ケーススタディ

 
中国地方の企業ミュージアム
 
 
CSR(企業の社会的責任)に対する関心が非常に高まるなか企業は、株主や取引先のみならず従業員や消費者、 さらには地域社会など多様なステークホルダー(利害関係者)に対して責任を果たすことが、 これまで以上に求められている。 こうしたなか企業ミュージアムは、企業と社会をつなぐプラットホームとして、近年、その役割が高まってきている。 その意味で、これからの企業ミュージアムの展開には、その文化的な魅力をより高めると同時に、 より積極的な情報発信を通じて、市民の文化的なニーズの高まりに応えていくことが求められているといえる。 そうした方向に向けてリニューアルを行った中国地方を代表する2つの企業、 マツダ(株)と中国電力(株)の企業ミュージアム=マツダミュージアムと 中国電力技術研究センター「エネルギア・サイエンススペース」をレポートする。
 

 

 
マツダミュージアム
 「Zoom−Zoom」感溢れる空間にリニューアル
 
 
 マツダ(株)は、本社工場内に1994年5月に開設された企業文化施設「マツダミュージアム」を、2005年2月5日にリニューアルオープンした。
 今回のリニューアルは、マツダ創業85周年を機に行われたもので、マツダのブランドメッセージである『※Zoom--Zoom』や、 マツダのクルマづくりへの思いを感じてもらうことを目的に、最新のクルマの展示や企画展を行うエントランスホールを新設したほか、 トータルのデザインやレイアウト、展示内容を一新した。
 マツダでは、マツダミュージアムが中四国で唯一の自動車産業見学施設であることから、 社会学習や地域のコミュニケーション活動など、地域貢献施設として活用していきたいと考えている。 また、要望が高かったミュージアムショップも新設し、マツダオリジナルグッズなども販売している。
 
 ※Zoom-Zoom(ズーム・ズーム)とは、「ブーブー」というクルマの走行音を表わす英語の子ども言葉。 子どもの時に感じた動くことへの感動を愛し持ち続ける人々に「心ときめくドライビング体験」を提供することを表わしている。
 
 
左●新設されたエントランスホールでは、最新のクルマの展示や企画展などを実施。2月5日〜3月13日はリニューアル記念として、ロータリーエンジンの実用化に尽力した2代目社長、故松田恒次氏の功績を辿る特別展「松田恒次展 時代から次代へ−松田恒次とロータリーエンジンの軌跡」を開催
右●クルマづくりのプロセスを紹介する「技術展示」では、「2004RJCカーオブザイヤー」も受賞したスポーツカー「マツダRX−8」がどのような過程を経てつくられているのかを展示
 
左●「歴史展示」では、1920年代からのマツダの歴史をヒストリカルカーの展示とともに紹介
中●リニューアルで新設された「RE展示」コーナーでは、マツダが誇るロータリーエンジンの技術について紹介。日本メーカー唯一のルマン優勝車「マツダ787B」も展示
右●人・クルマ・環境のより良い関係を目指し、環境と安全への取組みとともに、次世代のクルマ社会の提案を紹介する「未来展示」では、東京モーターショーに出品したコンセプトカーなども展示
 
左●エントランス横の受付は団体客用で、一般客は本社ショールームで入場受付をし専用バスでミュージアムに移動する。受付の隣にはミュージアムショップが設けられ、ミュージアムオリジナルグッズなどを販売
右●マツダ本社工場では、鋳造からパワートレイン(エンジン、トランスミッション、アクセル)、車両組み立てまでを一貫生産。マツダミュージアムは宇品工場地区の車両組立工場に隣接して開設されている

 
[所在地] 広島県広島市南区仁保沖町
[リニューアルオープン] 2005年2月5日
[連絡先] 082-252-5050
[展示面積] 約3,600m2
[施設内容] エントランスホール、歴史展示、RE展示、技術展示、U1組立ライン、未来展示
[開館時間] 個人受付
日本語案内 AM9:30〜、PM1:00〜
英語案内 PM1:00〜
※団体は別途受付 
[休館日] 土・日祝日およびマツダ(株)休業日
[入館料] 無料(要予約)

