■ケーススタディ 特集
(株)丹青モールマネジメント(TMM)は、丹青社が高い実績をもつショッピングセンターの商業コンサルやテナントリーシングを通じて蓄積した商業施設に関する豊富なノウハウや、リテール企業とのネットワークを活用して、商業施設の運営管理を行う商業PMの専門企業として2002年8月に発足した。業務フィールドは、デューデリジェンスからテナントリーシング、オペレーション、ファシリティマネジメントまで、商業施設の運営管理に関する業務の全般に及び、商業施設のオーナーに代わって資産の最大価値を実現するトータルなマネジメントを行っている。 年4月から運営管理にあたっている「日生中央サピエ」を第一号案件にし、これまでさまざまなタイプの商業施設で運営管理を手がけており、集客力の澤田上に手腕を発揮している。また、このごろ、大手商業資本からの委託物件が増えつつあるという。
いまも大人気のモールSCの創業社長はこう見る (株)ウエルウエスト 代表取締役 "わが街のSC"として 小売業に占めるSCの割合は年々増加していて、現在では小売業全体の20%を超えるようになっています。ただ、ひと口にSCといっても、その施設タイプは幅広いので一括りにして言うことはできませんが、開発・運営とも、概してバブル期の発想の延長線上にあるものが未だに多いように感じます。つまり、マニュアル型というか、均一化というか、北海道であろうが九州であろうが同じような建物で、テナントもナショナルチェーンの横並びで特色がないのです。言い換えれば、マス・マーケティングからワン・ツー・ワン・マーケティングへの転換ができていないのです。 また多くのSCは、開発と運営が分断しているため、開発時には「地域共生」や「自然とのふれあい」といったキャッチフレーズが踊りますが、いざ開業してみると、そうした開発時のコンセプトについて運営面でどのように実現していくのかということが、まったく決まっていないということも少なくありません。これからのSCは、開発から運営までのトータルなコンセプトを設定し、独自の特色を出していかないと消費者から支持を得ていくことは難しいと思います。そしてSC間の競争がますます激しくなっていき、商圏はますます小さくなっています。このような状況から、SCの特色というのは何かといいますと、私は"地域特性"だと考えています。 これまでのSC経営は、デベロッパーが土地を手配し、建物を建て、さらに運営までのすべてを自らが行うというスタイルでした。それが特にREIT(不動産投資信託)の出現で、SCの所有と経営が完全に分離されるようになり、そういうことを背景に商業PM企業へのニーズも高まってきています。ただ、当然のことながらPM会社には投資効率というものが求められます。経営戦略というものには、長期戦略、中期戦略、短期戦略がそれぞれあるべきですが、REITは資産運用の世界であり、短期的収益が重視されがちになります。しかし、SCの経営というのは「長く地域に愛される施設づくり」が最も肝心で、販促プロモーションにおいても、「その日の売上げを上げる」ような販促イベントから、地域にネットワークを構築して施設のファンづくりを推進していくような長期的な仕掛けまでをミックスして考えていかなければなりません。 不動産と商業という観点で言うと、オフィスビルや賃貸住宅などの不動産賃貸業というのはスペース機能であり、駅から何分とか、空調が完備しているといった立地条件、設備条件で賃料が決まってきます。しかし、SCはトータルで見た集客力が資産価値、不動産価値です。 TVドラマでも、視聴者の生活の2歩も3歩も先を進んだ高いレベルの設定にしてしまったらヒットはせず、1歩先か半歩先の手を伸ばせば届くのではないかと思える程度の身近であこがれるレベルが受ける。逆に同じレベルだと「何あれ」というようになってしまうそうですが、SCも、常に地域の顧客層に1歩先か半歩先を進んだものを提案していくことが集客力を澤田上させ、さらに提案したレベルまでお客様が到達したら、その1歩先、半歩先を提案していくことで集客力を維持していくことができるのです。 