ケーススタディ
山居倉庫 酒田夢の倶楽

築百余年の農業倉庫の建物を活かして整備
市内観光の情報発信拠点としての機能を果たす

データ

『米どころ庄内』のシンボルともいえる山形・酒田の山居倉庫に4月27日、酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」がオープンした。
 
 庄内米の積出港として賑わった酒田の歴史をいまに伝える山居倉庫は、1893(明治26)年に旧庄内藩主酒井家によって酒田米穀取引所の付属倉庫として建造。白壁土蔵造の12棟の屋根は二重構造で、倉の内部は湿気防止構造になっているほか、背後を囲むケヤキの大木が日除け、風除けの役目を果たすなど、自然を利用した低温管理が行なわれており、築百年以上経ったいまも、JA全農庄内の農業倉庫として活躍している。
 
 NHK朝の連続テレビ小説「おしん」(1983年4月〜84年3月放映)ではロケーション舞台となり、85年には12棟のうちの1棟を稲作の歴史、稲のルーツ、品種改良、生産・保管・流通の過程などを、精緻な模型や展示パネルなどでわかりやすく紹介する「庄内米歴史資料館」として開館するなど、酒田を代表する観光スポットとして知られている。
 酒田夢の倶楽は、酒田市がJA全農庄内から幹線道路である山居通り側の2棟を取得し、観光振興拠点として整備したもので、ミュージアム施設の「華の館」と、物販・飲食施設が入る「幸の館」で構成する。
 
 華の館では、北前船交易で栄えた湊町・酒田の江戸時代から昭和初期にかけての歴史・文化を『商人文化の粋と華』をテーマにわかりやすく紹介するほか、酒田をたびたび訪れている人形作家・辻村寿三郎氏の手による人形を展示。ミュージアムショップも備え、ポストカードなどの"夢の倶楽ならでは"のオリジナルグッズを揃える。
 また幸の館には、銘菓や漬物、海産物など、酒田のお土産品を一堂に揃える「お土産品販売コーナー」に加え、日本海の新鮮な海の幸や庄内平野の採れたての農作物を使った酒田の郷土料理を提供するお食事処「食彩旬味 芳香亭」、名物の「玉こんにゃく」やフレッシュなミルクと果物で作ったジェラードなど、"酒田っ子"に親しまれている味を気軽に楽しめる「フーァストフードコーナー」を設けている。
 
 また「華の館」と「幸の館」をつなぐエントランスホールには、「観光インフォメーション」を設け、観光に関する問合せや観光用自転車の利用手続に対応するなど、酒田観光の情報館的な役割を果たしている。
 観光拠点の整備について酒田市では、1階に庄内浜で水揚げされたばかりの魚介類が並ぶ鮮魚店、2階にとれたての鮮魚を豊富に使う食事処を配す「さかた海鮮市場」を昨年5月17日、酒田港の飛島行き定期船発着所隣に開設。今年3月末までで60万人の集客を果たしているが、「海鮮市場に続く夢の倶楽のオープンにより、酒田の観光は新しい次元を迎えることが期待される。平成14年度に109万人だった入込みは、海鮮市場ができた15年度には170万人となったが、今回の夢の倶楽のオープンにより16年度は200万人を超えるでしょう」(酒田市商工観光部観光物産課長・兵頭芳勝氏)と期待を寄せる。
 
 
酒田の新しい観光拠点施設として
市民の誇りとなる施設づくりを目指しています

 
石堂 栄一氏/酒田市商工観光部長
 
石堂氏
 酒田市では現在、地域活性化の施策の一環として、観光を通じた産業の育成と地域間交流の促進に取り組んでいます。
 飛島行き定期船発着所の隣接地に昨年5月オープンした「さかた海鮮市場」は、酒田らしい観光拠点として整備したもので、同施設を「海の駅」と位置づけるとすると、「農の駅」と位置づけられるのがこのたびオープンしました「酒田夢の倶楽」です。
 
 100余年の歴史を誇り、現在も農業倉庫として利用されている山居倉庫内に開設したのは、地域に残された資源を大切にしながら活用していくという考え方が基本にあったからです。山居倉庫を所有するJA全農庄内さんにもご賛同いただき、12棟の倉庫のうち2棟を市で購入することができました。コスト的には、新しく建てたほうが有利であったかもしれませんが、景観を第一に考えた結果、他の倉庫群やケヤキ並木と調和のとれた開発となりました。
 
 もともと山居倉庫には、全農が運営する展示施設「庄内米歴史資料館」があり、年間7万〜8万人を集客していました。しかし見学する施設しかありませんでしたので滞留時間は短いものでした。そのため「酒田夢の倶楽」は、展示施設に加えて、飲食や物販の機能をもたせ、ゆっくりと滞在できる施設となることを目指しました。  有料施設のミュージアム「華の館」では、わが国を代表する人形作家・辻村ジュサブロー(寿三郎)氏の人形や歴史ある酒田の文化を詳しく紹介していますが、より多くの方に入館していただくために大人300円と入館料も抑えたものとしています。
 
 また、飲食・物販施設についても酒田や庄内地方の風土や食文化を紹介する場として地元の素材を提供しています。特に土産物品の9割は酒田で生産されたもので、当施設で販売することを目的に商品化したものもあります。
 かつて商業都市として栄えた酒田には、本間家旧本邸をはじめ寺社など歴史ある建築物や由緒ある雛人形といった文化財など、さまざまな資源があります。ですから当施設にだけ人が集まるのではなく、ここを起点に市内を巡っていただく、そうしたきっかけになる情報発信の場としての役割も担っています。
 おかげさまで5月の連休中には大勢の人が訪れ、好評をいただきました。さかた海鮮市場とともに観光拠点として市民の方にも誇りとなる施設を目指したいと思います。

 
関連サイト:
山居倉庫 酒田夢の倶楽
 


データ 2004年06月現在

[所在地] 山形県酒田市山居町1-1-20
[オープン] 2004年4月27日
[事業主体] 酒田市
[運営主体] 酒田観光物産協会
[延床面積] 約1,262m2
[施設内容] ○エントランスホール
観光インフォメーション
○華の館
ミュージアム、ミュージアムショップ
○幸の館
ショップ、レストラン、ファストフードコーナー
オープンテラス
[営業時間] 8:30〜17:30(芳香亭は10:00〜21:00)
[定休日] 1月1日
[華の館観覧料] 大人300円(240円)、高校・大学生200円(160円)、小・中学生100円(80円)
*カッコ内は団体料金(20名以上)
*特別展示の場合は1,000円以内で別途設定
[華の館入館目標] 10万人(年間)

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