 
中国電力技術研究センター エネルギア・サイエンス・スペース
 科学技術への関心を高めるため"体感型"展示設備をふやし来館者の興味の喚起を図る
 
 
  中国電力(株)技術研究センターは2004年9月14日、展示ホールを「エネルギア・サイエンス・スペース」としてリニューアルオープンした。
 技術研究センターは、電気を低廉かつ安定して供給するための研究開発をはじめとして、 資源のリサイクル等の環境を保全していくための研究開発、さらには、情報・通信ソリューションなどの新たなビジネス展開に向けた研究開発を行っているが、 産官学連携の必要性が高まるなかで同センターは、地域産業の高度化の促進や、地域経済の発展を図るため、 各界の研究機関等の受け皿として東広島市に造成された研究団地「広島中央サイエンスパーク」に移転。 同時に、同センターでの研究成果の公開展示等を通じて、「地域の人たちや小中高大の学生に科学技術に関心をもってもらうきっかけとなる」ことを目的に展示ホールをセンター内に開設した。
 オープン10周年を機に実施した今回のリニューアルでは、それまでのタッチパネルを使った「対面型」の展示から、 「体感型」の展示に変更。手で触れたり、身体を動かすことで変化を学ぶようにすることなどで、 来館者の興味をより沸き起こす工夫を凝らした。 同センターでは「最初から100%完璧なものはできないので、毎年少しずつ展示物を入れ替えていき、 継続的に新鮮さを失わないようにしていくことで、リピーターの方でも"飽き"のこない施設にしていきたい」 (中国電力(株)研究開発部門技術研究センター副所長・藤本昭範氏)としている。
 
 
左●中国電力技術研究センターは、広島サイエンスパーク内に立地し広島大学に隣接する好条件を活かし、一層の産官学連携を推進するとともに、地域振興のための情報提供などを行い「開かれた技術研究センター」を目指している。エネルギア・サイエンス・スペースは、本館1階の入口を入ったすぐのところに開設されている
右●エネルギア・サイエンス・スペースのコンセプトは"科学に対する驚きと好奇心を育むスペース"。エントランスでは技術研究センターの歴史を紹介するとともに最近は照明としても使用されるようになったLED(発光ダイオード)を展示
 
左●「ワークショップステーション」では、来館者にさまざまな実験を見せて、科学技術への理解を高めてもらうことを目的とする。ワークショップのメニューは今後も、より一層の充実を図っていく
中●展示スペースには、科学体験ゾーンに加え、研究成果紹介コーナーやワークショップステーションを配置
右●ソーラーカーにライトを当ててレースを競う「太陽光グランプリ」は、校外学習などで訪れる小中学生などからの人気が高い
 
左●「科学体験ゾーン」には、電磁力の仕組みを解説する「電気deサーカス」や電磁誘導でアルミニウム円盤を回転させる「アラゴルーレット」など"科学を体験できる"展示を揃える
中●技術研究センターの研究領域は、電気関連にとどまらず、土木・構築や生物・化学など多岐にわたる。水草と魚が生息する「バイオアクアリウム」では光合成が行われている様子が観察できる
右●リニューアル後は、ペダルを漕いで自分の足で発電する「ツール ド テクノ」など、"体感型"展示の充実を図った

 
[所在地] 広島県東広島市鏡山3-9-1
[リニューアルオープン] 2004年9月12日
[連絡先] 082-492-0340
[展示面積] 約200m2
[施設内容] エントランス、科学体験ゾーン、研究成果紹介、ワークショップステーション
[開館時間] 9:00〜17:00
[休館日] 土・日祝日、国民の休日、5月1日、年末年始
[入館料] 無料

 

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