ケーススタディ

5人の職人が競う "ラーメンの決闘場"  
湘南ラー戦
−ムジャキフーズの戦略

 修業を重ねた5人のラーメン職人が味を競い合う「湘南ラー戦」が2005年7月16日、神奈川県茅ヶ崎市の複合商業施設「茅ヶ崎サティ」の2階レストラン街にオープンした。

(左)●「茅ヶ崎サティ」の全館リニューアルに伴い、ムジャキフードパーク第3弾として誕生
(右)●5人のラーメン職人が春夏秋冬の年4回で技を競い合う"ラーメン決闘場"
 

  湘南ラー戦には、「空」「海」「山」「風」「火」の5つのブースが設けられ、"板長"と呼ばれる5人の職人が、他にないオリジナルのレシピによるラーメンを提供。年4回行われる利用客による「人気投票」により5人の職人の順位を決定し、1年を通じて1位の座に君臨した職人には、賞金と自店を与えるという栄誉が与えられる。

金魚提灯やお面がディスプレイされた店内はお祭りムード満点。活気ある声が飛び交う

 
(左)●「海」は、まろやかでクセのないとんこつスープに自信作の香味油を加え香り豊かに仕上げた「コク塩とんこつらーめん」
(中)●「空」は、鮪節をベースに旨味と香りを引き出す『鮪 中華そば』
(右)●「風」は、2種類のスープを組み合わせてコクと香味豊かに仕上げた「淡口醤油らーめん」

(左)●「山」は、ゲンコツ、背コツ、鶏ガラと数種の野菜を強火で煮込み、コクと風味を最大限に引き出したスープに香り鶏油をプラスした「とんこつ醤油らーめん」
(右)●「火」は、ゲンコツ、鶏ガラ、昆布、野菜を強火で煮込み、バランスのとれたコクのある「赤味噌らーめん」

 同施設を展開する(株)ムジャキフーズは、"店主の育成と再生を支援する総合外食企業"として、独立を希望する社員を「個人事業主」に育成し、"自分の店をもつ"という夢を実現させる「トラスト方式」と呼ばれる独自の店舗運営システムを導入していることで知られている。
"自分の店"をもつためには、同社のいずれかの店舗で調理経験や仕事の流れを学んだ後、月1回大将(店長職)を集めて開かれる社内会議の「大将選挙」に立候補して当選を目指す。
「大将」となった人は、ムジャキフーズを退職し、個人事業主として同社と店舗運営の受託契約を結ぶ。屋号や店装をはじめ、メニュー、レシピなど、店舗に関わることのすべては「大将」に任せられ、出店に際しての費用もすべて同社が負担する。
 湘南ラー戦は、埼玉・大宮の百貨店「大宮そごう」に03年12月にオープンした「ラー戦場」、千葉・船橋の複合商業施設「船橋ビビットスクエア」に05年12月オープンの「船橋情熱ラーメン隊」に続く"ムジャキフードパーク"の3号施設として開設されたもので、ムジャキフードパークについて同社では「大将になるための勉強をする社内の学校」(鈴木靖人取締役本部長CCO)と位置づけている。

(左)●茅ヶ崎サティは、JR東海道線茅ヶ崎駅から徒歩6分の国道1号線沿いに立地
(右)●ムジャキフードパークの第1弾となった「ラー戦場」

 

(株)ムジャキフーズ
取締役本部長COO 鈴木 靖人

さまざまな人たちに入社してもらい、
彼らが活躍できる場を作っていくことで、
展開の輪を広げていきたい

鈴木氏

 ムジャキフーズの「大将選挙」は、ポイント制とかではなく、○×(マルバツ)式で行っています。「大将」になる人を、そうした○×式の選挙制で決定している理由は、周りの仲間から○をもらえない人は、仮に自分の店を出したとしても、お客様からも○をもらうことはできないと考えているからなのです。
 お客様が、初めての店について「良い店」か「悪い店」かの判断をするのは、やはりイメージの部分が最も大きいと思います。大将選挙は月に一度行っていますが、公示は1か月前にしますので、大将候補者は投票までの1か月間、自分の仕事ぶりをアピールし、投票権を持っている人は、立候補者のさまざまな情報を仕入れて判断するのです。
そうした候補者のことを知る周囲の人が×をつけるようであれば、その人のことをまったく知らないお客様が店に来たときに○をつけるわけがありません。

ムジャキフーズはラーメン・中華からスタート(写真は無邪気自由ヶ丘2号店)
 お客様から○をもらえないということは、結局はその店は繁盛しないということですから、その人に店を任せるわけにはいきません。
 ですから選挙は非常にシビアで、年齢や勤続年数、経験や実績、性別などは一切関係がありません。いま大将で最も若いのは22歳ですし、入社して2か月で当選している者もいます。逆に、最も年齢が高いのは63歳ですが、63歳でも体力的にまったく問題ありません。
 大将選挙は一度落ちても何度でもチャレンジができますし、逆に当選して個人事業主になったものの業績が悪い、あるいは力不足でこのまま店を続けるのは難しいということで、契約が解除になるケースもあります。でも、契約を解除したから、もうムジャキフーズとはお別れというのではなく、ムジャキフーズの社員に戻って勉強しなおすということもできますし、社員に戻って一生懸命に努力して力をつけて、もう一度大将選挙に立候補することも可能です。
「育成と再生」と言っていますが、人間だから山あり谷ありで、いつも良いときばかりではなく、良いときもあれば駄目なときもある。でも駄目になったから終わりではなく、そこから這い上がれるなら、またチャレンジできるという考えで、そういう意味ではチャンスは何度でも掴めると思います。
 ムジャキフーズというとラーメンと中華というイメージが強いですが、現在では寿司、洋食、居酒屋なども展開していますし、イタリアンやカジュアルフレンチなどのお店の出店も予定するなど、総合外食企業として業態を拡大しています。
 ラーメンと中華以外のジャンルを展開するようになった一つのきっかけは、恵比寿の寿司店「伊佐野」の大将を務める佐野拳利の入社ですね。寿司店で 年修行してきた人間で、まだ中華とラーメンの店しか展開していないけど、ムジャキフーズのトラスト方式を利用すれば自分がやりたい店がもてるのではないかと判断してムジャキフーズに入ってきた。その彼が大将選挙で当選し、伊佐野の大将になったことが一つの形となって、その後の洋食や居酒屋、フレンチにつながっていったのです。
 これからも、さまざまな人たちに入社してもらい、その人たちを育て、彼らが活躍できる場を作っていくことで、ムジャキフーズの展開の輪を広げていきたいと思います。
 

昨年11月の「鮨 伊佐野」のオープンがムジャキフーズの新業態展開の先駆けとなった

ムジャキフーズ本社が入る恵比寿ガーデンプレイスから徒歩約5分に、今年5月29日オープンした「俺のハンバーグ 山本」

居酒屋業態の「おばんざい家 らっきょう」も、今年6月1日オープン
 
関連サイト:
(株)ムジャキフーズ
 

データ 
[所在地] 神奈川県茅ヶ崎市茅ヶ崎2-7-71 茅ヶ崎サティ2階
[オープン] 2005年7月16日
[店舗面積] 363.13m2
[施設内容] ラーメン店5ブース
[営業時間] 11:00〜22:00(ラストオーダー 21:30)
[定休日] 茅ヶ崎サティに準ずる
 

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