チラシなどの安売り広告などは「その日の売上げ」を上げるためには効果があります。しかし"安売り"で来店するお客は、別の日に他の店が安ければその店に買いに行きますので、来店したからといってファンになったわけではありません。これからの商業施設は価格競争ではなく"価値競争"でなければ生き残ってはいけないでしょう。 そうした意味からもSCのPMはオフィスビルなどのPMと比べると遥かに手間がかかります。商業PMの分野には、不動産業をはじめ、商業コンサルティングやビルメンテナンス、さらにはSCを運営している会社が他のSCの運営管理を請け負うなど、さまざまなフィールドから参入していますが、SCのPMには、小売業と不動産賃貸業をうまくドッキングさせたノウハウが必要です。 わが国最初の商業PM専門企業である丹青モールマネジメントには、お客様の視点に立ったファンづくりを行い、"わが街のSC"として地域からの信頼を獲得しうるSCの運営を期待しています。
トップインタビュー (株)丹青モールマネジメント
代表取締役 (株)丹青社 tansei.net編集長 柳原 敏幸 商業PMのトップ企業として ―商業施設のPMを専門に行う企業として丹青モールマネジメント(以下、TMM)が設立された経緯からお聞かせ願います。 澤田 丹青社は長年にわたって商業施設の空間プロデュースを手がけてきました。そうした関係で、商業施設のストアマーチャンダイジングやテナントリーシングのお手伝いをさせていただくことも少なくありませんでした。そうしたなか、証券化など商業施設が流動化され「資本と経営の分離」が進むとともに、商業施設のプロパティマネジメント(PM)に対するニーズが近年高まってきました。また、それまで自社店舗を核に専門店モールを配す複合商業施設を展開をしてきた大手小売企業が、デベロッパー業務をアウトソーシングする「リテイルとデベロッパーの分離」も出てきました。こうした流れを大きなビジネスのチャンスと捉え、内装工事業のサービス的業務としてではなく、プロフェッショナルなレベルで商業施設のPMに正面から取り組もうと考えたのです。 ―一般的な不動産のPMと商業施設のPMとの違いというのは、どういう点でしょうか。 澤田 PMをひと言で言うと、投資家に代わってビルを管理運営し、収益をマネジメントするということですが、収益をマネジメントするといってもオフィスや住宅なら固定賃料ですので収益も安定的で、空室率をゼロに近づけることが最大の主眼になります。 ―商業施設のPMには、それだけ独自の能力が必要ということですね。ショップを直接運営するリテイル業務を行っているのも、そうした観点からですか。 澤田 いま申し上げたとおり、TMMはリテイルの円を作って、そこに金融と不動産の円の重なりあう部分を重ねていくというのが基本的な考え方ですから、社内にリテイルという部分がなければならない。TMMは、人材もほとんどがリテイル出身者ですが、リテイルの世界、特にファッションの世界は商品もそれを提供する店舗もめまぐるしく変化しており、現業を半年離れていたら業界のことがわからなくなっているというのが当たり前の世界です。ですから、自らリテイルを行うことにより、事業のコアにリテイルのカルチャーと人材の育成を図ることで、研ぎ澄まされたリテイルの感覚が生き続けていくと考えたからです。 ―澤田社長は以前から「これからは文化施設と商業施設の垣根は低くなる」とおっしゃられていますが、TMMでは山形県酒田市の築百余年の農業倉庫である「山居倉庫」を活用した酒田市の観光物産館「酒田夢の倶楽」のコンサルティングを手がけられましたね。
―今後、TMMをどのような会社にしていきたいと考えていますか。 澤田 現在でも商業施設専門のPM会社としては受託件数でトップだと思いますが、これからは「TMMに商業施設の運営を任せれば収益が上がる」というブランド力を付け、TMMがマネジメントする商業施設の格付けが上がるようにしていきたいですね。名実ともに商業施設専門のPM会社としてナンバーワンにしていきたいと考えています。
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