度式年遷宮が行なわれ、御正殿をはじめ社殿が建て替えられ、調度品、神宝類もすべて古式のまま新調されて以前のものは撒下される。徴古館にはその撒下された品々をはじめ、古墳時代の出土品や古文書などの考古・歴史資料、皇室や豊臣・徳川家からの拝領品、昭和28年の式年遷宮の際に芸術家たちから奉納された美術品などが収蔵・展示されている。総資料数は約8000点あるという。 「古代の技術を伝承し“現代の正倉院”ともいえるご神宝類は他では絶対に見ることができませんから、ぜひ多くの方にご覧になっていただきたいですね」(神宮司廳文化部 学芸員 深田一郎氏)というように、貴重な資料が集積され、受け継がれてきた技術を目の当たりにできるのも意義深い。
同じ片山東熊氏の手になり、平等院鳳凰堂をモデルにしたという木造建築の建物が農業館である。明治24年に外宮に創設され、同38年に現在の美術館の地に移転増築。さらに美術館創設のために現在地に移転された。移転の際に規模は縮小されたが、徴古館とともに国の登録有形文化財に指定されている。 ここは“自然の産物がいかに役立つか”をテーマとした「日本最初の産業博物館」。皇室御下賜品や御料地関係の資料や、当時の農業が農・林・水産のすべてを包括したものであったことから農業資料、林業・水産業・繊維業の資料が収蔵・展示されているほか、日本の博覧会や博物館の生みの親といわれ殖産興業政策推進の中心人物でもあった田中芳男氏のコレクションも収められている。 両館とも、より充実した、わかりやすい展示にするため、今年度中にリニューアルが予定されている。
3館のなかで最も新しく、平成5年の第61回式年遷宮を記念して開館した神宮美術館は、文化勲章受章者・文化功労者・日本芸術院会員・重要無形文化財保持者から遷宮を奉賛して神宮に奉納された作品を収蔵・展示する施設として創設された。創設の趣旨に沿って毎年次々に美術品が奉納されており、錚々たる顔ぶれの作品に出会うことができる。建物の設計自体も日本芸術院会員の大江宏氏が担当した、内容にふさわしい現代建築である。
神宮の歴史とともに、創設の趣旨が継承されるなら将来は、わが国美術・工芸の足跡を刻む美の殿堂となるに違いない。 データ 2002年6月現在
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