特集 フードテーマパークの現状

 数年前に新たに現われた「フードテーマパーク」という業態がいま、 ショッピングセンターやアミューズメントビルなどをはじめとする複合施設の集客力を格段にアップさせる"最強の集客装置" として注目を集めている。
 フードテーマパークという業態については、その理解がやや曖昧に受け止められているところもあるが、 "統一テーマ(物語)"のもとに、全国各地から選りすぐりの「食(フード)」の店舗を一堂に集結し、 これらをアトラクションと位置づけたうえで店舗編成やメニュー構成、環境演出、 さらには運営演出に至るまでを、すべてテーマパークと同様の手法により企画設計し運営するという新形態のエンターテインメント施設がフードテーマパークであり、 "特定のモチーフに基づく内装演出"は施されているものの、エンターテインメント演出などに工夫がなく、 個店の魅力に依拠するウエイトが高い"特定メニュー特化型レストラン街"というべき「フードコンプレックス」とは 一線を画す。
 日本には現在、主なフードテーマパークは20施設ほどあるが、 (株)ナムコの企画設計集団「チームナンジャ」は、そのうち16施設を手がけている。 ここ半年を見ても「札幌ら〜めん共和国」(2004年10月1日)、「桑名らーめん街道」(11月26日)、 「神戸スイーツハーバー」(12月3日)、「東京パン屋ストリート」(05年2月24日)、 「名古屋麺屋横丁」(2月25日)と、チームナンジャがプロデュースしたフードテーマパークが5施設オープンしている。 そしてチームナンジャがプロデュース等を務めたフードテーマパークは、 そのいずれもが当初予想を遥かに上回る実績を残すという"全戦全勝"の勢いを続けており、 どの施設においても年間100万人を超える集客力を発揮している。


インタビュー

池澤氏 (株)ナムコ
チームナンジャ ディビジョン リーダー
池澤 守

"食"以外のジャンルでも、
テーマパークの手法を活用した
施設に取り組んでいきたい

 

―2001年1月にオープンした「横濱カレーミュージアム」がチームナンジャが手がけた最初のフードテーマパーク(FTP)ですが、どのような経緯で取り組まれることになったのでしょうか。

ナムコ・チームナンジャのFTP事業の原点・横濱カレーミュージアム池澤 横濱カレーミュージアムのときは、チームナンジャとしてFTPの事業を始めようとして取り組んだわけではありませんでした。当社にとって重要な取引先である(株)マタハリーさんが、横浜・伊勢佐木町にフラッグシップ店舗となるアミューズメントビルを開設するということで、率直なアドバイスとして、上層階に人を引き上げるためには、年間100万人を超える集客力をもつ集客装置を最上階にもってきて、シャワー効果を発揮させる必要があると申し上げました。ちょうど「清水すしミュージアム」がオープンし、さらに新横浜ラーメン博物館も継続的に集客しているという実績もあり、"食の集客力"に注目しまして、入園無料の"食のテーマパーク"をデザインすることを提案し、お手伝いすることになりました。
 カレーミュージアムについては、飲食という異業種の世界にテーマパークのノウハウを融合させた集客装置と考えていたのですが、ふたを開けてみるとお客様は、まさにテーマパークとして利用されており、「安く」て、「本物」で、「楽しい」という"安・本・楽"という世の流れがレジャーの世界に大きく対応しはじめたことを実感しました。そこで、エンターテインメントの本業として、"食"を位置づけて本格的に展開していこうと考えたのです。

―チームナンジャが手がけるフードテーマパークは「名古屋麺屋横丁」で 施設になりましたが、これまでの展開をどう評価されていますか。

池澤 FTPをプロデュースしていく場合に、非常に難しいのは、FTPというビジネスモデルに当てはめれば、なんでもうまくいくわけではないということです。FTPであるためには、そこでなければ提供できない新しい魅力が創出できなければFTPになっていけない。特定メニューを安易にまとめたような施設はたいてい失敗しています。今年は、そうした施設の閉鎖が相次いでいくと思います。チームナンジャは、常にそこでのオンリーワンをどう提案するかということをやってきたから、全戦全勝でやってこれたんですね。

―全戦全勝ということですが、既存施設の課題をあえて挙げるとしたらどういう点でしょうか。

池澤 陳腐化との戦いといいますか、常に飽きられないための努力が最大の課題ですね。通常のテーマパークと同様に、FTPもオープンと同時に腐りはじめます。その意味では生鮮食品と同じです。生鮮食品であれば見た目にも明らかなので、腐ったものを売ることはないわけですが、エンターテインメント施設というのは、物理的に腐っていくのではなく、お客様のマインドが腐らせるというか、飽きていくわけで、それがハードとして見ると、まだピカピカなので、オペレーションしている側は常々錯覚に陥っていくわけです。いかにオープン当初の感動を維持していくかは、いかに日々、サプライズを提供し続けていくかということにつきます。

―その鮮度維持をチームナンジャはやり続けているわけですが、現在の戦力で、より拡充していきたい分野はございますか。

池澤 より一層、応用力と専門性を高めていかなければならないということですね。つまり、餃子なら餃子、スイーツならスイーツに精通し、餃子文化、スイーツ文化を語れるような力を身につける必要がありますが、すでにそういう人間が育ってきています。しかし、だからといって食通化することがFTPの目的ではありません。FTPは、食通が集まる通な店ではなく、あくまでも大衆娯楽施設であり、一般の方が美味しさや感動を体験できるようなポピュラリティが必要です。ですから、専門性と大衆性をうまく併せ持たなければなりません。

―FTPの今後とチームナンジャの展開については、どのようにお考えですか。

池澤 まだFTPが及んでいない分野でのトライアルということが今後の課題となってきます。これまで主食系・副食系・デザート系と展開してきましたが、そういった点では「盛り場系」のFTPをやってみたいと思います。また従来のFTPは商業施設などの集客装置であり、派生効果として結果的に地域貢献してきましたが、今後はさらに地域活性化のための集客装置としてのFTPが注目されていくと思います。その一方で、集客装置ではなく集金装置として、FTP自体が安定的に収益を計算できる新しい"フードエンターテインメント"のモデルが路面店中心に登場してくると思います。
 さらにテーマパークという発想を、さまざまな分野に導入することで、新しい感動を生み出せる時代が来ていると考えますので、"食"以外のジャンルでも、テーマパークの手法を応用した施設にも取り組んでいきたいと考えております。


いけざわまもる
1955年千葉県千葉市生まれ。79年、(株)ナムコ入社。90年、大阪・国際花と緑の博覧会で参加体験型の「ハイパーエンターテインメント構想」を提唱。以来、92年に都市型テーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ」(東京・二子玉川)、96年に「ナムコ・ナンジャタウン」(東京・池袋)を企画・開設。2001年には「横濱カレーミュージアム」(横浜・イセザキモール)のプロデュースを手がけ、フードテーマパークのプロデュースをスタート。現在は、ナムコの企画設計集団「チームナンジャ」を率い、フードテーマパーク・プロデュースの第一人者として活躍している
 

 
 


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